元京都大学ウイルス研究所所長の日沼先生が1982年に発見をしたレトロウイルスとして有名なHTLV-1。
HTLV-1はあまり症例検討会であてられたことはないですが、青木編集長はHIVとの共感染例を主治医として診ていた経験があります。
同じレトロウイルスのHIVは世界中に拡大していますが、HTLVはそのウイルスとしての特性、感染伝播様式からちがった流行状況になっています。
海外では、IDUでの共感染(HTLV-2含め)が多いことが知られています。
皆さんは鑑別にあげる機会があるでしょうか。
萩野先生がIDATENの感染ジャーナルで解説する「発熱+関節炎アプローチ」にも参考情報がありました。
http://www.theidaten.jp/journal_cont/20090708J-11-2.htm
沖縄や九州方面で研修を受けると、鑑別にあげる機会も多いのかもしれませんが、先の研究班による疫学調査では、キャリア他の都市部含めて全国に拡散していることが把握され、妊婦健診での全員スクリーニングが今月提言されるそうです。都市部で診察する機会も増えていくのかもしれません。 専門クリニックが東大医科研等に配備されています。
「ATL、全妊婦検査へ 20年ぶり方針転換 厚労省、自治体に対策促す 母子感染が大都市圏で増加」(西日本新聞 2010年3月10日)
厚生労働省の研究班の推計で、昨年3月の報告でHTLV1感染者が全国で約108万人(九州・沖縄が全体の約46%)。関東など大都市圏で増えていることが明らかになったため、厚労省が特別研究班を昨年7月に設置。
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/feature/article4/20100308/20100308_0003.shtml
母乳を通じた母子感染と、男性の精液からの感染がリスクです(男性→女性、男性→男性)
2008年に外科領域で紹介されていた症例です。
「HTLV-1ウイルスキャリアーに発症したアメーバ性肝膿瘍が腹腔内穿破した1例」
日本臨床外科学会雑誌 Vol. 69 (2008) , No. 12 p.3228-3233
http://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsa/69/12/69_3228/_article/-char/ja
どうして日本に多いのでしょうね。
日沼先生が考えた仮説、そして技術の発達で可能になった遺伝子レベルの情報の分析がいろいろなことを示唆します。
世界地図で見ても、特定地域にキャリアが高率に存在します。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/5c/b9d9b4aac977e0e0a0667fccaae57d41.jpg)
日本での仮説は、縄文時代の日本人のなかで流行しており、その後、半島から弥生系の人たちが渡来。あまり混血のすすまなかったエリアでキャリア率が高く残っている、というものです。
その後、南米のミイラの骨髄からHTLV-1の遺伝子がみつかり、日本のウイルスとも似通っていることが判明(起源は一緒?)。
ウイルス人類学です(文科系編集部はワクワク度があがりました)。
東大の渡邊先生によりますと、現在日本には約120万人のキャリアがいて(人口の1%)、年に10-20人が発症。発病すると1年以内に多くの人が死亡。HIVに比べて治療や対策が進んでいないとの指摘があります。
http://scienceportal.jp/HotTopics/interview/interview33/03.html
HTLV-1はあまり症例検討会であてられたことはないですが、青木編集長はHIVとの共感染例を主治医として診ていた経験があります。
同じレトロウイルスのHIVは世界中に拡大していますが、HTLVはそのウイルスとしての特性、感染伝播様式からちがった流行状況になっています。
海外では、IDUでの共感染(HTLV-2含め)が多いことが知られています。
皆さんは鑑別にあげる機会があるでしょうか。
萩野先生がIDATENの感染ジャーナルで解説する「発熱+関節炎アプローチ」にも参考情報がありました。
http://www.theidaten.jp/journal_cont/20090708J-11-2.htm
沖縄や九州方面で研修を受けると、鑑別にあげる機会も多いのかもしれませんが、先の研究班による疫学調査では、キャリア他の都市部含めて全国に拡散していることが把握され、妊婦健診での全員スクリーニングが今月提言されるそうです。都市部で診察する機会も増えていくのかもしれません。 専門クリニックが東大医科研等に配備されています。
「ATL、全妊婦検査へ 20年ぶり方針転換 厚労省、自治体に対策促す 母子感染が大都市圏で増加」(西日本新聞 2010年3月10日)
厚生労働省の研究班の推計で、昨年3月の報告でHTLV1感染者が全国で約108万人(九州・沖縄が全体の約46%)。関東など大都市圏で増えていることが明らかになったため、厚労省が特別研究班を昨年7月に設置。
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/feature/article4/20100308/20100308_0003.shtml
母乳を通じた母子感染と、男性の精液からの感染がリスクです(男性→女性、男性→男性)
2008年に外科領域で紹介されていた症例です。
「HTLV-1ウイルスキャリアーに発症したアメーバ性肝膿瘍が腹腔内穿破した1例」
日本臨床外科学会雑誌 Vol. 69 (2008) , No. 12 p.3228-3233
http://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsa/69/12/69_3228/_article/-char/ja
どうして日本に多いのでしょうね。
日沼先生が考えた仮説、そして技術の発達で可能になった遺伝子レベルの情報の分析がいろいろなことを示唆します。
世界地図で見ても、特定地域にキャリアが高率に存在します。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/5c/b9d9b4aac977e0e0a0667fccaae57d41.jpg)
日本での仮説は、縄文時代の日本人のなかで流行しており、その後、半島から弥生系の人たちが渡来。あまり混血のすすまなかったエリアでキャリア率が高く残っている、というものです。
その後、南米のミイラの骨髄からHTLV-1の遺伝子がみつかり、日本のウイルスとも似通っていることが判明(起源は一緒?)。
ウイルス人類学です(文科系編集部はワクワク度があがりました)。
東大の渡邊先生によりますと、現在日本には約120万人のキャリアがいて(人口の1%)、年に10-20人が発症。発病すると1年以内に多くの人が死亡。HIVに比べて治療や対策が進んでいないとの指摘があります。
http://scienceportal.jp/HotTopics/interview/interview33/03.html
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他の地方ではどうなのでしょうか?
新聞報道で、全国的な対策が遅れているというのは九州の人間からはかなり意外でした。
ATL発症した場合(たまにキャリアでも)は、免疫不全が前面に出る事が多いので、感染症を繰り返すので、感染症の症例検討にはあまりでないのではないでしょうか?
東京は・・・周囲の助産師に聞きましたが、ルチンではないようです。西日本の医学部・病院出身ドクターのところでは積極的にしていただいている検査かも・・・?ちょっと調べてみようとおもいました。
東京の妊婦健診ですが、
I 初回妊婦健診【妊婦基本健診:公費カバー】
1.診察、体重測定、血圧測定、子宮底長測定、浮腫の確認、尿検査(糖・蛋白定量)、
2.必要最低項目(検査料) 【医療機関による】
血圧検査:血液型(420円)、貧血検査(230円)、(110円)、子宮頚癌細胞診検査、(1,500円)、梅毒(梅毒血清反応:470円)、B型肝炎(HBs抗原:290円)、超音波検査(5,300円)、胎児心音聴取
3.実施が望ましい項目【2より推奨度が低い?】
風疹(抗体価:750円)、HTLV-1抗体検査(850)、HIV抗体検査(1,300円)、不規則抗体検査(1,700円)
初回に補助されるのは8500円です。実際の検査の値段は施設によりますが、この検査だけの値段よりは高くなっていますね。
ネットを診ていたら相談コーナーに以下のようなものがありました。
「妊婦検診の血液検査でHTLVー1がひっかかり精密検査で陽性…。先生はどうにもできないから! と言われたのですが、私はこのままなにもしなくてもいいのでしょうか?
他の病院で別の病気の検査をしたらいいとか、今私にできる事はなんでしょう?」
HIV同様、説明のしかたも大切ですね・・。