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感染症診療の原則

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保護者の立場から(予防接種検討会 傍聴記その3)

2007-07-10 | Aoki Office
今回は「カンガエルーネット」「日本消費者連盟/ワクチントーク」「SSPE青空の会」の3団体がヒアリング協力者として参加されていました。
前の2つの団体がいわれていたことは、メディアで流れていたのはワクチンが不足する・流行しているというような不安につながるだけの情報ばかりで、素人としてはどうすればいいのか、なったらおしまいなのかという不安を抱えた、という人たちの代弁をされていました。

そういえば私の周囲のお母さんたちも、「そんなにたいへんな病気とは知らなかった」「だったらなぜもっとワクチンのことをいわないのか。妊娠から子育て中にそんな情報を行政からきいたことはない」「集団発生がこわいなら学校ももっと積極的にいうべきだ」という人が多かったです。つまり、「正確な情報はいつどこで教えてもらえたんでしょうか(本来なら)」ということです。

今回のヒアリングの内容が専門家の検討委員や厚生労働省、参加していた文部科学省、傍聴していたメディアの方たちに生かされることを期待しましょう。

私が、というより参加者が今回一番胸をうたれたのは、麻疹になったことがきっかけでSSPE(subacute sclerosing panencephalitis)・遅発性ウイルス感染症・亜急性硬化性全脳炎の子どもをもつ親の会の方のお話でした。
SSPE青空の会
http://sspe-aozora.hp.infoseek.co.jp/
難病情報センター
http://www.nanbyou.or.jp/sikkan/002.htm


麻疹にかかったことがある、ということだけが共通点で、発症までは普通の子と同じように育ち、突然の発症で親もとてもショックが大きいことがわかります。
6歳ー10歳で発症しみるみる進行、延命はできても治療法がないためほとんどが寝たきりの重度身体障害者となります。発症から平均15年で死亡というのが現状です。
親御さんとしては「麻疹にさえかからなければ・・」と後悔を抱えているとのお話でした。

提示していただいた資料には、お子さんたちの症例もありました。また、米国では1971年のワクチン接種義務化以降、1974年以降の発症はほぼゼロ、オランダでは1976年のワクチン徹底以後、1981年までは年に10数例ありましたが、現在は年に1例程度。イギリスは1968年ワクチン導入以後現在ほぼゼロという情報が提示されていました。

ぜひ2012年麻疹排除を達成して、2015年に自分たちの会が解散できるようにしていただきたい、というお話でした。
現在も新規会員が増加・横ばいであることに心を痛めていらっしゃいます。

今年の大流行から数年後がとても心配です。

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