感染症診療の原則

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ワクチン と 有害事象 と 因果関係

2012-08-17 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)
○○のせいで○○になったぢゃないかっ!!!

というシャウトをする際には、根拠となる理屈、傍証、証拠、専門家の承認や賛同がないと難しいです。

当然のことながら、association と causation の違いについてもよく理解して、まず自ら検証をしておく必要があるとおもいます。

最近は、HPVワクチン(子宮頸がん予防関連)を不妊になるぞ!的脅しデマをネット上で書いているひとたちがいますが、そもそも不妊の人を診察している人なのか、他の因子の検討は行われているのか,分母としてどれほどの事例をカウントした上でのことなのか?という基本的な事を確認するだけで、あらあら、な話だとわかります。不妊の専門家でも婦人科腫瘍の専門家でもない人たちが、証拠もなく書いているだけだとすぐわかりますので。

また「不要だ!」という医者も、小児のワクチンの専門家でもないし、感染症の医師でもないし、公衆衛生の専門家でもないし、婦人科検診や腫瘍の治療をしているわけでもない内科医だったりしてよくわかりません。弁護士はどうなんだという話も。

医薬品の開発や承認プロセスを知っている人は、なにいってんのデマな人たち・・・と冷ややかにスルーしていたのかもしれませんが、ずっと消えない噂や、デマに苦しめられている当事者やご家族のためにと、情報を整理して公開してくださっているかもいます。

子宮頸がんワクチンで不妊になるというのは根も葉もないデマ



ちょうど米国では、2000年に接種したポリオワクチンのせいで、自分が脳腫瘍になった!という人が裁判所に訴え出ているけれど却下、というニュースが。
NJ court: Man blaming cancer on vaccine can't sue

ほー。

因果関係はBradford-Hill criteriaが有名です。関心ある方は勉強しましょう。

■関連の強さ
■人、地理、時間的な一貫性
■関連の特異性(1つの原因に対して1つの結果)
■時間的な前後関係(原因が結果の前に起きる)
■用量が多いほど反応が強い
■生物学的な蓋然性
■過去の経験や知識との一致
■実験に基づく証拠
■類似性(他の事例から類推できる)

「くすりと有害事象の因果関係」
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