えー。
昨日開かれた「平成２３年度第５回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会及び第２回子宮頸がん等ワクチン予防接種後副反応検討会（合同開催）」（なんて長～～い）
について、新聞とネットが賑わっていたので記事にしてみようと思いました。
（編集部的にはbig newsなしなんですが）
会議で配布された資料はコチラ （仕事早っ）
キャリアブレインの記事でみてみましょう。
今年6月1日―8月22日の3ワクチンの副反応報告状況；
HPVワクチンは推定約160万回が接種され、医療機関から171人の副反応報告。【0.011％】
このうち20人が死亡や障害などにつながる恐れがある「重篤」な事例【0.0013％】
報道が死亡例だけ大きく扱ったようですが、ほかの副反応はなんだったのか？
迷走神経反射（意識消失・失神）が他のワクチンより多いのは思春期に接種するからということで予想通りですが、アナフィラキシーの数などはどうか等、接種に関わる医療者は目を通したい資料です。
ちなみに、
ヒブワクチンは、推定約95万回が接種され、60人【0.006％】
うち「重篤」7人【0.00074％】
小児用肺炎球菌ワクチンは、推定110万回が接種され、104人【0.0095％】
うち「重篤」11人 【0.001％】
100人にひとりが1％。0.001％は10万人にひとりです。
報道の続き。
「HPVワクチン接種後に14歳の女子中学生が死亡した」事例では、「7月28日にワクチンを接種し、2日後に死亡」「基礎疾患の心室頻拍から心室細動に移行し、致死性不整脈で死亡したと推定されるが、ワクチン接種と死亡との因果関係は不明」とのことです。
これまでに接種された分母の大きさを考えると、このHPVワクチン（サーバリックス）での初の報告をどう報道すべきかわかるのではないかとおもいます。
しかし、同時接種の時の報道が原因で、現在も単独接種で病院にかよいつめ、医療機関が疲弊している状況（しかも接種を遅らせる間に発症するリスクがある）ことを考えると、今回の報道によってワクチンのリスク認知について誤解がうまれることも容易に想像できます。
より正確にワクチンと健康被害の関係性を確かめるためには、
まず「有害事象」として、ワクチンを接種したあとにおきた健康リスクのイベント情報を収集するようにします。
たとえば、ワクチン接種をした帰り道に駅の階段から落ちて骨折 →有害事象
さらに、ワクチン接種をする1週間前にコンドームなしセックスでクラミジアになった（ことにワクチン接種後の受診で気づいた）→これも有害事象
ワクチンを接種した次の日に歯が痛かった→これも有害事象
ワクチンを接種した夜に熱が出た →これも有害事象
ワクチンを接種したあとに下痢をした（昨日生ものを食べていた） →これも有害事象
です。
このあとに、実際にワクチンとの「関連性」がありそうなものを検討します。
ここで有害事象が100あったら、「関連性」がありそうなものはぐぐっとしぼりこまれます。
そして、ワクチンがその事象の原因になっていたのか「因果関係」の検討が行われます。
「相関関係そと因果関係」の違いは、科学分野の訓練を受けた人なら「常識」ですが、
因果関係 Causation（こうぜいしょん）： ある要因と事象の間に明らかな原因と結果の関係あり
関連性（相関関係） Association（あそしえいしょん）：因果関係の有無に関わらず、何らかの関係が成立
（事象Aと事象Bが独立して起こらない関係）
Hillによる因果性の判定基準とかEvansの8条件などを読んだうえで考えます。
ちょうど、といいますか、原発関連でも「〇〇が〇〇の原因だ！」という表現をよくみかけます。各電力会社のＨＰには熱心にこの疫学研究のことが紹介されていたりします。
Twitterをみていると、案の定といいますか、原発とワクチンのムラ話がセットになっていて、センセーショナル報道と併せて、陰謀論・金儲け医療者論などにぎやかです。
全部を否定できないのが悲しい状況です。
なぜなら生ポリオワクチンの問題などは実際に薬害状況があるのにケアされていません。
確かに、怪しく見える状況があるのです。しっかりした軸や専門家集団の姿が見えません。
「専門家は子供をまもらないのか？」
そう問われる状況があるのです。
「（専門集団である）学会がそもそも何も言ってないじゃないか」
いえ、小児科の先生方ががんばっているのです。
感染症や公衆衛生ももう少しがんばらねば。
と、予防接種全体のabuse状況をどうしたものかと考え中。
リスコミも行える予防接種専門機関の必要性を強く感じます。
昨日開かれた「平成２３年度第５回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会及び第２回子宮頸がん等ワクチン予防接種後副反応検討会（合同開催）」（なんて長～～い）
について、新聞とネットが賑わっていたので記事にしてみようと思いました。
（編集部的にはbig newsなしなんですが）
会議で配布された資料はコチラ （仕事早っ）
キャリアブレインの記事でみてみましょう。
今年6月1日―8月22日の3ワクチンの副反応報告状況；
HPVワクチンは推定約160万回が接種され、医療機関から171人の副反応報告。【0.011％】
このうち20人が死亡や障害などにつながる恐れがある「重篤」な事例【0.0013％】
報道が死亡例だけ大きく扱ったようですが、ほかの副反応はなんだったのか？
迷走神経反射（意識消失・失神）が他のワクチンより多いのは思春期に接種するからということで予想通りですが、アナフィラキシーの数などはどうか等、接種に関わる医療者は目を通したい資料です。
ちなみに、
ヒブワクチンは、推定約95万回が接種され、60人【0.006％】
うち「重篤」7人【0.00074％】
小児用肺炎球菌ワクチンは、推定110万回が接種され、104人【0.0095％】
うち「重篤」11人 【0.001％】
100人にひとりが1％。0.001％は10万人にひとりです。
報道の続き。
「HPVワクチン接種後に14歳の女子中学生が死亡した」事例では、「7月28日にワクチンを接種し、2日後に死亡」「基礎疾患の心室頻拍から心室細動に移行し、致死性不整脈で死亡したと推定されるが、ワクチン接種と死亡との因果関係は不明」とのことです。
これまでに接種された分母の大きさを考えると、このHPVワクチン（サーバリックス）での初の報告をどう報道すべきかわかるのではないかとおもいます。
しかし、同時接種の時の報道が原因で、現在も単独接種で病院にかよいつめ、医療機関が疲弊している状況（しかも接種を遅らせる間に発症するリスクがある）ことを考えると、今回の報道によってワクチンのリスク認知について誤解がうまれることも容易に想像できます。
より正確にワクチンと健康被害の関係性を確かめるためには、
まず「有害事象」として、ワクチンを接種したあとにおきた健康リスクのイベント情報を収集するようにします。
たとえば、ワクチン接種をした帰り道に駅の階段から落ちて骨折 →有害事象
さらに、ワクチン接種をする1週間前にコンドームなしセックスでクラミジアになった（ことにワクチン接種後の受診で気づいた）→これも有害事象
ワクチンを接種した次の日に歯が痛かった→これも有害事象
ワクチンを接種した夜に熱が出た →これも有害事象
ワクチンを接種したあとに下痢をした（昨日生ものを食べていた） →これも有害事象
です。
このあとに、実際にワクチンとの「関連性」がありそうなものを検討します。
ここで有害事象が100あったら、「関連性」がありそうなものはぐぐっとしぼりこまれます。
そして、ワクチンがその事象の原因になっていたのか「因果関係」の検討が行われます。
「相関関係そと因果関係」の違いは、科学分野の訓練を受けた人なら「常識」ですが、
因果関係 Causation（こうぜいしょん）： ある要因と事象の間に明らかな原因と結果の関係あり
関連性（相関関係） Association（あそしえいしょん）：因果関係の有無に関わらず、何らかの関係が成立
（事象Aと事象Bが独立して起こらない関係）
Hillによる因果性の判定基準とかEvansの8条件などを読んだうえで考えます。
ちょうど、といいますか、原発関連でも「〇〇が〇〇の原因だ！」という表現をよくみかけます。各電力会社のＨＰには熱心にこの疫学研究のことが紹介されていたりします。
Twitterをみていると、案の定といいますか、原発とワクチンのムラ話がセットになっていて、センセーショナル報道と併せて、陰謀論・金儲け医療者論などにぎやかです。
全部を否定できないのが悲しい状況です。
なぜなら生ポリオワクチンの問題などは実際に薬害状況があるのにケアされていません。
確かに、怪しく見える状況があるのです。しっかりした軸や専門家集団の姿が見えません。
「専門家は子供をまもらないのか？」
そう問われる状況があるのです。
「（専門集団である）学会がそもそも何も言ってないじゃないか」
いえ、小児科の先生方ががんばっているのです。
感染症や公衆衛生ももう少しがんばらねば。
と、予防接種全体のabuse状況をどうしたものかと考え中。
リスコミも行える予防接種専門機関の必要性を強く感じます。
