感染症診療の原則

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慌てた記者会見は必要か?

2009-05-03 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)
昨年度の感染研/厚労省が開いた新型インフルの講習会ではリスクコミュニケーションの講義もありました。そこでは定時の記者会見をセットアップし、、という話でした。

「臨時」「緊急」の記者会見となると、そのことじたいが社会にすごいメッセージ性をもちますし、それで何か対応がかわるのか?ということも期待されます。

仮に対応を変えるのだとしたら発表を30分とか1時間をあせるよりも、その後必要な体制に混乱をきたさない準備をしてするべきです。

これまで2例の疑い例の記者会見のせいで、ネットには個人に関連する情報が流れていました。本人やご家族に与える影響を発表する人たちは考えていないのでしょうね。

海外ではこの段階で居住地情報や年齢性別を含む情報をプレスリリースしていません。

改訂された感染症法の基本理念に人権への配慮があるのに残念なことです。
このことを重視するとはどういうことかがわからないまま右往左往しているようにみえます。

そもそも専門家の間で検査キットの精度(&タミフル使用についても)についていろいろ議論があります。感度や特異度の問題を知れば簡単に今の状況で疑い例を記者会見するような暴挙にはでないのではないでしょうか。

一般の人の反応も「あんな目にあうならば受診しない。受診しても情報は全部伝えない」というようなことにつながりかねません。

これでは感染対策と逆方向になります。

この騒ぎぶりのなかで、確定例となったらいったいどこまで個人情報が危うくなるのだろうか?と心配がつきません。

改正感染症法の理念を行政やメディアの人に考えていただきたいですね。

もしもこうした情報公開を社会防衛論的に必要というような人がいるならば、
麻疹のように死亡・重篤化リスクのある空気感染するような感染症の予防接種率の低さ、他の国ではユニバーサルなのに日本では任意・未認可のワクチンの施主率の改善にもチカラを注いでいただきたいですね。

今回の騒ぎぶりと、麻疹ワクチン接種率の低迷、放置したら死亡するようなエイズ対策などが感染症対策として機能していないものへの反応と、、バランスが悪いですね。
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