感染症診療の原則

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怖いのは深夜の記者会見と報道

2009-05-01 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)
うわずった声が響くので起きてしまったら・・それはNHKの放送でした。

ウイルスよりも用語を間違えたどたどしくひきつった顔の大臣とてんぱった女子絵アナウンサーの読みが怖~い。

ぎょえ。なんでしょうね。この会見は。

パニック会見をしながら国民の皆さん冷静に、、、というのは・・(--#)

うわずった声で「PCR」「疫学的調査」とかうろおぼえの言葉をふりまわし(聞いていると「よく知らないんだな」と納得しちゃいますが)、話の中で部分的にメモレベルで入っていることを加えながらなが~い一文をだらだらしゃべって。

フェーズ4以降訓練ではプレス発表訓練も入っていましたが、こういうのやっちゃだめですよ、というサンプルで示した記者会見そのものです。

(今後の研修会で教材として使えますので録画をお勧めします!!)

まず、深夜に大臣が言うほどの内容か?
それから、すごーーーーーく基本的なことですが、感染症で「シロ」「クロ」という表現はしないというのは常識。
どういう印象を与えるか。

NHKはNHKで疑い患者が「確認」された、疑い患者がいることが「確認」された、、などかなり混乱してしゃべっています。しかもずーっと繰り返し。

この時間にこのレベルの内容を伝えるのに10-15分遅れても世の中的には何もかわらないので原稿をちゃんとつくってから読んでほしいものです。


最後、大臣は記者の質問にヒートアップして
「横浜市にきいてください」
「横浜市と連絡とれなくなっています」
「いま電話がかからない状況になっていてきわめて遺憾である→知事・市長にいう」

キレてどうするよ・・

もしかして疑い患者がひとりでもでたら自治体担当者は24時間対応をしろということですか?
この先「うたがい」レベルの患者の接触者調査をしはじめたら自治体の職員はたりなくなりますね。24時間シフトを組むほどヒトはいません。

ここ数日周囲から「感染症が専門だと、こういう状況どきどきしませんか?」とよく聞かれますが、「できません」ですね。

新型かどうかはわかるのはかなりあとですし、新しい奇病(目玉が突然おちるとか、髪の毛が全部抜けるとか)のような未体験感染症だったらそういうのもあるかもしれませんが・・・・まあ、インフルエンザですから。

高熱・咳・鼻水・痰は年柄年中みている感染症と同じ。
簡易キットでA(+)も。

きたらする対応は新型じゃなくても同じですし、疑い患者の症例定義がかなり広いので、最初からこの対応だとかなり混乱しますね。

「現在PCRで解析不能です」を繰り返しながらパニックにならないでください、もリスコミとしては最悪ですね。この時点でプレストークしている国はありません。
解析不能だったので調べたら○○だったというのがプレス発表すべきことですから。

どういうルートでどのタイミングでどの表現で発表をするかって大事ですね。

今後の学びにつなげましょう~。
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