私の旅行体験記,

私は南米に6年間勤務しました。その際撮影した写真が700枚ほどあります。これから逐次ご紹介します。

イグアス移住地

2006-10-14 12:26:34 | Weblog
朝日新聞2006年9月29日号に特派員メモとしてイグアス(パラグアイ)の様子が報告されていました。私が以前、写真に掲載したイグアスの滝から50kmほどのところに位置する移住地の報告です。そのまま転載します。

見渡す限り畑の中に「日本の農村」があった。南米パラグアイでは70年前に日本人の移住がはじまった。イグアス移住地の広場には鳥居が立つ。日本人学校の校庭にある土俵では若者がぶつかりけいこをしていた。移住地のSさんのお宅に泊めてもらった。56歳。44年前、小学生の時に鹿児島から一家で海を渡った。
自家製の梅干しは懐かしい酸っぱさだ。「なんでもここでつくるの」と奥さんが言う。地元の大豆でできた豆腐は味が濃いテレビに流れるのは、NHKの国際放送だ。「日本とかわらないでしょう」うららかな陽気に下、日焼けしたSさんのにこやかな顔が誇らしげだ。日が暮れて天候が一変した。大粒の雨がたたきつけ、雷鳴が幾度となく耳をつんざく。そのうちに停電した。「これが移住地の現実ですわ」今度は苦笑いだ。30年ほど前に電気が通った後もしばしば停電するという。
ろうそくの明かりを頼りに移住時の話をうかがった。降りしきる雨音とほの暗さに、風土病にくるしみながら原始林を切り開いた当時が重なる。
日本とまるで違う風土の中で、家族や仲間とともに「新たな故郷」を一から築き上げた人々。その歩みに、胸が熱くなった。(ISHI)