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12月1日(金)の午前中、文部科学委員会のわずか2時間10分のスピード審議で「著作権法改正案」が自民・公明・民主の賛成、社民・共産の反対で可決した。私は、委員会審議の中で、政府が検討しているダウンロード規制について触れて、「海賊ソフトが著作権を侵害している事実はある。ただ、違法コピーであっても個人の利用にとどまる限りにおいては認められているPCへのダウンロードの「禁止と処罰」を盛り込んだ著作権法改正案を提出する前に、「懲役5年→10年 罰金500万円→1000万円」と引き上げるのは順番があべこべではないかと警鐘を鳴らした。

今年の12月からIPマルチキャスト放送が始まる。地上波デジタル放送移行の補完路として地上波放送の再送信が期待されていて、従前は「通信」扱いだった放送内容の送信を「有線放送」扱いとする(文化庁の説明)が主な内容となる。「視覚障害者に対しての録音図書のネット送信」などを著作権者に無許諾で行う内容もあり、
これだけなら短時間の審議で議決することもありえる話だ。しかし、私が指摘しているように「5年→10年」と著作権法違反が重罰化される内容が加えられている。

おそらく来年の参議院選挙後に「ダウンロード規制」を政府が提案したなら、大きな反響を呼んで議論が沸騰するのは間違いがない。そこに「懲役5年→10年」を加えたら、さらに波紋は広がるだろう。だから、今回の地味な改正内容のうちに
罰則を引き上げておくというのは、うがった見方だろうか。

違法コピーの「個人の利用」について、禁止行為となり処罰規定が創設されれば、PCのアクセス内容が捜査対象となる。普通は「個人の行為」は、誰にも知られない時間と内容が多く含まれる。個人が24時間監視されている人はいないだろうし、プライベートな時間には秘密性・匿名性が含まれている。ところが、多くの人が御存知であるように、コンピュータが何時何分、どのサイトにアクセスしたかは履歴として刻まれていく。今回、共謀罪と一緒に法務省が提案しているサイバー犯罪対策を見ると、容疑が浮上した段階でプロバイダーに「サーバーの保全要請」をかけることが出来るようになる。つまり、サーバーに残る「アクセス記録消去禁令」だ。

ネットの世界の「個人の時間」を100%把握することが可能となる。しかも、捜査当局は「著作権法違反事件」の捜査のために、インターネットに向かう全国民を監視対象とすることになる。金曜日の委員会の答弁では、文化庁としては「個人の違法コピーのダウンロードを処罰するかどうかは、今年の3月から文化審議会で議論しているところで、何ら結論が出ていない。ユーザーと権利者が納得できる形になるように慎重に検討していく」(文化庁次長)ということだった。文化庁は「ダウンロードの罰則創設」に必ずしも積極的ではない印象を受けたが、重要なのは政府の知的財産戦略本部(本部長安倍首相)が提案し議論しているという点である。

海賊版(違法コピー)を放置して、コンテンツ産業の発展を阻害してはならないという方向で努力していかなければならないのはその通りだが、「個人を捕捉する厳罰化」が安易に選択されてはならない。委員会では、国会TVのインターネット中継、とりわけ過去の審議記録映像へのアクセスが「参考人質疑など被写体となった当事者の許諾を得ることが必要となる」(文化庁)という見解が語られ、驚くべきことに多くの国民が事後的に見ている委員会審議のライブラリーの存在は、現行の著作権法違反との認識を示したことだ。

立法府は法律を作る場であり、委員会審議は法律審議過程である。そのライブラリーの存在を文化庁が違法であると断じていて何らの法改正も行わないことに仰天するとともに、国民への10年の罰則を引き上げる法律が2時間で通過していくことに苦渋を噛みしめる。(国会TV問題は後日詳しく報告する予定)

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