共同通信から連絡があり、「沖縄の米軍等の事件・事故が年間1000件の衝撃」(2010年5月9日『保坂展人のどこどこ日記』)を見て、更に取材したいとのことだった。昨夜、共同通信から配信された記事を『沖縄タイムス』が掲載していたので、ここに紹介する。
(引用開始)
県内で発生した米兵らによる事件・事故が、2000年度以降の10年間のうち4年度で千件を超え、全国合計に対する割合でも突出していることが18日、防衛省などの集計で判明した。警察庁がまとめた04年以降の米軍人の刑法犯検挙数も一貫して全国の40%以上を占め負担集中が浮き彫りになった。
防衛省資料や「米軍人・軍属による事件被害者の会」が入手した防衛施設庁資料によると、県内で発生した米軍人、軍属による事件・事故の件数は、02年度が1059件(全国合計の約54%)、03年度1159件(約55%)、04年度1010件(約54%)、05年度1012件(約57%)。
ただ08年度以降、個人情報保護の観点から警察が防衛省への情報提供を絞ったため08年度が218件(約36%)、09年度が156件(約27%)と統計上は減少した。米軍属の男が04年、民家に侵入して女性を暴行した事件や、06年の海兵隊員によるタクシー強盗など県内では凶悪犯罪が毎年のように発生。ひき逃げや交通死亡事故も後を絶たない。04~08年に刑法犯として検挙された米軍関連の犯罪件数は最も少なかった06年でも34件で全国総数の45%、最も多い08年は52件で62%に上った。
『沖縄タイムス』5月20日
(引用終了)
過去10年をさかのぼると02年から05年まで、4年間連続で「1000件」を超えていたということが、この記事で更に判明した。また、08年以降の件数が減少していることも初めて知ったが、「個人情報保護のため警察が防衛省への情報提供を絞ったため」という背景もわかった。事実、「米軍関係の犯罪」が08年で急減しているわけではない。
「年間1000件」という数字を聞いて胸が痛むのが大半の人だと思うが、米軍基地の74%が沖縄に集中していることを考えると、「事件・事故の発生率に着目するとそう多くない」という感想を持つ人がいるのに、苦い思いをしている。沖縄という狭い島で、年間にこれだけの事件・事故が集中しているなら、「新たな基地負担」など求めようがないだろうというのが私の見方だ。防衛省が作成してくれた「主な事件・事故」をじっくり見ていただきたい。
(2010年5月9日『保坂展人のどこどこ日記』再録)
2004年
6月15日 北谷村の民家の庭 (※所属・米海兵隊) 米軍機F/A18からの部品の一部が落下。
8月13日 沖縄国際大構内 (普天間) 米軍ヘリ(CH-53D)が墜落。
8月22日 本島中部 (米軍関係者) 米軍関係者による強姦事件(後に1998年6月13日の強姦事件で再逮捕)
2005年
4月27日 伊江村 (トリイ) メインパラシュートが提供施設外に落下。
5月11日 沖縄市 (在韓米軍) 米兵による強盗致傷事件。
6月6日 宜野座村 (キャンプ・シュワブ) 水陸両用車が高架橋の側壁及び上部フェンスに衝突。
6月9日 キャンプ・シュワブ水域内 (キャンプ・シュワブ) 水陸両用車が沈没。
7月3日 沖縄市 (嘉手納) 米兵による強制わいせつ事件。
2006年
1月7日 キャンプ・フォスター内 (キャンプ・フォスター) 米兵によるタクシー強盗事件
3月30日 嘉手納上空 (嘉手納) 米軍機(F-15)からパイロットのミスにより訓練用照明弾を発射。
6月4日 読谷村 (嘉手納) 米兵による交通死亡事故。
7月4日 沖縄市 (海兵隊) 米兵による強盗致傷事件。(08年4月25日事件覚知)
7月30日 北谷町 (トリイ) 米兵によるひき逃げ事故。
8月18日 沖縄市 (海兵隊) 米兵による交通死亡事故。
8月25日 陸軍貯油施設(桑江第2タンクファーム) (嘉手納) 米軍機(F-15)からパイロットの不注意により訓練用照明弾を発射。
12月13日 トリイ通信施設沖の海上 (海兵隊) 米軍ヘリ(CH-53D)が車両吊り下げ中、乱気流を受け、安全のため同車両を海上に投下。
2007年
1月5日~ 北部訓練場(福地ダム・新川ダム) 米軍のものと思われるペイント弾、照明弾等がダム湖から多数発見。
1月15日 沖縄市 (第1防空砲兵大隊PAC3要員) 米兵による強盗致傷事件。
5月26日 沖縄市 (キャンプ瑞慶覧) 米兵による強盗致傷事件。
2008年
1月7日 沖縄市
(普天間) 米兵による強盗致傷事件。
2月10日 北谷町 (キャンプ・トニー) 米兵による少女暴行事件。
2月18日 沖縄市 (米陸軍) 米兵による強姦致傷事件。
3月16日 沖縄市 (嘉手納) 米兵による強盗致傷事件。
4月9日 鳥島村射撃場付近提供海域 (海兵隊) 米軍機が訓練中に実弾をターゲットから外れて誤投下。
8月11日 うるま市 (ホワイトビーチ地区) 米兵による交通死亡事故。
10月24日 名護市 (嘉手納エアロクラブ) 嘉手納エアロクラブ所属のセスナ機が墜落。
2009年
4月4日 那覇市 (キャンプ・ハンセン) 米兵によるひき逃げ事故。
その他の主な事件(上記表の対象期間外のもの)
1995年9月 本島北部 (海兵隊) 米兵による少女暴行事件。
2009年11月 読谷村 (米陸軍) 米軍関係車両によるひき逃げ死亡事件。(捜査中、被疑者未起訴)
(再録終了)
沖縄と同じ密度で、首都圏や関西で「事件・事故」が続いたら、「基地問題」についての見方はまったく違うものになるに違いない。
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