内閣府が発表した08年10月~12月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比3.3%減、年率換算で12.7%減となった。3四半期連続のマイナス成長で、減少率は第1次石油危機時の1974年1―3月期の年率13.1%減に続く約35年ぶりの2ケタ減となった。リーマンブラザーズの破綻当時、「蚊に刺された程度」と言った与謝野大臣の言葉や、「金融危機を乗り切った日本の経験を世界に披瀝する」と意気込んだ麻生総理の認識とは裏腹に、外需依存の日本経済は戦後最大の不況へと突入している。
そんな時、G7財務相・中央銀行総裁会議後の記者会見にヘベレケになってクダをまいている中川昭一財務大臣の姿が世界中で話題になっている。中川氏は「風邪薬の飲み過ぎ」と弁明しているが、テレビで見る限りは、酔っぱらいがクダをまいているように見える。飲酒の有無が問題ではなくて、このようなトンチンカンな姿を世界同時不況への対策を練る会議後の会見で見せたこと自体が信じられない。麻生内閣の緊張感の欠如がいよいよのっぴきならない問題になってきた。
さて、このブログで連続追及中のかんぽの宿問題をめぐって、昨日はNHKの『日曜討論』で議論した。1時間の生放送のうち郵政民営化とかんぽの宿問題を相当多くの時間を費やして議論したが、私は調査した事実にもとづいていくつか発言した。本当なら臨時解説委員となって30分ぐらいは独演会をやりたいぐらいだったのだが。朝日ニュースター『ニュースの深層』という番組では、18日20時から1時間出演して宮崎哲哉さん、堤美果さんを相手に話すことになった。CSの番組なのでケーブルTVなどで契約している人しか観られないが、昨年の出演時には意外にも「見てたよ」という声をかけられた。視聴可能な方はどうぞご覧ください。
日本郵政は総務省に資料を提出するとともに、午後3時から記者会見をした。これまで「競争入札」と表示してきたこと、「一般競争入札」と錯誤した報道があっても訂正を求めていないことなど、契約の基本について公式の「言い訳文書」を作成している。西川社長が私への答弁で述べた「競争入札と企画提案の混合型」という契約手続きの中身は、「一般競争入札」ではなくM&Aだったということを明らかにした。その分析は、明日にゆずるとして今日はその文書をここに紹介しておこうと思う。
ここから日本郵政の文書
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譲渡スキームおよび譲渡先選考方法について
(1)事業の譲渡における入札手続について
日本郵政株式会社は、会計法の適用対象ではないことから、譲渡先選定に当たっては、会計法の下で官公庁等が行ういわゆる「一般競争入札」ではなく、いわゆる事業の譲渡(企業買収・売却)において用いられる入札手続を採用いたしました。
なお、入札という言葉は、事業の譲渡においても用いられますが(注)、「一般競争入札」のように「入札箱」や「入れ札」は存在せず、企画提案書が「入れ札」に相当いたします。また、事業の譲渡においては、事業に伴う不動産のみならず、有形無形の資産、あるいは雇用など総合的に加味して事業価値や買収の条件を決定しなければならないことから、一旦入札した後も、譲渡価格や譲渡に際しての諸条件について売主、買主双方が交渉を重ねたうえで、最終契約に歩み寄って行くことが一般的であります。
この意味で、応札者による入札・開札を経て落札価格が瞬時に決定される「一般競争入札」の手続きと、入札後から最終契約に至るまで、譲渡価格やその他の諸条件に変更の余地を残す事業の譲渡との手続きには、考え方、プロセスに違いはあっても、それぞれの手続きが対象とするものに適応した、公正な手続きであることをご理解いただきたいと考えます。
注:日興コーディアル証券株式会社の事業の譲渡を巡る昨今の報道においても「入札」という表現が用いられている。
(2)事業の一括譲渡について
かんぽの宿の譲渡方法としては、「事業を廃止して不動産を売却」又は「雇用を維持しつつ事業そのものを譲渡」の二通りが考えられます。前者については単なる不動産の売却であるため「一括売却」または「個別売却」の選択が容易ですが、今回の譲渡は、①かんぽの宿等事業を継続し雇用を維持すること、②法律により譲渡・売却の期限(平成24年9月末)が明示されていること、を勘案し、そのためには「事業を一括譲渡する」ことが適当と判断いたしました。
また、譲渡スキームは、種々の継承を円滑に行うため、事業に伴う負債や雇用契約その他の権利義務を一括して譲渡することができる(諸契約相手先等から個別同意を取得せずに権利義務等の包括継承が可能)会社分割(新設分割)の方法を用いることといたしました。
(3)事業の譲渡手続きによる譲渡先の絞込み・選定について
事業の譲渡の手続きにおいては、譲渡先の選考に当たって、可能な限り多くの譲渡候補先を募り、複数回の入札を通じて候補を絞り込むこととなります。
こうした候補先の絞込みが必要となる背景には、それぞれの入札段階において譲渡候補先に開示する情報の量と質が大きく関連します。特に、譲渡対象のデュー・ディリジェンス(事業評価)の作業は、売り手・買い手双方にとって膨大な作業と負担が伴うものであり、また、対象事業の膨大かつ詳細な情報を広く開示することは情報管理の観点からも好ましくないため、候補先を2~3社程度に絞り込んだ後に行うことになります。デュー・ディリジェンス実施後、その結果を踏まえて改めて価格や譲渡条件の再提案を受け、いずれかの候補先1社に優先交渉権を付与し、売主、買主双方が、弁護士やアドバイザーなどを交えつつ、子細な契約条件について交渉することとなります。
ただし、優先交渉権は、あくまでも他の候補先に比して「優先」的に交渉できる権利であって、他の候補先の敗退が決定するわけではありません。優先館を持つ候補先との交渉が決裂した場合には、二番手以下の候補先1社に優先交渉権を付与し、改めて交渉を開始することとなります。
かんぽの宿当事業の譲渡先選定においては上記のような選考手続きを経て、オリックス不動産株式会社へ優先交渉権を付与し、同社との条件交渉を経て、譲渡を決定したものであります。 以上

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