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にわかに動き出した「食品照射解禁」に異議あり
ニュース
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2006年07月13日
国会閉会前の6月、大地を守る会の野田克巳さんから電話があり、長いこと禁止されてきた食品への放射線照射が解禁される動きになっているので、質問主意書で内閣の見解を質してほしいとの要望があった。今日、消費者団体の皆さんに大久保青志秘書が同行して、内閣府原子力委員会の要請に行ってきた。その後、厚労省で記者会見をしていくので数日内にニュースとなるものと予測する。 「スパイス」は、私も大好きで「スパイスの効いた質問」を心がけてきたが、放射線照射の問題があるとは知らなかった。既に衆議院のホームページで公開されているが、質問と答弁をセットにして掲載することにする。ただ、この問題の概要を野田さんに解説してもらい、そのあとに資料として添付することにした。「食の安全」に関心のある方はぜひ読んでほしい。
「食品照射」解禁の動きに反対する!
「食品照射」とは、コバルト60という放射性物質から出るガンマ線など高エネルギーの放射線を食品に照射して、殺菌や殺虫などの食品保存の「効果」を得る技術を指します。聞きなれない言葉だと思いますが、安全性論議の歴史は実はたいへん古く、1965年、政府の原子力委員会が「原子炉の多目的利用の開発」として食品への照射を決めたことに端を発しています。選ばれたのは、米・小麦(殺虫)、ジャガイモ・タマネギ(芽止め)、ミカン(カビ防止)、ウインナーソーセージ・(カマボコなど)水産練り製品(殺菌)の7品目。1972年、厚生省はその中からジャガイモの芽止めを目的とした放射線照射を許可し、1974年から市場に売り出されました。
しかし、当時の照射食品研究成果の報告書によると、照射食品は奇形以外にも体重の減少、卵巣重量の減少、死亡率の増加などを引き起こす可能性など、あまりにも大きな問題があることがわかりました。当然ながら、安全な食品を求める消費者の猛反発を受けました。
結果、ジャガイモ以外の6品目は許可されることなく、食品照射問題は表から消えた状態になっていました。今でも食品照射は食品衛生法で禁止されており、例外的にジャガイモだけが認められている状態が続いています。もちろん、外国から照射した食品が入り込むのは禁止されています。
しかし、この「食品照射」問題が、唐突に「復活」しました。2005年10月、内閣府の原子力委員会は、改めて食品に放射線をあてることを推進する方針を決め、食品照射専門部会を設置し、照射解禁をめざす「まとめ」をしようとしているのです。
ねらいは、ずばり、照射の認可を求めている全国スパイス協会の94品目のスパイスやハーブ、野菜の一部などを中心に、「安全性に問題がないことがわかっているので法律で利用を許可すべき」と訴えることです。
しかし、その取りまとめの骨子があまりに強引で、非科学的かつご都合主義であるので、その問題点を明らかにしようと、保坂展人議員が、質問主意書を出して政府見解を求めてくれました。
6月22日付けで届いた答弁書を見て、びっくりです。食品照射の安全性について、厚生省と原子力委員会の認識にかなりの温度差があることがわかりました。また、これまで、「世界では食品照射がトレンド」だと宣伝してきた原子力委員会が、実は、世界の食品照射の実態を把握していないこともわかりました。この「質問主意書」は相当なインパクトを与えたのです。
食品照射は、安全性を保証するめぼしいデータはなく、検知法といって照射されたかどうか判別する方法も確立されていません。違法にモグリ照射されてもまったくわからないのが現実です。消費者が食品照射を求めているわけでなく、生産者や流通事業者から要望が出ているわけではありません。6月28日に発表された食品照射専門部会の「まとめ」の素案には、たまねぎの毒性データの捏造疑惑さえ出てきました。
原子炉産業界は、小泉政権の終わるドサクサにまぎれての駆け込み認可を取り付けようとしているのでしょうか。消費者団体や市民団体は、6月5日、照射食品反対連絡会を結成、7月13日には、30の賛同団体名で原子力委員会へ反対の申し入れをしました。
どうぞごいっしょに反対運動を盛り上げてください。
(大地を守る会・野田克己)
照射食品に関する質問主意書・答弁書
二〇〇五年一〇月、内閣府原子力委員会は原子力政策大綱で食品照射を推進する方針を決めた。同年一二月、食品照射専門部会を設置し、「基本的な考え方」として、食品照射への理解不足が問題として、現在までに七回の部会と数回の意見の聞き取りを終え、まとめの段階に入っている。
しかし、食品への放射線照射は四十年以上にわたる安全問題があり、消費者にも、食品業界にも影響が大きい処理技術である。かつ、食品照射専門部会で論議されている論点については不明な点が少なくない。よって、本問題について内閣としての答弁を求める。
一 原子力委員会食品照射専門部会(第七回)の「食品照射についていただいているご意見への対応(案)」の対応として書かれている内容について、その説明に使わている引用資料、内容について誤りはないか。また、この対応を書いた責任部局、責任者名を明らかにされたい。
一についての答弁書
原子力委員会食品照射専門部会(以下「専門部会」という。)の第七回会合に提出された「食品照射についていただいているご意見への対応(案)」は、専門部会における調査審議に資する資料として、内閣府政策統括官(科学技術政策担当)が作成した「対応(案)」であり、その取扱いについて、現在、専門部会で検討しているところである。
二 一九七七年のFAO(国連食糧農業機関)・IAEA(国際原子力機関)・WHO(世界保健機関)の食品照射合同専門家委員会の報告書(テクニカルレポート六〇四)のFuture Researchに記された五項目とはどのようなものか。また、一九八〇年の報告書(六五九)に書かれたFuture Researchを具体的に示されたい。一九七七年の五項目の課題は一九八〇年のFAO・IAEA・WHOの合同専門家委員会で一〇kGyまでの照射は安全とした報告(テクニカルレポート六五九)のどこに具体的な結果が報告されているか記されたい。その後、Future Researchに関する研究結果が記載されたテクニカルレポートがあれば具体的にページとその部分を示されたい。
二についての答弁書
昭和五十二年の国際食糧農業機関(以下「FAO」という。)・国際原子力機関(以下「IAEA」という。)・世界保健機関(以下「WHO」という。)の食品照射合同専門家委員会(以下「合同委員会」という。)の報告書(テクニカルレポートシリーズ六〇四)の「今後の研究」に記載された五項目の内容及び昭和五十五年の合同委員会の報告書(テクニカルレポートシリーズ六五九)における対応する箇所は、次のとおりである。
1 照射生成物を更に同定し、その毒性を検討する。 昭和五十五年の合同委員会の報告書の第四章
2 照射した食品を動物に与えたときに起こる変化が照射によるものかどうか判断できるように、個々の動物に対して長年蓄積された動物固有のデータを集め吟味する必要がある。 昭和五十五年の合同委員会の報告書の第七−二章
3 照射による栄養価の損失と他の食品の処理加工又は貯蔵による栄養価の損失との比較、及び照射と他の処理とを組み合わせた時の栄養価に及ぼす影響について調べる必要がある。 昭和五十五年の合同委員会の報告書の第五章
4 照射食品と非照射食品の揮発性物質の毒性を比較する必要がある。 昭和五十五年の合同委員会の報告書の第四−二章
5 パーオキサイドやエポオキサイドの生成、シス−トランス異性化等を考慮に入れて、脂質の放射線分解生成物の化学的、栄養学的、毒性学的検討を行う必要がある。 昭和五十五年の合同委員会の報告書に対応する箇所なし
また、昭和五十五年の合同委員会の報告書の「今後の研究」に記載された内容は、次のとおりである。
1 大規模に照射を行った場合の技術的可能性及び経済性について種々の食品に対して検討する。
2 大線量照射した食品の健全性を検討する。
3 可能ならば、人間の食品に放射線を照射した時の影響について、情報を系統的に収集して整理する。
4 豆類の蛋白質効率及びビタミンB群に及ぼす放射線照射の影響については、一致した見解が得られていないが、豆類は世界各国で重要な食品であるので、これらの事項に対して正しい結論を出す必要がある。
5 葉酸に及ぼす放射線照射の影響についてはほとんど知られていないが、世界のある地域では葉酸の摂取量が少なく葉酸が欠乏する可能性があるので、葉酸を含んでいる代表的な食品についても放射線の影響を検討する必要がある。
6 放射線照射と他の加工処理とを併用した場合に食品の栄養価に及ぼす影響について研究する。
その後の、同報告書の「今後の研究」に関する研究結果が記載された「テクニカルレポート」については、現在のところ把握していない。
三 一九八〇年の一〇kGyまで安全としたテクニカルレポート六五九以後に照射によってできる特異的な生成物はいくつ見つかっているか。2−アルキルシクロブタノン類が見つかったのはいつのことか。ドイツのカールスルーエ連邦栄養研究所で行われた実験で、2−アルキルシクロブタノン類を投与したラットの腸細胞のDNAにダメージを与えるという報告は持っているか。2−アルキルシクロブタノン類はエームス試験で変異原性なしというが、エームス試験に使われた2−アルキルシクロブタノン類は胃液・腸液など生物学的代謝過程を経た後の毒性についてもチェックされたか。2−アルキルシクロブタノン類には発ガン促進作用があると言われているが事実か。2−アルキルシクロブタノン類が微量なら発ガン促進をしないという実験報告はあるか。
三についての答弁書
「照射によってできる特異的な生成物」については、千九百九十年代に2−アルキルシクロブタノン類が着目されるようになったと承知しているが、これ以外のものについての報告は承知していない。また、2−アルキルシクロブタノン類が最初に見付かったのは、昭和四十七年である。
「ドイツのカールスルーエ連邦栄養研究所で行われた実験で、2−アルキルシクロブタノン類を投与したラットの腸細胞のDNAにダメージを与えるという報告」については、デリンシーらによる平成十一年の報告書を保有している。なお、同報告書においては、2−ドデシルシクロブタノンをラットに投与したところ、高濃度投与群で有意なDNA損傷が認められた旨の記載があると承知している。
2−アルキルシクロブタノン類の「胃液・腸液など生物学的代謝過程を経た後の毒性」については、エームス試験で使用された2−ドデシルシクロブタノン及び他のアルキルシクロブタノンは、「胃液・腸液など生物学的代謝過程を経た」ものとは認識していないが、ソマーズが平成十五年及び平成十六年に代謝物質を用いたエームス試験や大腸菌を用いた試験を行った結果、代謝物質の有無にかかわらず突然変異は誘発されなかったと承知している。また、平成十五年にWHOが行った「2−ドデシルブタノン及び関連化合物に関する声明」において、ホルバノビッチらが平成十四年に行った研究で、飲料水に2−アルキルシクロブタノン類を入れて四か月間ラットに摂取させた結果、これらの物質がラット体内の脂肪組織中に蓄積せず、速やかに代謝又は分解される可能性があることが分かったとの報告が紹介されていると承知している。また、同報告において、ラットの体重の増加、臓器の重量及び解剖の所見には異常が認められなかったとされへていると承知している。
2−アルキルシクロブタノン類の「発ガン促進作用」に係る実験については、ラウルらが平成十四年に行った報告において、発がん物質であるアゾキシメタンをラットに投与したところ、三か月後の観察では、当該ラットの飲料水に2−アルキルシクロブタノン類を混合していた群(以下「混合群」という。)について混合していない群に比べ異常はなかったが、六か月後の観察では、混合群について腫瘍数及び腫瘍サイズの増大が認められ、2−アルキルシクロブタノン類に発がん促進作用活性のあることが確認されたとされていると承知している。しかしながら、同報告について、米国の食料医薬品庁は、ラットの2−アルキルシクロブタノン類への暴露量が、人の暴露量とされる値よりも三けた多いこと等から、2−アルキルシクロブタノン類の摂取ががんを促進すると信じるに足る理由を示す実質的な情報や信頼できる情報がないとしていることも承知している。さらに、欧州連合の食品科学委員会は、この実験結果を基に脂質を含む照射食品中の2−アルキルシクロブタノン類を人が摂取することの健康リスクを評価することは
適当でないと結論付けていることも承知している。
四 ドイツのカールスルーエ連邦栄養研究所とカールスルーエ市にある国立原子力研究所とカールスルーエ市に事務所のある国際食品照射プロジェクト(IFIP)の関係について、どのような事実を把握しているか。
四についての答弁書
「食品・食品添加物研究誌」二千四年第十二号によれば、国際食品照射プロジェクト(IFIP)は、国際協力により照射食品の健全性の確立を目指す一環としてカールスルーエ市にある国立原子力研究所内で行われたものとされている。国立原子力研究所とカールスルーエ連邦栄養研究所との関係については承知していない。
五 一九七七年、FAO・IAEA・WHOの合同専門家委員会に出席した専門家は誰か。このとき日本から提出した報告の作成責任者は誰か。日本政府として「FAO・IAEA・WHOの合同専門家委員会」に派遣する専門家にどのような権限を与えているのか。この報告書二九ページに書かれているタマネギの結果と照射食品研究成果報告書に書かれている内容で矛盾する点はないか。一九七七年のテクニカルレポート(六〇四)には日本のタマネギ実験で卵巣と睾丸の重量に統計的有意差が出た。病理組織学的変化がなかったとされているが、組織が同じなら卵細胞数が減少していなければ説明がつかないことになる。この問題について具体的に確認をとっているか。また、奇形の出た実験をコントロール群の動物数が少ないため、また、使ったマウスの系統のためとしているが、統計的な有意差があるのだから、動物数は関係ない。また、系が違うというような初歩的ミスを犯した実験をする機関に実験を依頼したことについてどのように考えるか。
また、一九八〇年のFAO・IAEA・WHOの合同専門家委員会の一〇kGyまでの照射は安全であるとした報告書は日本国政府を拘束するものか。
五についての答弁書
昭和五十二年に公表された合同委員会の報告書については、昭和五十一年に行われた合同委員会の結果を取りまとめたものと承知している。同報告書によれば、昭和五十一年に行われた合同委員会に我が国から参加した専門家は、当時理化学研究所に所属していた松山晃であり、専門家会合の構成員として出席した。合同委員会は、専門的観点から国際的に研究者が議論する場であると考える。
放射線が照射されたたまねぎの毒性について、昭和五十二年の合同委員会の報告書は、「以上の毒性試験結果は、照射タマネギを食べても何ら健康上の問題がないことを示している。」としている。「放射線照射による玉ねぎの発芽防止に関する研究成果報告書」は、「いずれの試験においても、照射によると考えられる影響は認められなかった。」としており、双方のこの評価に矛盾はないと考えている。
昭和五十五年に食品照射研究開発基本計画に基づき原子力委員会に報告された「放射線照射による玉ねぎの発芽防止に関する研究成果報告書」において、「放射線照射による玉ねぎの発芽防止に関する研究は、食品照射研究開発基本計画に基づいて実施され、おおむね所期の成果を達成した。」とされており、実験を行った機関は、最終的におおむね所期の成果を達成したものと評価されている。
また、昭和五十五年の合同委員会の報告書は、国際的に研究者が議論をし、専門的観点からの照射食品の健全性に関する見解を取りまとめたものであり、その内容は照射食品に対する我が国政府の方針を拘束するものではない。
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