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 1966年(昭和41年)に都市計画決定された外環道は、周辺住民の反対の声が強く30年にわたって「凍結」されていた。1999年に石原東京都知事が「地下化」を表明し、今から2年前の2007年に従来の「高架式」から「地下方式」に都市計画決定の変更がされたのは、よく知られている通りである。さらに、今年になって補正予算が95億円(東京都は26億円)ついて、4月28日には国幹会議で整備計画に格上げされ、5月29日国土交通省は「事業着手」をホームページにこっそりアップしている。私も含めて、多くの人の認識は「高架をやめて大深度地下でつくるのか」というところだが、実は都道としての地上部分の都市計画決定はどっこい生きているという。1996年当時は、「外環道」「外環ノ2」というふたつの道路を都市計画決定していた。「外環ノ2」は下記の図のように、高架を支える40メートル幅の街路として建設が予定されていた。「高架→地下」と変更されたら、この高架道路を支えるための「外環ノ2」は自動消滅するのかと思ったが、「つくる可能性はある」というのだ。外環道だけでも、1兆2千800億円というバカ高い工事費が計上されている。地上にもつくるのなら、いったいいくらかかるのか。今日の衆議院内閣委員会で質問した。



保坂 すべての選択肢があるということなんですね。全ての選択肢があるということは、道路になる可能性もあるわけですよ。道路になる可能性があれば、外環道ではじいたB/C(ビーバイシー)、交通量の予測、少し下げられたようですけど、3を切った。B/Cや環境への負荷など、一体としてやるのかやらないの、はっきりしたらどうですか。B/Cは、両方つくった場合、どうなるんですか。

国土交通省審議官 外環道のB/Cは、先生ご指摘の通り、2・9とださせていただいています。もととなりました将来交通量、都市計画決定されていて、計画は現在残っていますので、計画中の道路も含め、それも考慮したB/Cとなっています。

保坂 確認しますが、上に道路ができることを前提にはじいているということでよろしいですか。

審議官 その通りでございます。

 この質問は、国土交通省が外環道のB/C(費用対便益)を2・9とはじき出すにあたって、地上部の道路が出来るという前提で計算しているかどうかを問うたものだ。答弁を聞いて、オッと驚いた。あっさりと、地上部の「外環ノ2」建設を認めたからだ。

 正直言って、この国のダメさ加減を見た思いだ。私は、外環道を大深度地下につくることについても、地下水系への影響、地震・火災などの防災面での問題など多くの問題点があると思っている。しかし、そもそも地下につくるという発想の根底にあったのは、外環道の建設予定地は住宅が密集しているために反対も強く、立ち退き・移転なども困難であるからではなかったのか。「地下にもつくるけど、地上もあきらめちゃいないよ」と、国土交通省と東京都都市整備局はシレッと語るのだが、この人たちは税金をいくら投入しても際限がないとでも思っているのだろうか。

 外環道問題には長い歴史がある。「外環ノ2」がどのような経過で今日に至っているのかを外環道検討会の古川英夫さんがメモにまとめてくれた。以下、紹介することにしたい。

「外環の2」に関する経過について
 
●外環道は、外環本線(大深度地下トンネル利用 高速道路…国道)と、「外環の2(地上部街路で一般道路、都道)」の二つの道路に分けられます。住民からすると外環と呼ぶ時には、通常この両者を合わせて呼んでいます。

●又、住民感情からすると地下トンネル方式ですと直接、自分の家にはどのような影響が出てくるか判らない事が多いですが、外環の2の方の地上部街路となりますと 直ぐに立ち退きの問題が発生しますので むしろ、この方が気になるところです。

●昭和41年に、外環道の都市計画案が提示された時には、高架部分の高速道と地上部街路の一般道と、共に地上案でしたから、とにかく立ち退きの対象戸数が多く結局、無理という事になり40年以上凍結状態となりました。

●ところが、平成10年頃になり、それなら高架の部分を地下にしたらどうか?
という意見が出され、この案での都市計画案が再び脚光を浴びて来ました。地上では余りにも犠牲が大きい…という事で、地下に潜るから…という事で再提案された訳です。行政からの説明段階でも、「地下だから安心して欲しい」という様な説明でしたが、結局はその後、「実は外環の2という道路は 別の都市計画案なので、やはりそれはそれで、やはり生きた計画として、引き続いて、進めて行きたい」と言い出したのです。

●この二つの外環を同時に進めて行くと、国の方は何時まで経っても、外環の2が足を引っ張って着工出来ない…という事からか、都は、昨年からは、外環でも二つの内、「地下トンネルの本線の方を優先して進めることとする」と言い出したのです。今年の3月、国幹会議で、外環本線は「着工OK」を受けて動き出したので、今度は「外環の2」の番となりました。

●先月(6月)15日、武蔵野市では、「市報むさしの」の紙面で「外環の2」についての意見を聴く会をスタートさせたい、ついては町別に応募人員を決めて募集したい…と発表されたのです。ところがその人数は合計でわずか10名でした。広く住民の意見を聞きたいと言っておきながらこの人数でした。ちなみに昨年の外環本線の場合は、同じ方式で公募されましたが、100人でした。

●東京都は外環の2について、同様に他の自治体、練馬区、杉並区、三鷹市も同様に声を掛けて行き、意見を聴く会を進めて行くものと思われます。

●住民からすると、外環というのは、外環本線(地下トンネル)と外環の2(地上部道路)は一体ものと考えて居り、そもそも別個に分けて考えるという事はおかしいと考えています。

●東京都は、以前から話し合いを始める際には、必要なデーターを事前に配布する…と通知していますが、未だに何も知らされていません。例えば

・外環の2の関係では、一体いくらのコストが掛かるのか?
・立ち退きの戸数は一体どの位発生するのか?

東京都は、外環の2については、3案用意し(*)どれにするか決めて貰いたいとも言っていますが、その3案のケース別、上記の数字が不明なのです。

 *の3案 (1)現状都市計画案で進め、道路と緑地を整備
      (2)都市計画の区域を縮小して車道と歩道を整備
      (3)代替機能を確保して「外環の2」の都市計画を廃止

国としても、外環道の二つは別個のものでなく、一つの道路であると認識して取り組む必要が有るのではないでしょうか?

(古川英夫)

[引用終了]

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