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昨日の東京新聞(2006年9月22日)に『共謀罪「本家」米国は留保付き批准』という記事が載った。9月13日付けの『どこどこ日記』で紹介した通り衝撃的な事実がついにマスコミでも明らかになった。日本弁護士連合会もこの点を重視し、20日法務省に意見書を提出している。「日本国内では共謀罪を立法する特段の情勢(立法事実)はなく、国際組織犯罪条約の要求する国内法制化のために早期成立が必要」と答弁してきた法務省が、世界でもっとも親米的な小泉政権の刑事司法を担当する役所として「米国の留保」を知らなかったとは言わせない。何が重大なのか、日弁連の意見書でおさらいしてみると、

「アメリカ合衆国は2005年11月に条約を批准している。批准にあたり、国務長官が大統領あてに提出した批准の提案書によると、次のような理由で条約5条を留保していることが判明した。アメリカ州法は、条約に規定されているすべての行為を犯罪化しているわけではなく、一部の州では極めて限定された共謀罪の法制しかない。アメリカは州内で行われる行為についてまで、犯罪かの義務を追わないという留保を行って条約を批准しているのである」(日弁連意見書5ページ)

連邦法で共謀罪を持つアメリカは、州と州をまたぐ犯罪、及び国境をまたぐ犯罪については共謀罪の適用がされるが、純粋ローカルで州内的な犯罪全てに共謀罪を創設するわけにはいかない。アメリカは連邦国家であり、これは連邦制の根幹に関わる問題だ。たとえ、一部の州で共謀罪が完全なものでなくても、他の締約国に対しての国際協力を提供するにあたっての影響はないものと判断したのだろう。

外務省に問い合わせてみた。人権人道課の中にある組織犯罪対策室に電話で照会し、文書でアメリカの「留保」について記述するように求めたが、「即答できない。上司の判断を仰がなければならない」とのこと。その結果、1週間後に届いた回答(外務省の見解)は「アメリカの留保は、おたずねのように条約5条を留保したのではないたものと認識している」というものだった。この回答書は、もう一度外務省に確認してその意味するところを問いたいと思う。国会で、何度もアメリカをはじめとした共謀罪を持つ国の適用状況はどうなのか。世界各国の国内法制化の状況はと質問を重ねてきたが、「ノルウェーが国内法を整えたこと以外はわかりません」という返答だった。

このブログでも紹介してきた『国連立法ガイド』の趣旨を100%生かしてアメリカは「条約を留保」するたとを決めて、以下のように手続きを進めた。2004年1月22日国務省長官が大統領に批准を提案し、同年2月23日に大統領が上院に批准を提案、2005年8月31日上院外交委員会で議決、10月7日上院で議決、11月3日批准。つまり、昨年の特別国会で日本の衆議院法務委員会で激論を交わしていた時期とぴったり重なる。

その間、外務省は「留保は出来ません」「留保は無理です」と繰り返していたのである。「条約の趣旨・目的」と両立する限り留保、または解釈宣言が出来るはずだが、国際組織犯罪の要請を受けて立法化しようとする共謀罪制定にあたって、かくも国際社会の動向に無関心で、各国の立法状況を参考にしようとしない法務省・外務省には「条約」を奇貨として探ろうとしてきた別の意図があるのではないか。

それは、私が一番心配してきた監視社会のための治安立法を一気に完成させてしまうことではないのか。違うのであれば、ゼロからの出発が求められる。

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