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 今日、最高裁判所を呼んで、かねてから投書によって把握していた裁判員候補・裁判員に対しての「日当ソフト」の欠陥を質した。簡単に言えば、お役所仕事で、鉄道、船舶などの運賃は実費精算されるが、バス代金の全国ソフトが入手出来なかったために、キロあたり37円という精算になってしまうという仕組みであることが判明した。つまり、どんなに最短距離であってもバス代を請求すると「旅費日当計算プログラム」のデータ外なので、実費精算が出来ないという事態になるということだ。

 最高裁判所経理局に私が言ったのは、「なぜ、こんな不完全なソフトを導入したんだ。絶対に混乱が起きると思うよ」という点だ。どの企業でも、「交通費実費支給」ということであれば、使用した鉄道・バスなどの運賃を実費で精算することが当たり前となっている。「バス代は支払えないんですよ」と言われたとたん、「そうですか」と納得する人が何人いるだろうか。100円、200円かもしれないが、「実際にかかったのになぜ支払えないのか」という苦情に対応する裁判所職員がかわいそうではないか。

 最高裁判所は、「裁判員候補・裁判員」として呼び出す交通費の「日当計算ソフト」に旅費法の規定を使っている。旅費法は公務員の出張の時に使われるものだ。まずは条文を御覧あれ。


国家公務員の旅費に関する法律

(車賃)
第19条 車賃の額は、1キロメートルにつき37円とする。ただし、公務上の必要又は天災その他やむを得ない事情により定額の車賃で旅行の実費を支弁することができない場合には、実費額による。

2 車賃は、全路程を通算して計算する。ただし、第12条の規定により区分計算をする場合には、その区分された路程ごとに通算して計算する。

3 前項の規定により通算した路程に1キロメートル未満の端数を生じたときは、これを切り捨てる。

 解説書を読むと、車賃が支給されるのは徒歩、軌道、バス等による旅行の場合。このうち、軌道、バス等によった場合でも、これらの交通機関の運賃と関係なく路程に応じた車賃の定額が支給されるとある。

「なんだ、軌道って鉄道でしょ。これはどうなっているの」と聞くと、「軌道は鉄道じゃありません。たとえばモノレールとかが軌道にあたります」(最高裁)という答え。「エッ。モノレールもこのキロあたり37円なの」と聞くと、「モノレールは、運賃ソフトがありましたので実費が支払えます」との答え。

「それなら、裁判所の窓口にバス会社の運賃表を置いて、それで確認してもらいながら手書きで申告してもらったらどうだ」と指摘すると、「それが、全国の裁判所に追加ソフトを入れようとすると大変で…何か不都合が起きたら、また対応します」(最高裁)

 明らかに問題は起きるだろう。なぜ、予測出来ることに対応が出来ないんだ。こんな計算ソフトに1億円以上かけたという契約の中身も問題かもしれない。裁判員制度に多くの問題点を指摘してきた私としては、この「バス代は実費精算せず」という発想には、「お上が下々の者を呼び出す」という感覚がプンプンするように感じられる。責任ある回答をしてもらいたいと最高裁に求めたが、皆さんどう思いますか。

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