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 国民新党が「ラフレさいたま」に議員視察団を派遣すると聞き、長谷川憲正副幹事長に頼んで、同行させてもらった。大型バスで昼過ぎに出発したが、民主党の原口一博議員も昨夜、参加を決めたとのことで、「野党3党」の構図が出来た。さいたま新都心に現れた「ラフレさいたま」を見て、バスの中からは「オーッ」という声があがった。ホームページの写真で見る以上に立派な施設だった。




 日本郵政の有本眞介ラフレ埼玉館長が私たちに向けて説明を行った。
「平成5年に、地元の県知事、浦和、大宮、与野市長から宿泊施設建設の要望があり、平成12年9月にオープンしました。187室、223名の宿泊が可能で、満室率は75%です。毎年21億~22億円の収入がありますが、昨年は9000万円の赤字(内6500万円が減価償却)です」。私は質問をさせてもらった。土地・建物の初期費用はいくらだったのか。有本館長はつぎのように答えた。

土地 平成5年3月 61億8000万円
建物 平成4年11月 216億4000万円(合計で278億2000万円)
 それに、備品は含まれていますか、と聞くと、「含まれていません。今、手元に数字はありません」とのことだから、おそらく300億円は超えているのだろう。もうひとつ、質問をさせてもらった。

 借り入れ金はあるのですか。また、初期費用の300億円はどのように捻出されたのでしょうか。

 日本郵政の本社から来た担当者が答える。
 「そもそも、この施設は簡易保険福祉事業団が、簡易保険の余剰金から建設してきたもので、運営費については国からの交付金も出ていました。ですから、借り入れ金はありません」
 
 とすれば、100%「簡易保険加入者の共有資産」ではないか。もし、日本郵政が売却するのであれば、市場価格を下回らない価格をつけて、現在のかんぽ生命を通して簡易保険加入者(5000万件)の国民に配当するべきだろう。「ラフレさいたま」の1カ所だけでオリックスは丸儲けだ。他の「かんぽの宿」とは比べようもない資産価値がある。郵政出身の長谷川憲正議員が鋭い質問をした。
 「民営化される前と後で、この施設で変化したことはありませんか」

 有本館長は正直に答える。「ひとつだけあります。ここには健康診断の施設がありました。常勤のドクターと看護士がいて、身体状況をチェックしていました。これを民営化後に廃止しています」。私の頭の中には、雇用保険を原資とした豪華ホテル『スパウザ小田原』が浮かんできた。ここも、健康診断施設の名目で建設されたが、売却前にこの診断室は廃止されている。「ラフレさいたまは『かんぽの宿』ではないような気がするが、『かんぽの宿』なのかどうか」と聞いてみた。

 「ここは簡易保険総合健康増進センターとしてつくられましたので、『かんぽの宿』とは違います」と有本館長。手元に配られた封筒を見ると、確かに「ラフレさいたま」の下に「簡易保険総合健康増進センター」と書かれた文字が白テープで消されていた。オリックスへの一括売却リストの中に、「かんぽの宿」ではない「ラフレさいたま」や社宅がなぜ入りこんだのか不透明な印象を受ける。



 雇用を守るという条件で、一括譲渡したという説明も怪しくなってきた。ここで働いている職員(正社員)はわずかに5人。ホテル部門はウェルネス総合サービス、スポーツクラブはセントラルスポーツという委託先と契約を結んでいる。また警備や設備保守、清掃などは請負契約だ。つまり、アルバイトやパートでもなく、間接雇用の人たちで、事実上このホテルは運営されている。日本郵政とオリックスとの契約では、正社員は「期間の定めのない雇用とする」という一般的な条項があるだけで、しかもこの条項に該当するのは正社員である5人だけということも判明した。



 まさに「百聞は一見にしかず」だ。この、タイムリーな視察を組み、突然の参加申し入れを快諾してくれた国民新党に感謝、感謝だ。原口議員も「予算委員会、総務委員会で徹底的にやりたい」と闘志満々だった。「小泉構造改革」の本丸と呼ばれた「郵政」が、インサイダー情報による「利権の本丸」となっていないかどうか、徹底審議を求めたいと思う。



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