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「民法772条=300日問題」(離婚後300日以内に生まれた子は前夫の子と推定規定)の見直し問題で、自民・公明両党のプロジェクトチームで議員立法を目指す動きに対して、政府・与党内の「伝統的保守派」から冷水が浴びせられた。長勢甚遠法務大臣の発言にはわが耳を疑った。4月6日の記者会見で、「性道徳や貞操義務についても考えないとならない」と述べたと報道された。法務省民事局は、一部見直しをする民事局長通達案を正式発表し。議員立法は不要としている。

「民事局長通達案は「離婚後に懐胎したことが証明できた場合」に限って「現夫の子」と認める案。対するPTの特例新法案は、前夫との離婚が成立する前に懐胎した場合でもDNA鑑定などで現夫の子と認められ、救済範囲が広い。
長勢法相はPT案を「民法の根幹を真っ向から違う仕組みにするもの」と批判。「再婚禁止期間短縮」問題も含めて「日本の家族をつくり変えようという国民の理解があるとは思えない」とした」(朝日新聞4月6日)

「貞操義務」という言葉を久しぶりに聞いた。「夫婦が相互に配偶者以外の相手と性的関係をもたない義務。その違反は離婚原因となる。守操義務」(三省堂・国語辞典) 言葉の上では男女交互の義務ということになるが、「再婚禁止期間180日」という民法上の制約は女性にのみかかっている。法務省の「救済措置」にしても
「離婚」手続き後に懐胎した女性にのみ適用する方針で、「300日問題」で壁にあたるカップルのほんのわずかしか救済できない。

誰もが紳士的に平和に離婚手続きが出来るわけではない。家庭内暴力(DV)を繰り返す前の夫と連絡を絶った女性が、新たに出会った男性との間に子どもをつくり、
出産を控えて「離婚手続き」を行ったとしても、その手続きから300日以内に子どもが生まれてしまえば、推定規定が働いて「前夫の子」とされてしまう。裁判などで対処するには、たくさんのエネルギーと資金が必要となり、子どもが生まれた喜びも半減してしまう。

長勢甚遠法務大臣と法務省は、民法772条300日問題の救済策を具体化して「子どもを産みやすい社会」とすることに抵抗し、明治時代と変わらぬ制約を「貞操義務」「性道徳」の名で踏襲しようとしている。共謀罪創設をめぐって論戦し、意見の隔たりもある自民党の早川忠孝議員が御自身のブログで正論を展開している。民法772条300日問題について、この国会で何の結論も出さないとしたら「錆びついた政治」と呼ばれても仕方がない。

明日、早川議員は長勢法相と会談するようだ。統一地方選挙前半戦のニュースの影で何が語られるのか注目して、火曜日の法務委員会で「貞操義務と性道徳」について長勢法相と法務省の見解をしっかり聞いてみようと思う。



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