佐世保道路が道路特定財源から28億2千万円もかけて、たった8棟の「米軍住宅」に化けた問題を予算委員会で追及した。この道路特定財源問題は奥が深くて、問題は米軍住宅への流用に止まらなかった。現地に行って見てみると、この佐世保道路は、暫定2車線という方式でつくられている。暫定2車線とは、もともと4車線道路(片道2車線)として企画・立案されて、当面は暫定的に2車線(片道1車線)で供用を開始するというものだ。暫定税率が半永久的に続いているこの国の道路行政は、よっぽど「暫定」が好きらしい。週末にもらった国土交通省の資料(「高規格幹線道路の完成・暫定区分」)によると、工事中の高速道路3171キロ中、暫定2車線でつくられているのが2690キロで85%にのぼるというのだ。
冬柴国土交通大臣は国交省の言い分を繰り返すだけで、これだけの暫定2車線工事が本当に必要なのかどうかの検証をするつもりはない。ただ、すでに工事を終えて暫定2車線で供用されている道路の4分の1は10年を経過しても、なお拡幅されていないという現実がある。交通量予測などを精密にして、当初から「完成2車線」で施行していればコスト減をはかることが出来た道路がきっとあるはずだと詰めたが、のらりくらり。国交省側は、「完成2車線」の場合は「暫定2車線」に比べて3~4割はコストダウンできるという説明なので、税金が無駄に使われなくてもすむ措置を政府は本気で考えているのか福田総理に問うた。「見直すべきは見直す」ということだったが、「暫定2車線」でつくってしまってから見直しても金は返ってこない。
今日の予算委員会では、もうひとつスマート・インターチェンジも登場した。これは、「せいぜい8億」(冬柴大臣07年参議院予算委員会)という触れ込みで低価格で便利なシステムということだったが、ところがどっこい違っていたという話だ。
簡易名目で高額インター 国交省道路中期計画
約20カ所に3000億円 建設費、最大で50倍
2008年2月9日 東京新聞朝刊
国土交通省が策定した道路中期計画で、高速道路の簡易インターチェンジ(IC)整備事業として盛り込んだ五千億円の中に、道路拡幅工事を含む一カ所百数十億円のICが二十-二十五カ所あり、建設費として総額約三千億円を見込んでいることが分かった。簡易ICはサービスエリア(SA)などを利用して一カ所数億-二十億円程度でできるため、国交省は低コストをPRして二〇〇六年度から本格導入した。安価を売りにした事業に、巨額の道路工事費が含まれていたことで、強い批判を受けそうだ。
もともとは、サービスエリアなど既存の施設に出入口をつくりETCを設置しようということだったが、このスタイルの工事も20億円も消化している。また、暫定2車線を拡幅して本線に直接接続するタイプのスマート・インターチェンジが増殖していて、これは1ヶ所120億~150億円というどこがスマートなのか判らない金額となっている。しかも、59兆円の道路予算の外に5000億円の道路特定財源を導入してちゃっかり作り続けようとという話で実に不透明だ。福田総理は「スマート・インターチェンジの原則を逸脱すると疑いを持たれることになる」という意味深の答弁をした。これらの肥大化したスマート・インターチェンジがどこにつくられているのか検証を続けたい。
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