昨日の朝、急ぐことがあって、東京駅から永田町までタクシーに乗った。中年ドライバー氏だった。
「今日は忙しいでしょうね。月末の金曜日で、しかも雨っ降りだから……」
お愛想半分のつもりで、私は声をかけた。
「さあ、どうでしょうかねえ、とにかくお客さんの財布の紐が固くって!」
いきなり財布の紐の話になった。ウンザリしているようなドライバー氏の言葉だ。
「私から見て、みなさんは金があるはずなんですよね。振り込め詐欺に何百万何千万と払っているんですから、金がないなんて思えませんよ!」
まるで怒っているようなのドライバー氏だ。
「そうも言えるね」 朝から、私はタジタジ。
「不景気になるって宣伝するモンだから、財布の紐を締めちゃって!」 ドライバー氏の言葉は続く。
「でも、現実に仕事は減ってきているし、いつ解雇されるか分からないしね」 と、私。
「いや、若い人はそうでしょうが、今の年寄りは金持ちなんですよ。苦しかった時代を経験しているので、我慢強いから、財布の紐をキュッと締めちゃったんです。少しは後輩たちのために、金を使ってほしいですね。どうせ墓場には持って行けないんだから……」
ドライバー氏の話は、どんどん辛辣になる。まるで年寄りに対する恨み節だ。
「あと、若い娘たちも金を持っているなあ」 急に話題が逸れた。
「どうして?」 そんなことはあるまいと、私は思ったのだ。
「中学生や高校生の女の子、とにかく金遣いが荒いですよ!錦糸町付近で乗り込んできて、渋谷へ行ってくれって言うんですから。何処から出ている金なのかなあ」
「親からもらうんじゃないの?」 私の素直な気持ちだ。
「まさか!親がそんなに金を渡すはずがないですよ!」
「それじゃあ、援交かい?」
「そうかもしれないなあ。あいつら、怖いものなしですからねえ」
このあたり、ドライバー氏の独り言めいていた。
そのあと、自分の娘の携帯電話のほうへ話が移った。電話使用料が莫大なのだとか。
私が降りるまで、ドライバー氏の独演会が続いた。怒り節だったり恨み節だったり……。
それにしても、若い娘たちの豪勢な金遣いは、とても気になる話だった。
ここのところ、冴えない話ばかり。どんどん不況へ向かっていることは確かなようだ。
明るい話はないものか。
今朝の雨は激しい。これから外出だ。
別館として、写真俳句ブログの「いのちの囁き」を開いております。
よろしかったら、そちらのほうへのお出で下さいませんか。
こちらへ → http://hiyodori2.shashin-haiku.jp/
ランキングに参加しております。
↓ ↓