hiyamizu's blog

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角田光代・三好銀『西荻窪キネマ銀光座』を読む

2014年03月13日 | 読書2

角田光代(文)、三好銀(漫画)『西荻窪キネマ銀光座』(角川文庫2014年1月25日発行)を読んだ。

小さな町の古い映画館、そこで見た23本の映画で喚起された文を角田さんが書き、映画や文とは関連があるとは思えない漫画を三好さんが書いている。ちなみに、西荻窪には映画館はありません。多分。


角田さんのプロローグ、三好さんのプロローグ(漫画)に続き、最初の映画「ローマの休日」のストーリーと監督名などのクレジット・タイトルが紹介され、この映画に関する角田さんの文と三好さんの漫画の順で続く。

角田さんの文は、その映画のことは若干触れる程度で、映画を見た当時の若き日の彼女や友人などに思いをはせる。その映画で喚起された角田さんの若き日を懐かしむエッセイと言った方がよい。
三好さんの漫画は、映画にはまったく関係ないと私には思えてしまう。なかなか雰囲気ある漫画ではあるのだが

紹介される映画は、以下。
ローマの休日/キャリー/ポンヌフの恋人/バーディ/キッズ・リターン/ダンサー・イン・ザ・ダーク/バベットの晩餐会/バッファロー’66/明日に向って撃て!/オール・アバウト・マイ・マザー/ションベン・ライダー/ドランク・モンキー酔拳/太陽がいっぱい/エレキの若大将/アメリカン・ビューティー/風の谷のナウシカ/ブルーベルベット/エンジェル・アット・マイ・テーブル/仁義なき戦い・広島死闘編/17歳のカルテ/三月のライオン/ロング・グッドバイ

一つだけ引用する。
友達つきあいを決定的に避け、家族にしか心を許さず、恋愛にあこがれながらだれをも愛さず、現実に順応できず、息苦しさを克服できず、苦手なことに背を向け続け、そうしながら、でもみんなみたいになりたくてたまらない。・・・
 ジーンも私も物書きという仕事を選ぶ。これは偶然ではなくて、物書きという仕事は、このようなうざったい人間に選ばれるべき仕事だと私は思っている。


実業之日本社ホームページ「Webギンザ一丁目」(現在閲覧不可)に1年間連載したものに追加して、2003年6月単行本化



私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

角田ファンには、角田さんの若き日への懐かしさを語る部分は、事実関係に下世話な興味があり、かっての自由な日々を甘酸っぱく振り返る角田さんの様子にもフムフムと思う。
漫画は思わせぶりな雰囲気だけで、意味わか~んない。



角田光代(かくた・みつよ)
1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。
90年「幸福な遊戯」で「海燕」新人文学賞を受賞しデビュー。
96年「まどろむ夜のUFO」で野間文芸新人賞、
98年「ぼくはきみのおにいさん」で坪田譲治文学賞、
「キッドナップ・ツアー」で99年産経児童出版文化賞フジテレビ賞、
2000年路傍の石文学賞を受賞。
2003年「空中庭園」で婦人公論文芸賞を受賞。
2005年「対岸の彼女」で第132回直木賞。
2006年「ロック母」で川端康成文学賞を受賞。
2007年「八日目の蝉」で中央公論文芸賞をいずれも受賞
2009年ミュージシャン河野丈洋と再婚。習い事は英会話とボクシング。趣味は旅行で30ヶ国以上に行った。
その他、「水曜日の神さま」「森に眠る魚」「何も持たず存在するということ」「マザコン」「予定日はジミーペイジ」「恋をしよう。夢をみよう。旅にでよう。 」「私たちには物語がある 」「 愛がなんだ 」「 ひそやかな花園 」「 よなかの散歩園 」「 さがしもの 」「 彼女のこんだて帖 」「 かなたの子 」「 幾千の夜、昨日の月 」「 口紅のとき 」「 曽根崎心中 」「 紙の月 」「 それもまたちいさな光 」「私のなかの彼女
その他、穂村弘との共著「 異性


三好銀(みよし・ぎん)
1955年静岡県生まれ。漫画家。
1989年ビッグコミックスピリッツ(小学館)でデビュー
『いるのにいない日曜日』、「海辺へ行く道」シリーズ(KADOKAWAエンターブレイン)他




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