『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1320

2018-06-29 08:13:55 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『よし!いいだろう。今日の業務はこれで終了だな』と独りごちる。
 全員が集まっている建造の場に立つ、一同に向けて声をかける。
 『おう、諸君!今日は大変にご苦労であった。予定していた船台の構築が完了した。やり遂げたてくれた一同に感謝している。本日の業務はこれを以って終了とする。明日は、船舶建造の要の場である、建造部材製作の場の整備を行う』
 ドックスは言葉をここできって場にいる一同とゆっくり時間をかけて、顔を合わせる。
 『おうっ!』『おうっ!』『おうっ!』の返事が返る。
 ドックスの言葉が続く。
 『このあと、班長一同と明日の作業の打ち合わせをする。こちらに集まってくれ』と言い終え、『一同!解散!』と大声で告げる、場の集合が解かれる。
 集まっている班長らが円陣体形で場に腰を下ろす、その中央に立つドックス。
 『では』と言い、一同と顔を合わせる。
 『これより、明日の作業について説明する』
 ドックスは、建造部材の製作の場は、いかに重要な場であるかを一同に告げる。
 『そういうことだ。一同、よく理解したな!』
 一同と目を合わせる。
 『そのようなわけで、明日の作業は、細心の注意、慎重整備で整備作業を進める。いいな!』
 ドックスは、44の目とジイ~ッと目を合わせる、目線の合致で意思を班長らの意識に届ける。強い信念、想念を込めて目を合わせる。
 『ということで、各班の担当部署と整備の要諦を明朝、現場において説明する』
 ドックスが言い終わる、一同から声があがる。
 『ドックス棟梁!了解しました』と班長らのうちの五、六人が応える。それにつれて、『おうっ!おうっ!』と一同の喊声がどよめく。
 場を見まわすドックス、目線が合う、意思が通じる。
 『これで打ち合わせを終える。明日をよろしく頼む』とドックスは言葉を結んだ。
 『では、これにて解散する』
 場が解ける。ドックスはオキテスの席場におもむく、今日の作業の終了と明日の作業予定について、報告と打ち合わせを終えて場を引きあげる。
 ドックスは建造の場の中央に立つ、場を眺める。
 『今日という日は長かったな。明日もある』とつぶやいて場から立ち去る。
 歩を運びながら、思考のスイッチをオンにする。
 明日の作業詳細と段取りを頭中にまとめる。
 夕食を手に持って、建造の場に戻る、宵の迫りにはまだ間がある、独りきりで場に座して、パリヌルスから手渡された、新々艇の構想図と対峙する。
 夕食を口にする、口を動かす、噛む、思考のリズム、咀嚼のリズム、同調する、思考する、集中度が高まっていく。
 『お~、冴えている!』
 そんな自分に気づく、自信ある思考展開、新々艇の構想を多角的に練りあげていった。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1319

2018-06-28 08:24:56 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 キドニアにおいて業務を終えた一行は、ニューキドニアの浜に帰り着く、ギアスはオキテスに復命する。
 『おう、ギアス、ごくろうであった。今月の月うちに済ませるべきことをやり終えたといった感じだ。これでこちらの仕事に集中できる』
 オキテスは、木板を前にして、建造開始式の構想を練っている。頭の片隅では明日に迫った建造用材の受け入れのことを考えながらである。
 ドックスは、船台の構築完成の報告を受けている。
 第一船台と第二船台の出来あがり報告を受けて、出来あがりを確認する。
 『お~お、両船台とも、上々の出来だ!一同!ご苦労であった。第二船台担当の班長!訊ねる、地盤の軟弱を固めたな?船の建造途中で船台が傾くでは話にならんからな』
 『はい!不具合が生じることがないように細心の注意を払って、仕上げております』
 『よしっ!一同ご苦労であった。それでだが、第三船台が地盤固めに難儀している。ちょっと見て、手を貸してやってくれ』
 『解りました』
 第二船台構築を担当した班長らが第三船台の構築に手を貸す、作業が順調に進む、程なくして第三船台も完成する。
 『おう、出来あがったか、出来あがりは万全か?確かめる』
 ドックスが第三船台の出来あがりを確認する。
 『おう、よく出来ている、万全の出来だ!ちょっと不安があったが、よくできた。これで全船台が完成した。重畳!』
 ドックスが船台構築作業に従事した一同に声をかける。
 『おう、一同!休んでくれ。俺は建造用材置き場の整備の進捗を見てくる』
 ドックスが建造用材置き場に歩を運ぶ、現場はドックスの指示したように整備作業が進んでいる。
 『おう、責任担当班長!整備作業の進捗はどんな具合だ?』
 『はい、作業はもう終了に近づいています。見てください』
 ドックスが整備具合を見て回る、船舶4艇に関する建造用材である、用途別の位置決め、在庫量の確認等に配慮した整備である。
 用材の置き場はかなりの広さである、その整備具合を確認した。
 『おう、よくできたな!用材の運搬通路だが、考えていたより広くとれている。重畳!』
 ドックスは、整備の出来具合を褒める気持ちを込めたまなざしで班長と目を合わせる。
 『整備作業が終了したら、建造の場に来てくれ』
 『解りました』
 ドックスが進捗を確認して場を去っていく。
 程なく、建造用材置き場の整備作業が終わる、作業班の一同が建造に場に来る、ドックスが作業終了の報告を受ける。
 『おう、ご苦労であった。全員とともに休んでくれ』
 ドックスは、西に傾いた太陽の高さ具合を確かめた。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1318

2018-06-27 05:23:57 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 オキテスがギアスに声をかける。
 『おう、ギアス、不具合がないとな!新舵の出来あがりに満足できるな?』
 『はい!』
 『よしっ!キドニス方に引き渡してくれ!この頃合いだ、刻限としては少々遅れている。急いで行くのだ!キドニス浜頭によろしく伝えてくれ。急げ!』
 『解りました』
 ギアスがキドニアに向けて浜を出ていく、いい風が西から来ている、順風満帆で海上を駆ける。
 キドニアの船だまりの岸壁には、キドニス方の水夫らがギアスらの到着を待っていた。
 ギアスがキドニス方の水夫らに声をかける。
 『少々遅れました。待たれましたかな?』
 『いや、俺らも少し前にここに来た。待ったとは言えない、気にかけることはなしですな』
 『預かりました新艇を渡します。新舵の取り付け造作を終えました、受け取りください。ついては試走されますかな?、私が同行いたしますが』
 『おう、そうか。試しに航走してみるか。者ども乗船して位置に就け!』
 『ギアスと言われるな。少々、沖に出てみる』
 ギアスは、漕ぎかたらと二言三言打ち合わせて、キドニス方の新艇に乗りこみ沖に出ていく。
 新艇に取り付けた新舵の操作要領を水夫頭に説明する。舵操作を水夫頭と代わる。
 『水夫頭殿、舵操作をどうぞ!』
 新艇が折からの西風を帆に張らんで快走する。
 『水夫頭殿、船速に合わせて、大きく、ジグザグ走行をしてみてください』
 『おうおう、これはいい具合に水を切る。舵の操作効果も櫂舵とは、切れ具合の違いを感じる!いい調子だ!』
 試走を終えて船だまりに帰ってくる。
 『では、ありがとうございます。私はこれにて失礼します』
 ギアスがキドニス方の新艇から降りて岸壁に上がる。新舵を取り付けた新艇の引き渡しを終えた。
 今日の業務を終えたオロンテスがキドニス浜頭と言葉を交わしながら街区の路上をこちらに向かって歩いてくる。パン売り場のスタッフらの姿がそのうしろにある。
 ギアスは岸壁上で一行の到着を待つ。ギアスが低頭して、キドニス浜頭を迎える。
 『キドニス浜頭殿、少し前に船だまりに到着しました。水夫頭殿に新舵を取り付けた新艇を引き渡しました。試走もしていただきました。ありがとうございました。オキテスがよろしくと申していました』
 『おう、そうか。ギアス艇長といったな、うちの新艇に新舵の取り付け、君らの浜との往復航走ご苦労であった。礼を言う。オキテス隊長によろしく伝えてくれ』
 『はい!ありがとうございました。今後、よろしく願います』
 オロンテスとギアスは、キドニス浜頭に丁寧に低頭して心を伝える。
 彼らはキドニアにおける今日の業務を終了する、一同がヘルメス艇に乗りこむ、帰途に就いた。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1317

2018-06-26 14:50:32 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『おう、新舵の取り付け、どうだ?まだ時間がかかりそうか』
 『もう出来あがります。オキテス隊長に連絡してください。ギアスも呼んでください』
 ドックスが大声をあげる、波打ち際にいるギアスに呼びかける。
 『お~い、ギアス、すぐ来てくれ!』
 『ギアス、新舵の造作の出来あがりだ!取り付けた新舵の具合を見てくれ!試走の準備を整えろ。俺はオキテス隊長を呼んでくる』
 間を置くことなくドックスがオキテスと第四船台の新舵造作の場に来る。
 『オキテス隊長、新舵の造作が終わりました』
 『おう、ごくろう!ギアス、新舵のテスト試走だ!取り付けた新舵に不具合がないか、チエックしてくれ!結果を報告して、すぐ、新艇をキドニアに届けるのだ』
 『了解しました』
 オキテスが太陽の位置を確かめる。
 ドックスが待機している第四船台の構築作業班、ギアスと漕ぎかたらに声をかける、新艇を海に出す、ギアスがテスト試走に出ていく。ドックスがこれを見送る、作業の区切りがつく。
 『おう、一段落というところか。そうも言ってはいられんのう』
 第四船台の構築を担当した一同を招集する。
 『おう、一同!今日は早朝からいろいろとご苦労であった。これから夕刻まで、君らにやってもらう作業の説明をする』
 ドックスが一同と目を合わせる。
 『明日だが、船舶の建造用材が入荷する。建造用材の置き場の整備をやってもらう』
 『解りました』
 『班長、現場で作業要領を説明する』
、ドックスが一同を連れて、現場へと向かう、班長らがドックスと同じ立ち位置に立つ、ドックスが用材置き場の整備要領を班長らに指示する。
 『解ったな、質問は?』
 『要領を理解しました。質問はありません』
 『ついては、まだ決めてはいないが、用材置き場の管理責任担当を君らにやってもらうことになるかもだ。それを念頭に作業をしてくれ!以上だ』
 一同と顔を合わせる。
 『これが君らの本日の最終作業だ。俺は船台構築の現場にいる。質問がある時は、聞きにくること、いいな』
 ドックスは、建造用材置き場の作業指示を終えて、船台構築の作業現場に戻る。
 テスト試走を終えたギアスが建造の浜に戻ってくる、ドックスがテストの結果を受ける。
 『ドックス棟梁、取り付けられた新舵に不具合はありません。以上報告いたします』
 『おう、そうか。そのまま、ちょっと待っていてくれ。オキテス隊長を呼んでくる』
 ドックスがオキテスを呼びに足を運ぶ、間をおかず、姿を見せるオキテス。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1316

2018-06-26 06:55:47 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 パリヌルスがオキテスに声をかける。
 『ところでだ、オキテス、建造開始式のことだが、これはお前に任せる。俺らがとやかく言うことではないと考えている。事の次第は会議での説明で充分だ』
 『解った。任せておいてくれ』
 『俺らがやらなければならないのは、建造に携わる作業人員の件だ。その計画に基づいて人事の通達しなければならない。会議にはその処理報告でいいと考えている』
 オキテスがドックスに話しかける。
 『ドックス、解っていると思うが、船舶4艇の同時建造というカタチの作業形態となる。新艇5艇の同時建造方式で建造作業が展開する。よろしく頼む』
 『了解しました』
 『このあとは、パリヌルスと俺との話し合いになる。建造の場に戻ってくれていい。人員計画の詳細はあとから伝える』
 『解りました。私は現場に戻ります』
 『ドックス、ごくろうであった。新々艇の件、構想を練りあげてくれ』
 『解りました』とパリヌルスの声がけに応えて作業現場に戻っていく。
 パリヌルスが冴えた鋭い目つきでオキテスの目を見る。                                  各部署の人員構成 現在
 『これが、民族全員を各部署に割り振っている現在の状態だ』
 パリヌルスが状況を書き記した木板をオキテスに見せる。                                 建造部    220人
 『数字はおおよそだ。現在の建造部の人員はそれくらいだろう?』                             浜管理部   230人
 『そうだな、お前の管理下にある人員が230人とあるな』                                艇運行管理部  60人 
 『そうだ。俺の管理下にある人員から130人を建造の作業につかせる。建造部が350人体制となる』            パン工房    80人  
 『おう、いいな!今、建造部の班構成だが、一班10人で構成している。現在は21班である。新しく加わる人員で     漁業部    110人
34班か、了解した、喜んで受け入れる。それで決定とする』                                その他     50人
 『オキテス、それで決まりだな。今日中に建造部に就かせる人選を終えて、明朝、引き渡す』
 『了解した。要は、船舶4艇を建造工期一か月で造りあげる。建造体制を合理的に組んで建造しなければならない。即刻、
受けいれの態勢を整える』
 パリヌルスとオキテスの話し合いが終わる。
 9月からの船舶の建造開始に向けて浜が動き始める。
 オキテスからドックスに作業人員計画が伝えられる。
 『解りました。班が増えますね。体制を整えます。それから、明日の建造用材の受け入れについて用材の置き場整備をやります』
 『解った。新舵の取り付けの進み具合は?』
 『もう出来あがります』
 『キドニアに向かう刻限がある。急がせろ!』
 『解りました』
 ドックスは、オキテスの言う事情を察して、第四船台のほうへ足を運んだ。                                

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1315

2018-06-22 07:56:41 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『おう、ドックス、早いな!昼を済ませたのか?』
 『はい、打ち合わせを済ませないと気持ちが落ちつきません。チョッピリ先が見えてないと、不安ですからね』
 『船台の出来あがり具合の状況はどうだ?』
 『はい、順調です。午後半ばには、第一船台、第二船台が出来あがります。第三船台の出来あがりは、少々遅れます』
 『お!そうか。第四船台はどうなっている?』
 『第四船台は、出来あがって、キドニス方の新艇を据えて、新舵構造の取り付け造作に使用しています』
 『新舵の造作を出来あがったばかりの船台でやっているとは』
 『新舵の造作も新船台では、作業がしやすそうです。この造作も午後半ばに出来あがります。今回で三艇目ですから慣れもあります。出来あがり次第、ギアスに試乗させます』
 『その時点で、連絡をくれ。ギアスにすぐキドニアに向かわせなければならない』
 『解りました』
 『パリヌルスはもう来ると思う。打ち合わせは、建造開始式と新々艇航走の件だ。それと建造の場の作業人員計画に件だ』
 『承知しました』
 『おう、来た来た。パリヌルスが来た』
 『おう、待たせたか?』
 『いや、そうでもない。ドックスと俺の用件は話し終えた。建造開始式と新々艇の構想の件、それと作業人員計画の件だ』
 『そうか、解った。始めよう!ドックスは忙しいだろう。新々艇の件からやる。これを見てくれ。新々艇の構想図だ。その何故はだな、戦闘艇の走行安定性に着目しての改造だ。理解してくれ』
 パリヌルスは新々艇の構想図を描いた木板を二人に手渡す。
 『解ります』
 『おう、解ってくれるか。そうであれば話が早いというものだ。そこでの話だが、その改造による艇体構造の変更、この2点だ。オキテスにドックス、俺の話を聞いたうえで、それの是非と可否だ。それについて考えを言ってくれ』
 『解りました』とドックスが答える、オキテスがうなずく。
 『では、簡単に説明する』と言って、パリヌルスが構想図に基づいて説明する。
 『というわけだ。理解してくれ。結論は、衝角構造体を新々艇に取り付けることによって、艇体の重量が少しばかり重くなる、当然、喫水が下がる、艇体の深さを深くしなければならない。そのうえで船足の速さを考え、艇幅を広くするか否かを考えねばならない。これらに関する考えを聞きたい。明日、夕めしのあとにでもその件について話し合いたい』
 オキテスが間髪を入れずに答える。
 『了解した。ドックスも一緒だ』
 『俺は、その場で仕様書きをしあげる。翌日に予定している会議にはかり、決定する意向だ。ドックス、船棟梁としての構想を頼む、以上だ』
 『パリヌルス隊長、先日、耳うちされた話この件でしたか、考えて考えて答えを出します』
 『ドックス、いいこと言ってくれるな』
 新々艇に関する打ち合わせが終わる。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1314

2018-06-21 08:37:10 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 ドックスが浜に集まった一同に声をかける。
 『おう、ギアス、新艇を出来立ての船台に載せる!いいな』
 指示を伝えるドックス。
 『おう、全員!新艇にとりつけ!艇を持ちあげる、船台へ運ぶ、やるぞ!』
 ドックスが気合をかける、とりついた一同が声をあげる、総勢70人余りが力を込める、新艇を持ちあげる、船台に向けて歩を運ぶ、そろりそろりと艇尾から船台にのせていく、艇を船台上に据える。
 ドックスが船台と艇体の合致をチエックする。
 ドックスが声をあげる。
 『おう、いい具合だ、ピッタリきてる。重畳!』
 懸念していた艇尾部もうまく収まっている。ドックスは胸をなでおろす。
 新舵構造造作班が第四船台に駆けつける。
 彼らにドックスが念を押す。
 『おう、部材の整合を確かめて、新舵の取り付けを始めてくれ』
 『了解です。ドックス棟梁、これが新舵造作の3艇目です。慣れもあります、うまくやります』
 『おう、頼むぞ!不具合のクレームは許さん!解っているな』
 新舵構造造作班が作業にとりかかる。これを機にドックスが艇体各部と船台のマッチングを確かめる。船台と艇体のマッチングが許容限界内で合致している。
 ドックスがひとりごちる『これでいける、安心安心』と船台の出来あがりに満足する。
 第一船台から第三船台については、すでに完成している戦闘艇を船台上に据え置いて、マッチング度を確かめる段取りをしている。
 昼食時が近づく、ドックスが各船台を見て回る、建造の場の作業が順調にはかどっていっている。
 第一船台、第二船台をチエックする、責任担当班長と言葉を交わす。
 『よしっ!いい具合に出来ている。グッド、グッド!その調子で事を進めるのだ。いいな』
 第三船台のところに来る。
 第三船台の作業が少々遅れている、班長を呼ぶ。
 『おう、どうした?』
 『ここまできて、少々てこずっています。原因を追究しています。答えをまだ出していません』
 ドックスが立ち会って、班長とともに原因究明をする。
 『班長、整地に問題がある』
 『そうですか、やっぱりな』
 『不具合の発生は整地に起因している。先に戻って整地からやり直すのだ。船台に船が乗る、重さがかかる、それに耐えれる地盤であることが望まれる』
 『解りました。やり直します』
 『少々の遅れは止むを得ん!第二船台が参考になる。見てきてやり直せ!』
 ドックスは昼めし前の進捗を確認する。
 昼めし時となる、場の一同がくつろぐ。
 ドックスは、早々に昼食を終えて、オキテスの席場におもむいた。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1313

2018-06-20 07:57:16 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 アエネアスら四人の話し合いが終わる、オキテスが現場に目線を移す、ドックスと目が合う、彼を手で招く。
 ドックスがオキテスの前に立つ。
 『隊長、何か用がありますか?』
 『今な、急に決まったのだが』と言って、ドックスの目をジイ~ッと見つめる。
 『9月の1日だが、昼を終えて建造を開始するのだが、建造開始の式をやろうということになった』
 『そうですか、いいではないですか。作業員らの意気高揚ですな。浮ついてもらっては困りますが』
 『昼めしが終わったら打ち合わせをやる。場の状況も聞いて、建造開始式の構想を話したい。パリヌルスも呼んでおく』
 『解りました』
 『ところで、もう、そろそろギアスが来る、状況はどうだ?』
 『船台のほうは、もう出来あがります。新舵構造の取り付け担当は、待機体制でいます』
 『ほう、そうか、それは心強い!ではそういうことだ、新舵取り付け、打ち合わせの件よろしく頼む、時間はそう長くならない』
 『了解しました』
 船台の完成をみて、戦闘艇3艇、新々艇1艇の建造開始式の施行の決定、その他の打ち合わせ予定をオキテスがドックスに伝え終える。
 船台構築の現場に戻ったドックスは、場の作業者らを引き締める。
 諸事展開が業務完結に向けて動きがテキパキと律調を整えて活性する。
 建造の場に伝令が走りくる、ドックスが伝言を受け取る。
 『おう、そうか。解った。ギアスが浜に着いたら、預かってきた艇を建造の浜に着けるように伝えてくれ』
 『解りました』と言って、伝令が走り去る。
 ドックスが新舵取り付けに試しに使用する第四船台の出来あがり具合を見る。
 『出来あがり寸前か、班長出来あがったら、即、伝えてくれ!俺は浜にいる』
 『解りました。ドックス棟梁、浜は目の前です』
 ドックスは『そうだな』と言って波打ち際に立つ、程なくギアスの操船するキドニス方の新艇が建造の浜に着く。
 『おう、ギアス、ごくろう、そのままちょっと待機だ!艇の陸揚げの助っ人を連れてくる』
 ドックスが第四船台に向かう、船台を見るドックスに班長が気づく。
 『あっ!棟梁!ただいま船台が出来あがりました。見てください』
 『手抜かりはないな?』
 『はい!ありません。完成チエックを終えました。チエックを入れてください』
 確認をするドックス。
 『おう!ところで新舵造作の新艇を船台に運ぶ。全員手を貸せ!』
 『はい!』
 第四船台の構築を終えた作業員ら一同がキドニアから運んできた新艇のいる浜に向かった。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1312

2018-06-19 07:38:40 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『おう、進捗具合がいい具合に進んでいる。朝は鋭気が冴えている。新艇の到着と船台の出来あがり、タイミングが合う!グッド!』
 ドックスがひとりごちながら昇る太陽の高さを確かめる。
 時を計ったように第四船台構築の作業者らの朝食が届く、ドックスが責任担当の班長に声をかける。
 『おう、早朝から一同に世話をかけている、ご苦労!朝食が届いた、朝食休憩を取ってくれ』
 『ありがとうございます』
 責任担当班長が班長らと全員に声が届くように大声で呼びかける。
 『朝食タイムだ!全員集合!』
 全員の集合を確かめる。
 『おう、一同!早朝からご苦労!朝食休憩とする。朝めしを食べる。おう!』と声をかける、彼らは、仕あがりの終盤に到っている船台を望見しながら朝食タイムを過ごす。
 彼らが朝食タイムを終える頃には、始業朝礼を済ませた作業者らが担当船台の構築作業を開始する。各船台の班長らが船台構築のモデルとしている第四船台を見に来る、作業が進む、ドックスが各船台の作業の進捗をチエックする。
 船台が出来あがっていく建造の場にアエネアスとイリオネス、オキテスとパリヌルスが姿を見せる。
 彼らは建造の場の光景に見入る。
 その光景に見とれるアエネアスら四人は、船台上に建造中の船舶の出来あがっていく様を四人四様で瞼の裏にイメージを描いている。
 アエネアスが口を開く。
 『お~お、壮観である。建造の場に並ぶ四つの船台、その船台上に展開する戦闘艇の建造風景!君らも、その風景を想像してイメージしてみろ!』
 並ぶ三人と顔を合わせる、目を合わせる。話を継ぐ。
 『帆柱も建った、八部通り出来あがった戦闘艇、その艇体が四艇も並んでいる。艇首の衝角、青く澄んだ天空を突いて立つ8本に及ぶ帆柱、艇首から艇尾にかけての舷側。その風景を想い描いただけで鳥肌が立つ』
 アエネアスは瞼の裏に沸々と沸きあがるイメージを語る、その言葉にうなずく一同。
 イリオネスがアエネアスの言葉に応える。
 『統領の言われる通りです。その実風景を来月の末頃には、見ることができます。待っていてください』
 『そうか、それは楽しみだ。軍団長、パリヌルス、オキテス、俺はその日の来るのを待っている』
 代わってオキテスがアエネアスに話しかける。
 『統領及び軍団長、明日、建造の用材が到着します。今のところドックスとは打ち合わせをしていませんが、明後日、アエネアス暦9月1日午後、建造を開始しようと考えています』
 『9月1日午後、建造スタートか』
 『何か建造開始の式らしいことでもと考えています。施行すると決定したときはよろしく願います』
 『解った。その件了解した。その建造開始式、施行するということで事を運べ!いいな、オキテス』
 『了解しました』
 オキテスがアエネアスら三人と目を合わせる。うなずくイリオネスとパリヌルス。
 四人は、建造開始式の施行を決定した。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1311

2018-06-18 07:51:53 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 アエネアス暦8月29日、夜明けが近い、星が眠りについていく、夜が明けてくる。
 ギアスと漕ぎかたの一同がヘルメス艇を出航の浜に着ける。
 漕ぎかたのひとりがギアスに声をかける。
 『ギアス艇長、少しばかり早かったですかね?売り場のスタッフらの姿が見えません』
 『そうではないと思うが』
 『彼らスタッフらは、今日の朝だちが少々早いと知っているはずですが』
 『それについては、オロンテス隊長から聞いているはずだ』
 夜明け八分である、木陰がまだほのくらい。話し声が耳をうつ、オロンテス隊長を先頭にして、スタッフらとパン工房の者らが姿を見せる。ギアスらが彼らを迎える。
 『オロンテス隊長、おはようございます、いい朝です。ヘルメス艇の出航準備は出来ています』
 『おう、いい朝だ。ギアス、待たせたかな?』
 『いえ、少々です』
 『すまん!』
 ヘルメス艇への荷積み作業が時間をかけることなく終わる。一行の乗艇が終わる。
 『おう、荷積み完了!全員乗艇!ギアス、ヘルメスを出してくれ』
 『出航!』
 ギアスの声がけ、海面の泡立ち、ヘルメス艇が浜を離れる。
 この季節、早朝の海、清涼を肌に感じる、朝凪が始まりかけた海面を割ってヘルメス艇がキドニアへと向かった。
 朝行事の浜では、第四船台担当の班長らが一同の集まりを待っている。
 第十六班の班長が班長らに声をかける。
 『班員らの出足はどんな具合だ?』
 『ウチの班はあと二人です』
 『お前のところはどうだ?』
 『俺の班は、あと1名です。あ~あ、来ました、来ました。先に船台のほうへ行きます』
 『君のとろは?』
 『あそこにいる三人が朝行事を終えたら、急ぎ船台の場へ行きます』
 『よし!俺は先に行く、船台の場で待っている』
 『はい!』
 責任担当の班長が第四船台に向かう、船台の場に全員がそろう。責任担当の班長が全員に声をかける。
 『おう、一同!おはよう、いい朝だ!』
 『おはようございます、いい朝です』一同から声が返る。
 『船台を注目!船台の仕上がり具合は順調に進んでいる。残すところ、艇尾部に向けて4分の1くらいである。全員、力を合わせて仕あげるぞ!いいな!一同、作業開始!』
 『おう!』『おう!』『おう!』
 威勢よく返事が返る、一斉に作業にとりかかる、一同の鋭気が手際よく船台構築作業を進めていく。
 ドックスが第四船台構築の場に姿を見せる、作業光景を鋭い目線で見つめた。