彼ら三人は三つ巴で撃剣を交わした。汗も存分に流した。荒野に等しい野原を流れる小川で汗を拭った。
『おう、リナウス、ありがとう。いい汗を流した。ことに対峙する、事を制する、打ち込み、気合とタイミングだ』
『言われる通りです』
『統領、行きましょう。たまには、アレテスの小島も覗いてみませんか。そして、建造の場へと』
『そうだな、イリオネス、毎日の巡回コースを決めておくのも悪くないな』
二人は撃剣の訓練場をあとにした。リナウスは、二人を丁寧に見送った。
歩く、行きかう、すれ違う者たちに元気があふれてきている。進水の催事を終えて、集落全体に意欲的な雰囲気が満ちてきていた。アヱネアスが顔を合わせる者たちから尊敬の念を含めた期待の眼差しが向けられた。
そのようなアヱネアスの脳裏に決断しなければならない事項が鎮座している。避けて過ごすことのできない大切な重要な事項である。『このことについては、父親のアンキセスと対峙しなければならない事項なのだ』
彼の脳裏をかすめて通る思いがある。父親と話し合う実行精神要諦である。
『始計綿密、積極果敢、大胆実行、そして、その天の時は?』であった。
朝晩、顔を合わせる父アンキセスの変化を感じ取っている。アヱネアスは、そろそろ来るなと気配を感じ取り、なんとなく身構える己自身に気づいていた。父と話することは、今は避けたい思いがある。彼の想いでは、新艇をあと2艇は販売してしまいたい、クレタにおける農作物の収穫状態を知りたい、クレタの人的状況を詳しく知りたい、そして、政治的状況を知りたかった。
彼が静かに思考に時を過ごすときには、イデー山山頂で過ごした時の想い出に没頭した。山頂より目にした世界、その世界のかなたに世界が存在するのか、否かに大いなる疑問抱いている。彼は、このクレタにいてその疑問の答えを引き出せるのか、否かに及んだ。思考の時を過ごすたびに、三度も四度もその思考を繰り返した。どうしても突き破れない壁に阻まれるところで思考の原点に戻る。
彼は、立ち止まった、その時に気づいた。
『この壁を突き破る、それには、建国の道程の解析とその道の未来を展望し描く、条件満足の位置にスタンスしなければ未来が見えない。その位置はクレタの地なのか、またはそうではないのか。あらゆる位置にスタンスして見極めなければならない。世界をさまよう勇気がいるのか』と自分に言い聞かせた。
『迷っていては、正解を得ることはできない、立ち止まっていてもその地が見えない。未来は足許ではない、脚下ではない。遠くを見つめろ、遠くても考えられる展望を見極めて、決断を下し、それから脚下照顧しろ。正しい一歩を踏み出すためにだ』
アヱネアスの心は定まった。
『おう、リナウス、ありがとう。いい汗を流した。ことに対峙する、事を制する、打ち込み、気合とタイミングだ』
『言われる通りです』
『統領、行きましょう。たまには、アレテスの小島も覗いてみませんか。そして、建造の場へと』
『そうだな、イリオネス、毎日の巡回コースを決めておくのも悪くないな』
二人は撃剣の訓練場をあとにした。リナウスは、二人を丁寧に見送った。
歩く、行きかう、すれ違う者たちに元気があふれてきている。進水の催事を終えて、集落全体に意欲的な雰囲気が満ちてきていた。アヱネアスが顔を合わせる者たちから尊敬の念を含めた期待の眼差しが向けられた。
そのようなアヱネアスの脳裏に決断しなければならない事項が鎮座している。避けて過ごすことのできない大切な重要な事項である。『このことについては、父親のアンキセスと対峙しなければならない事項なのだ』
彼の脳裏をかすめて通る思いがある。父親と話し合う実行精神要諦である。
『始計綿密、積極果敢、大胆実行、そして、その天の時は?』であった。
朝晩、顔を合わせる父アンキセスの変化を感じ取っている。アヱネアスは、そろそろ来るなと気配を感じ取り、なんとなく身構える己自身に気づいていた。父と話することは、今は避けたい思いがある。彼の想いでは、新艇をあと2艇は販売してしまいたい、クレタにおける農作物の収穫状態を知りたい、クレタの人的状況を詳しく知りたい、そして、政治的状況を知りたかった。
彼が静かに思考に時を過ごすときには、イデー山山頂で過ごした時の想い出に没頭した。山頂より目にした世界、その世界のかなたに世界が存在するのか、否かに大いなる疑問抱いている。彼は、このクレタにいてその疑問の答えを引き出せるのか、否かに及んだ。思考の時を過ごすたびに、三度も四度もその思考を繰り返した。どうしても突き破れない壁に阻まれるところで思考の原点に戻る。
彼は、立ち止まった、その時に気づいた。
『この壁を突き破る、それには、建国の道程の解析とその道の未来を展望し描く、条件満足の位置にスタンスしなければ未来が見えない。その位置はクレタの地なのか、またはそうではないのか。あらゆる位置にスタンスして見極めなければならない。世界をさまよう勇気がいるのか』と自分に言い聞かせた。
『迷っていては、正解を得ることはできない、立ち止まっていてもその地が見えない。未来は足許ではない、脚下ではない。遠くを見つめろ、遠くても考えられる展望を見極めて、決断を下し、それから脚下照顧しろ。正しい一歩を踏み出すためにだ』
アヱネアスの心は定まった。