北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

臨時情報-イランイスラエル攻撃,攻撃は200発のミサイルと無人機-今後の中東情勢を考える

2024-04-15 07:00:04 | 国際・政治
■史上初の直接攻撃
 日曜は朝から中東情勢の突沸に驚かされました、アメリカ情報機関が警告していましたが情報の有無にかかわらずやはり実際に攻撃が行われますと衝撃だ。

 イラン軍によるイスラエル攻撃は、アメリカ政府が情報機関の分析として警告した通り数時間の継続、言い換えれば数時間で終了するところとなりました。イスラエルとアメリカの呼び掛けにより国連安保理緊急会合が招集された際、イランの国連代表部は事態終了を宣言しており、日本時間0700時に開始された攻撃は1030時には沈静化した構図です。

 イランからのイスラエルへの攻撃は弾道ミサイルと自爆用無人機など200機、イスラエルとアメリカおよびイギリス、ヨルダンによる迎撃はイスラエル政府の発表では99%を撃墜したとしており、一方イラン革命防衛隊は攻撃の50%が目標に命中したと宣言、今後イスラエルが大規模な報復を行わなければ、一応今回の事態は終息したといってよいでしょう。

 しかし、幾つかの点で今回は戻る事の出来ない危険な緊張状態の前進となってしまいました、それは中東情勢に大きな不確定要素を突き付ける事と成り、逆に不可逆的な要素を含むために今回の事態と同様の事態を引き起さないように、イスラエル政府が厳しい反撃を加える可能性も残っており、緊張関係の根本が解決されない故に緊張状態はつづきます。

 イランがイスラエルを直接攻撃したのは今回が初めてです、不可逆的要素とはこの点であり、イランは革命防衛隊の外郭団体であるレバノンのヒズボラや、創設以来協力関係があるとされるハマス、そして大量の武器を供与し支援しているフーシ派といった組織を通じてイスラエルを間接的に攻撃していましたが、今回の攻撃はイラン本土からの攻撃という。

 直接攻撃、イスラエル政府は今回の攻撃の要因となったのはシリア領内のイラン大使館を空爆した為ですが、その背泳にはシリア領内でのイスラエルへの攻撃などの行動に対する報復であり、これに対しイラン政府はイランが直接関与したものではないとしている為です。誤解を含むかもしれませんが戦前の関東軍の盧溝橋事件と陸軍省の関係と共通点が。

 間接攻撃であってもイスラエルはその支援を行うイランに対して攻撃を行うとしたため、今回イランは直接攻撃に踏み切ったものなのですが、今回のような攻撃をイランが一度実施したという前例を置いた事で、今後イランによるイスラエルへの直接攻撃が定期的に行われる可能性、その実施間隔が何日か何年かはともかく、こうした懸念が残るわけです。

 湾岸戦争以来の弾道ミサイル攻撃である、今回のイスラエルへの攻撃には弾道ミサイルが用いられたと報道されており、これが事実ならば1991年湾岸戦争におけるイラク軍によるスカッドミサイル攻撃以来の、イランからの弾道ミサイル攻撃は30年以上無かった弾道ミサイルによるイスラエル攻撃が行われた事でありこれはイスラエルに大きな衝撃でしょう。

 湾岸戦争以来の事態ですが、イランは1979年のイスラム革命とともにイスラエル廃滅を国是としています、その背景には聖地エルサレムを占領するイスラムの敵という視点があり、そのイランが核開発を継続している事は、イスラエル廃滅が単なるスローガンではなく今回、間接的ではなく直接攻撃に踏み切った事で、核開発完成後の用途を示したこととなる。

 イラン核開発をイスラエルは実力で阻止する構えであり、対してイランも、イラン核合意の破棄により、元々イランは核開発をする計画であるが経済制裁により中止を強いられてきた、という姿勢であり経済制裁再開後は核開発再開を宣言しています。するとイラン核開発に対して、イスラエルの強硬姿勢は更に厳しい緊張関係を生む懸念があるのです。

 不可逆的な緊張を生んでしまっている、これは残念ですし、現状を放置した場合は第三の核という最悪の状況さえ想定しなければなりません。一方でこの地域の緊張は物流や資源外交などあらゆる点で日本にも影響するものです。中東和平、という単語は年々緊張増大により難しい要素を含んでしまっていますが、世界はその道を模索しなければなりません。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)

コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【G3X撮影速報】令和6年第1空... | トップ | 【防衛情報】S-106グローバル... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

国際・政治」カテゴリの最新記事