北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】S-106グローバルアイ早期警戒機とT-7Aレッドホーク,KF-21ボラメにCCA無人僚機

2024-04-15 20:23:45 | インポート
■防衛フォーラム
 今回は各国の空軍関連の情報を手元にある写真と無理矢理都合をつけて無理が在ってもそのまま纏めました。

 スウェーデン空軍が導入するS-106グローバルアイ早期警戒機初号機がスウェーデンに到着しました、防衛力強化のために2022年6月に導入契約を結んだもので、監視指揮航空機として2機が73億スウェーデンクローネ、米貨換算で7億1000万ドルの契約となっていまして、オプション条項として更に2機の追加も可能となっています。

 S-106グローバルアイ早期警戒機は原型機がカナダのボンバルディアグローバル6000型ビジネスジェットで、現在スウェーデン空軍にはサーブ340派生のサーブ340AEW&Cアーガス早期警戒機が4機運用されていますが、この後継機となります。アーガスとグローバルアイを比較した場合、航続距離と滞空高度が能力向上しているとのこと。

 グローバルアイに搭載されるレーダーはサーブ社が開発したエリアイER空中警戒装置とイタリアのレオナルド社が開発したシースプレー7500E海洋監視レーダーで、早期警戒機と洋上哨戒機として機能、航空機については最大450㎞で、艦船に対しては550㎞の距離で探知が可能であるとともに最大11時間にわたる任務飛行が可能となっています。
■ギリシャ空軍導入F-35
 F-35運用国がまたひとつ。

 ギリシャ空軍が導入するF-35戦闘機86億ドルの輸出がアメリカ国務省の認可をうけました。ギリシャ空軍にはミラージュ2000戦闘機やF-4ファントム戦闘機など後者については日本でさえ退役しているほどの老朽機が現役で残っており、その後継機として最大40機の第五世代戦闘機F-35戦闘機の導入をアメリカ政府に打診していました。

 F-35戦闘機について、アメリカ国務省が認可した86億ドルの輸出についての内容はCTOL型のF-35A戦闘機の40機と戦闘機用に予備を含めた42基のプラットアンドホイットニーF-135-PW-100エンジン、チャフフレアディスペンサーから支援機器や試験支援費用、そして搭乗員用にAN/PYQ-10携帯暗号端末まで含まれています。

 F-4E戦闘機の老朽化はギリシャ空軍でも2000年代初めに問題化していて、ギリス亜空軍は2009年にF-35戦闘機導入を検討しましたが、ギリシャ債務危機、15機から20機程度のF-35を検討するも続くギリシャ経済危機により2017年に戦闘機計画が棚上げ、2021年に制式に戦闘機計画が再開、2027年に導入をアメリカに打診していました。
■JASSM-ER
 自衛隊はF-15から運用するミサイルだ。

 オランダ空軍はJASSM-ER巡航ミサイルを導入します。AGM-158B射程延伸型統合スタンドオフミサイルJASSM-ER,オランダ政府はこの射程の長いミサイル120発と関連装備の導入を計画し、このほどその有償供与がアメリカ国務省により認可される事となりました。関連機材には模擬弾15発や訓練ミサイルと試験機器及び擬製弾薬などを含む。

 JASSM-ERはロッキードマーティン社製、ミサイル本体はステルス形状を採用し450㎏の貫通型弾頭を搭載、原型のJASSMは射程を370㎞としていましたが、ウィリアムズ F107-WR-105ターボファンエンジンの採用により射程は925㎞に延伸しています。このミサイルは2023年に航空自衛隊も50発を1億0400万ドルで有償供与が決定したもの。

 F-35戦闘機を導入するオランダ空軍にとり従来のF-16戦闘機と比較し非常に大きな打撃力が付与されることとなります。オランダ空軍は現在52機のF-35戦闘機導入計画を推進中で、特に主開発国以外としては2番目にF-35戦闘機の配備を開始したオランダ空軍にはこの能力を最大限発射する長射程の巡航ミサイル導入は大きな意味があるでしょう。
■APY-9レーダー
 自衛隊は前線の空中警戒管制にE-2を充てて後方の全般防空作戦にE-767をあてているという個性的な運用をおこなう。

 ロッキードマーティンは75基目のAPY-9レーダーを納入しました。これはE-2D早期警戒機を製造するノースロップグラマン社の協力企業であるロッキードマーティン社がE-2D早期警戒機用APY-9レーダーの製造状況を発表したもので、計画ではAPY-9レーダーは製造が2020年代後半で終了し2040年代まで維持サービスが行われるという。

 アメリカ海軍は86機を、またロッキードマーティン社によれば航空自衛隊は18機、フランス海軍は3機を導入するとしており、既に航空自衛隊ではE-2Dの運用が開始されています。ロッキードマーティン社の発表を信じるならば自衛隊は保有するE-2CすべてをE-2Dに置き換え、且つ増強するのですが、維持が2040年代に終了する御は残念です。
■スカイガーディアン
 MQ-9は早期警戒機としても派生型が提案される。

 インド軍が導入を希望するMQ-9無人機の有償供与がアメリカ国務省により承認されました。インド政府はMQ-9Bスカイガーディアン無人機31機と関連資材の導入を希望しており、その取得費用は39億9000万ドル相当となります。関連資材にはAGM-114Rヘルファイアミサイル170発やGBU-39B-LSDB小型精密誘導爆弾310発などを含む。

 MQ-9をインド軍は広大な印度洋の警戒監視任務に充当する構想であり、ミサイルに加えて搭載するAN/SSQ-36ソノブイの調達も要請していることから無人機によりソノブイを散布しP-8哨戒機と連接させる対潜哨戒任務なども用途に含めているとされます。MQ-9は高度15000mを40時間にわたり滞空可能という優れた性能の無人航空機です。
■T-5A新造機
 いっそ日本が欲しくなる様な。

 中華民国台湾空軍は春節前にT-5A新造機受領を発表しました。T-5Aは愛称が勇鷹、台湾のAIDC航空宇宙産業開発総公司が独自開発したもので、中国の年末に当たる1月末までに通算27号機を納入したと発表、現在の計画では22億ドルを投じてT-5A 練習機66機を導入する計画であり、間もなくその所要数の半数を受領する段階を迎えます。

 T-5A 練習機は同じく台湾製のAT-3練習機と複座型として高等練習機と軽戦闘機を兼用しているF-5E/Fタイガー戦闘機の後継機に位置付けられています。高等練習機として設計されたT-5A 練習機は台湾国産戦闘機のF-CK-1経国戦闘機の設計を踏襲し、機体に複合素材を採用しレーダーもAESA方式を採用、有事の際には戦闘機として運用可能です。
■KF-21ボラメ
 F-2戦闘機以来停滞している日本の戦闘機産業から見ますと手堅い戦闘機を設計し輸出という選択肢を思い切って国が全力で圧す様子はちょっとうらやましい。さてGCAPはどうなるのか。

 韓国国防省はKF-21ボラメ戦闘機の量産を開始を決定しました。計画では国防相予算1億7860万ドルを投じて最初の40機を製造する計画という。KF-21戦闘機は韓国がインドネシアと共に独自開発した戦闘機で、その開発には韓国が過去にFA-50軽戦闘機を開発した際と同様にアメリカのロッキードマーティン社が技術協力しています。

 KF-21,韓国空軍では旧式化したF-5タイガー軽戦闘機と老朽化が進むF-4ファントム戦闘機の後継機と位置付けています。KF-21戦闘機は既に2022年に初飛行を終えており、試作機6機が現在各種試験を実施中です、特に搭載するAESAレーダーの評価試験などが本格化する見通して試験は2028年まで継続されるという。量産の決定について。

 開発と製造計画には8兆8000億ウォンが必要となっていて、その開発には費用として韓国国防省が60%とKAI韓国航空工業が20%を負担、そして残る20%をインドネシア政府が負担する計画でしたが2017年を最後にインドネシアの費用負担が停滞しており、今回具体的製造計画を示す事でインドネシア側に拠出を促す目的があると考えられています。
■T-7Aレッドホーク
 現在使っているT-38練習機は自衛隊のT-4はもちろん退役したT-2練習機よりも古い航空機となっているのですがそれは。

 アメリカ空軍が導入するT-7Aレッドホーク練習機が部品不良により納入が遅延する、2月2日にボーイング社が発表しました。計画が大幅に遅延しているT-7A練習機は量産試作機が漸く納入を開始した段階ですが、今回の部品不良により次の量産試作機納入が数か月遅延するとしています。計画では量産試作4号機が昨年末に納入予定でした。

 T-7Aレッドホーク練習機は、スウェーデンのサーブ社製JAS-39戦闘機の基本設計を基に完全なデジタル設計方式を用い低リスクで高品質な第五世代戦闘機F-35要員用練習機を完成させる計画であり、洗練された外見と当初のJAS-39設計応用といううたい文句は低リスクを期待させていましたが、実態は大幅な遅延に次ぐ遅延の連続となっています。

 量産試作4号機は大幅に遅れ新しい予定では2024年2月中に、そして1月納入予定であった量産試作5号機は3月から4月に納入されるであろうとのボーイング社の見解が示されています。当初計画では2034年までにT-7A練習機を351機導入する予定ですが、それまでは1950年代のT-38練習機を老朽化のまま、運用し続けなければなりません。
■T-7A練習機胴体
 日本のT-XもきになるところですがT-7Aはボーイングの問題により順調に遅れが拡大していて現状のままで大丈夫なのかという。

 スウェーデンのサーブ社はT-7A練習機胴体生産に1億0100万ドル規模の契約を結びました。T-7Aレッドホーク練習機はアメリカ空軍の次期高等練習機、1950年代に設計されたT-38コンバットタロン練習機を置き換える機体ですが、その設計は形状こそ大きく異なるもののサーブ社のJAS-39グリペン戦闘機の設計を取り入れて完成しています。

 JAS-39戦闘機はスウェーデン国内において製造されていますが、サーブ社はこのT-7A練習機計画に併せ、アメリカ本土のインディアナ州に現地生産施設を設置、T-7A練習機の胴体部分製造へ参画を決定しています。今回の1億0100万ドル規模の契約はあくまで限られた先行量産部分の契約となりますが、T-7Aは多数の量産が予定されています。

 1億0100万ドル規模の契約は2023年第4四半期に結ばれたもので、この時点では先行量産機が2機、エドワーズ空軍基地へ到着していた段階です。しかしながら、安全装置や飛行制御プログラムなどサーブ社が関与しない部分においてT-7A練習機は不具合が続発しており、製造数もボーイング社の楽観要素がありましたが、計画自体は前進中です。
■CCA無人僚機
 オーストラリアが進めた賭けのような新技術が実ったといえるのかもしれませんね。

 アメリカ空軍はCCA無人僚機の導入計画を前進させるもよう。具体的には2025会計年度においてCCA契約を締結するべく、計画参加企業を二社乃至三社程度まで選定する方針を2月13日、フランクケンダール空軍長官が空軍協会で開かれた検討会の場において表明しました。背景には予算不足が挙げられるとのこと。空軍は1000機取得を目指す。

 CCA無人僚機にはロッキードマーティン、ボーイング、ノースロップグラマン、ゼネラルアトミクス、アンドゥリル、以上の五社が参加を表明しています。またケンダール長官は、計画は戦略的国際パートナーの参加という可能性を示しており、ロイヤルウイングマンとして開発したMQ-28を完成させたオーストラリアの参加を示しているのでしょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)

コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 臨時情報-イランイスラエル攻... | トップ | ウクライナ情勢-北方領土周辺... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

インポート」カテゴリの最新記事