北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

航空防衛作戦部隊論(第五〇回):航空防衛力、戦力集中の大型航空団と臨時分屯基地試案

2017-10-10 20:21:16 | 防衛・安全保障
■戦闘機二八〇機の再検討
 戦闘機数は現在の防衛大綱に定められた280機で充分であるのか、という視点の再検討について、これまでの概略を再度まとめました。

 日本の空の防衛、年々勢力を増強させる中国空軍へ現在の防空能力では有事の際に攻撃を加えてきた場合に確実に防空基盤を維持し、日本本土の全般的な防空能力を維持する事は出来るのか、との視点から論述を開始しました本論ですが、2015年時点の中国空軍はJ-11やSu-27等日本を戦闘行動半径に含める機体が637機、日本は航空自衛隊が280機でした。

 中国空軍のSu-27等日本を戦闘行動半径に収める637機は脅威ですが、日本本土へ向ける航空戦力と同時に中国は過去、中印国境紛争でインドに侵攻し、中越戦争でヴェトナムに侵攻、これらを筆頭にチベット侵攻や南沙紛争、西沙紛争とダマンスキー島事件等、第二次世界大戦後だけでも日本を除く周辺国すべての国へ武力紛争を仕掛けており、この関係上全航空戦力を日本へ向ける事は無い。

 航空自衛隊は280機の戦闘機を整備する事で日本本土の防空を維持できる、との防衛大綱への明示ですが、千歳基地と三沢基地に百里基地と小松基地や築城基地に新田原基地と那覇基地へ、同じ航空団を配置、新田原基地の航空団のみ1個飛行隊編成で他の航空団は三沢基地が編成移行中、他が2個飛行隊と編成は異なりますが、現行編成は最適案ではない。

 航空団を大型化し、数を集約したうえで航空団を二箇所の飛行場に配置、その上で航空団隷下に三個の航空隊を配置し、即座に二箇所の基地へ航空隊を残しつつ一個航空団を機動展開させる体制を構築する事で局地的な航空優勢の緒戦での危機、航空優勢喪失という状況を短期間で我が方の航空優勢確保へ転換する事が出来る、これが本論の最大の主旨です。

 北部航空方面隊は第2航空団司令部と第2航空隊と第4航空隊を千歳基地、三沢基地に第3航空隊、中部航空方面隊は第1航空団司令部と第6航空隊と第1航空隊を小松基地に置き百里基地に第7航空隊を、西部航空方面隊は第3航空団司令部と第8航空隊を築城基地に、第5航空隊と第10航空隊を新田原基地、那覇基地は第4航空団と第9航空隊を隷下に置く。

 防空への機動運用部隊として、例えば南西諸島での防空作戦を展開する場合には即座に、第4航空隊、第6航空隊、第10航空隊、以上3個航空隊の戦闘機72機を派遣し、局地的な航空優勢喪失の危機を圧倒的な防空部隊の展開により払拭する事が可能です。この際、第一線基地はミサイル攻撃等により滑走路を筆頭に基地機能喪失の危険性が否めません。

 臨時分屯基地構想として、これまでに示しました案では、拠点となる基地、南西諸島では那覇基地、こうした基地が航空攻撃により一時的に機能喪失に陥る危険性を予め想定し、多数ある地方空港へ航空自衛隊が航空隊を飛行中隊単位で分散させ、地域に防空のクラウドネットワークを構築、一カ所に集約し無力化される危険性を回避する提案を行いました。

 地域に防空のクラウドネットワークを構築、飛行隊編成を24機に指揮官所要を加えた編成とした場合、6機の戦闘機基幹の飛行中隊を4個配置する事が可能です。この戦闘機6機の飛行中隊を中核に、91式携帯地対空誘導弾数基の防空分遣隊、軽装甲機動車若干数と防空へも転用可能な重機関銃を装備する警備分遣隊、整備と管制要員の機動飛行群を編成する。

 機動飛行群、臨時分屯基地として地方空港を緊急に飛行中隊が分散運用する場合の部隊単位はこう考える事が出来ます。飛行中隊、飛行支援中隊、警備防空小隊、分散し運用する事で、第一撃を避け、航空優勢を再構築するまでの防空基盤を維持する事が可能です。その上で、戦力を集約できる大型航空団の整備は強大な周辺国への抑止力となるでしょう。

北大路機関:はるな くらま
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