北大路機関

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【日曜特集】第4施設団52周年大久保駐屯地祭【5】訓練展示と体験試乗(2013-05-26)

2017-10-15 20:05:42 | 陸上自衛隊 駐屯地祭
■大久保駐屯地祭2013の活況
 大久保駐屯地祭2013は、訓練展示模擬戦闘は火炎放射器とともに敵の攻撃を封じ反撃に転じる最高潮を迎えています。

 大久保駐屯地、広大な駐屯地には第4施設団と第3施設大隊が駐屯、第4施設団は中部方面隊隷下の建設工兵で、第3施設大隊は第3師団隷下の戦闘工兵部隊です。第4施設団は本部と第7施設群本部及び主力と第102施設器材隊第307ダンプ車両中隊のみ駐屯する。

 第3施設大隊ですが、大隊本部及び本部管理中隊に第1中隊と第2中隊及び第3中隊という編成で、施設中隊については戦闘工兵部隊としての訓練に加え、近接戦闘部隊としての訓練を受け、一方で建機と重なる装備品も隷下に配備しています。この点みてみましょう。

 施設大隊本部管理中隊は、中隊本部、偵察班、通信小隊、補給小隊、器材小隊、渡河器材小隊、特殊器材小隊、整備小隊、等々専門器材等を集成すると共に全般任務に資する通信や補給と整備業務などを行います。一種専門技術を持つ要員と特殊器材が集められている。

 施設中隊は中隊本部に本部班と補給班に本部職務班、2個小隊と器材班、という編成となっています。中隊規模は100名弱、小隊は小隊本部と3個分隊から構成されていまして、工兵として用いる施設機材等は器材班から派出を受け任務に当るという方式を採っています。

 師団施設大隊隷下の施設中隊は以上の通りですが、旅団施設としての施設中隊は少々編成が異なっています。中隊本部は本部班と補給班に司令職務班という編成ですが、施設小隊は2個あり、各施設小隊は小隊本部と2個分隊及び器材班、という編成を採っています。

 旅団施設中隊は2個施設小隊に加え渡河器材小隊が置かれ、渡河器材小隊は小隊本部と架橋隊という編成です。各小隊に器材班が置かれる編成ですので装備密度の高さが垣間見えるのですが、近年は本部機能を強化し、施設中隊を施設隊へ増強改編する過渡期でもある。

 第3施設大隊は師団施設ですので、施設中隊は小隊を第一線戦闘工兵作業の主力としたうえで器材班の専門器材を以て任務に当るのですが、大隊本部管理中隊へ地雷敷設や架橋等の専門器材を集約し必要に応じ隷下の施設中隊支援へ戦闘加入させる方式を取っている。

 第4施設団、人員規模は4500名と方面混成団よりも大きく旅団規模部隊となっています。第4施設団編成は、団本部、団本部付隊、第6施設群、第7施設群、第304水際障害中隊、第304施設隊、第305施設隊、第102施設器材隊、第307ダンプ車両中隊、となっている。

 施設群の二つを見てみますと以下の通り。第6施設群は、群本部、第369施設中隊、第370施設中隊、第371施設中隊、第372施設中隊という編成です。第7施設群の編成を見ますと、群本部、第380施設中隊、第381施設中隊、第382施設中隊第304水際障害中隊、と。

 方面施設部隊ですので、隷下部隊は中隊単位で広く駐屯していまして、富山駐屯地や和歌山駐屯地に豊川駐屯地と鯖江駐屯地及び岐阜分屯地や出雲駐屯地と三軒屋駐屯地へ、それぞれ群本部や施設中隊等を分散して駐屯させています。豊川駐屯地は中でも規模は大きい。

 方面施設は建設工兵、しかし後方連絡線と拠点を維持するだけではなく、近年は戦闘工兵装備を集約しつつあり建設工兵であると同時に第一線で戦う戦闘工兵としての任務も重ねて付与されている、という紹介を重ねてきましたが、この点をもう少し見てみましょう。

 施設団隷下には複数の施設群と施設器材隊から編成されています。施設群は群本部と施設中隊4個を基幹としています。かつては器材中隊というものが置かれているのですが、この編成に至るまでは機能別中隊への改編と再度の改編と続きました。この点は後述します。

 施設器材隊、この編成は方面直轄施設部隊ならではの編成です。施設器材隊は対本部、本部付隊、架橋中隊、浮橋中隊、整備中隊、以上です。架橋中隊は重パネル橋等の恒久施設としても運用可能な装備を運用、浮橋中隊には92式浮橋が装備、架橋を重視しています。

 架橋を重視した編成の背景には、架橋以外の任務は汎用性のある他の器材により対応出来ますが、架橋だけはバケットローダーやグレーダーだけでは大河に端を掛けられず通常の土木工事となり時間がかかりすぎる為です。専門器材があれば数時間で橋を架けられる。

 92式浮橋等は其の専門器材の筆頭で橋間橋節12基と橋端橋節2基により104mの橋梁を浮橋により構成可能です。ただ、流れのある河川では浮橋は下流に流れる為、動力ボート7隻が支え、河川敷を補強する道路マット等もを装備、21両の運搬車により機動可能です。

 94式水際地雷敷設車、水際障害中隊に装備され36個の小型機雷を敷設する水陸両用車となっていて、沿岸部から会場まで展開、水際地雷再装填は20分で完了し、1両だけで48時間に5kmの海岸線と沿岸部へ着上陸を阻止する密度4の水際地雷原を構築可能です。

 機能別中隊改編、陸上自衛隊方面施設部隊の一つの大きな転機となった改編でした。元々方面施設部隊は地区施設隊からの改編からその歴史が始まりましたが、個々の編成では団という旅団規模の部隊の規模の強みが発揮出来ず、中隊毎に専門領域を置く事とします。

 障害中隊、築城中隊、機動支援中隊、交通中隊、機能別中隊とは施設群隷下にこの四つの機能を持つ部隊を配置し、専門領域を中隊単位で最大限発揮出来る態勢を目指しました。この他、水際障害中隊や坑道中隊という独立部隊と、施設群隷下には共通編成が採られた。

 機能別中隊改編ですが、実際に実施してみますと、障害中隊、築城中隊、機動支援中隊、交通中隊、しかし施設群が一つの駐屯地に展開している訳ではなく、施設中隊単位で多くの駐屯地に分散しています。すると、必要な中隊が必要な場所に不在との状況があり得る。

 1990年代に着手された障害中隊、築城中隊、機動支援中隊、交通中隊、機能別中隊への改編は一見合理的に見えましたが、この改編は施設群隷下の4個中隊編成を維持する事が出来た一方、近傍中隊が必要な機能を持たないとの隔靴掻痒の状況を越えられませんでした。

 方面施設部隊は機能別編成から再度通常の施設中隊を基本とした編成へ転換します。一方、中部方面隊では施設団遠征は維持されましたが、北部方面隊では施設群隷下の施設中隊を大きく見直し、方面施設団が方面施設隊へ改編された実例もあります、この点は難しい。

 中部方面後方支援隊第104施設直接支援大隊の新編、2004年に実施された方面後方支援隊の新編は、施設団に後方支援隊を付与したと同等の改編となりました。大久保駐屯地の第4施設団を支援する中部方面後方支援隊は、同じ京都府の桂駐屯地に隊本部を置いています。

 第104施設直接支援大隊は本部を大久保駐屯地へ、第1直接支援中隊を豊川駐屯地と鯖江駐屯地と岐阜分屯地、第2直接支援中隊は大久保駐屯地と和歌山駐屯地と富山駐屯地、第1直接支援隊は出雲駐屯地、第2直接支援隊は三軒屋駐屯地に置かれ施設団を支援している。

 方面施設団は東日本大震災、自衛隊創設以来最大の災害派遣となったあの大震災を前に施設科部隊の数の総力を発揮し、架橋や沿岸部の道路障害撤去や救援拠点構築等に大きな能力を発揮しています。装備や運用に限界はありますが、改善と研究により次の段階へ進むことができるでしょう。さて、大久保駐屯地祭2013、第五回の今回が最終回です、その活況の様子を少しでもお伝えできれば幸いです。

北大路機関:はるな くらま
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