グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

ほんのわずかな違いが、やがて…🤗

2018年01月23日 | 火山・ジオパーク
先日のブログに「三原山斜面の草が生えている場所と生えていない場所の違いを調べに現場に行ったけれど、わからなかった」という報告をしました。

この場所のことなのですが…

ブログを読んだ、日本緑化工協会の中野さんから以下のような意見をもらいました。

「(草が生えない場所は)礫と礫の隙間が大きく、毛管水を保てず乾燥が激しいからでしょう。風が強いと、風が吹き込みますから、余計に乾燥させてしてしまいます。また、比較的細かなスコリアの場合、風により表層が落ち着かない、移動する、ということがあります。毛管水の遮断に風、これが複合された結果のようですね」

複合作用!
確かに単純に「風」だけでなく「地面の様子の違い」だけでなく、いくつかの要因の組み合わせであれば、微妙な違いも生まれそうですね。

緑化のお仕事をされている中野さんの説明は続きます。
「砂利だらけの基盤に草花を生やす方法を作りました。それは、ほんのわずかの微粒分をごく表層に混入するだけです。見た目、中身も砂利だらけで、大きくは変わりませんが、わずかに手を加えることで草花が生育するようになります。」

ほんのわずかな微粒分!
そうか〜、大島には「火山灰」という立派な(?)微粒分がいっぱいありますね!

地面の様子が見た目上変わらなくても、風下の岩の隙間に軽い火山灰が積もりやすいということはありそうです。


それに、今回歩いて歩行記録をとってわかったのですが、三原山の草の生えない場所は、南西側と北東側、大島の卓越風が吹いてくる方向とほぼ一致していました。

「風、火山灰などの極僅かの微粒分、ご指摘の斜面の向きなどの微細な条件で植物の定着、初期生長は大きく左右されます。これを微気象、微地形と称しています。」(中野さん)

微気象、微地形…最初はほんのわずかの違いだったものが、年月をへてだんだん大きな違いになっていく…。やっぱり地球上の全てのものはミラクルだらけだ〜!!!と思いました☺️

「いったん植物が定着すると、立地条件が変化、緩和され、植物との相互作用で、温暖で雨の多いわが国の場合は、気候的極相にむけて遷移し収斂してゆきます。」(中野さん)

確かに植物が一度生えると、その植物自体が環境を変えていきますよね! 納得。

中野さんは、渋谷区役所、神南分庁舎屋上でのモデル施工の写真も送ってくれました。

「ほんのわずかの微粒分を混入させた砂利に花の種子を上手くブレンドすると、一年中花が咲き続けます。普通の土だと、雑草に押されて花は消えて行きますが、雑草が生育しないので、手間いらず、ノーメンテで花畑を持続させる事ができます。3年間、雨水だけ、特別な手も入れず、お花畑が持続しました。20年近く経ちますが、無灌水、ローメンテで屋上に根付いています。」とのこと。

20年間の実績に裏打ちされた理論、すごいです☺️

「大島のような硬い溶岩、火山砂利の手に入りやすいところでは、このような方法を用いると良いと思います。自然度の高い処ではまずいですが、町に近い所ではつかえると思います。」とのアドバイスもいただきました。

三原山周辺では、ここだけでしか見られないありのままの自然の姿を、集落周辺ではローメンテで1年中花が咲き続けるお花畑を見られる島…。想像すると楽しいですよね〜💓🤗

時間をとって色々教えてくださった中野さん、ありがとうございました!

(かな)

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