3月24日(土)
私は、日本共産党が発行している「日本の巨大メディアを考える」という100円パンフを読みました。
これは、2月21日に位志委員長が第11回「綱領教室」で行った講義から関連部分をパンフレットにしたも
ので、私も講義を聴きましたが、書き留めることができませんでしたので、パンフレットになったことを歓迎し、
本日読了しました。
内容が良かったので、パンフレットを購入してくださることと、しんぶん「赤旗」の購読をお願いしたいと思い、
大変長くなりましたが、ブログで紹介することにしました。
まず最初に志位委員長は、日本のマスメディアが世界と比べて巨大化し、圧倒的な政治・思想・文化への
影響力を持っていることを述べ、そのうえ、大手新聞とテレビが系列化し、「異業種メディアの所有(クロスオ
ーナーシップ)」となっていることを明らかにしました。
「5つの大手新聞とその系列のテレビ局が同じ方向の内容の報道を、相互チェックもなく流し、国民の意識
に圧倒的な影響を与えている。これが日本の巨大メディアの現状です。世界で一番新聞がたくさん発行され、
全国規模で大手新聞が『クロスオーナーシップ』で系列のテレビ局に支配権をもつ。こういうがんじがらめの
巨大メディアの構造ができあがっている国というのは、欧米の先進国には他にみられない異常なものです。」
と述べています。
次に「権力のチェック役」というメディア本来の役割を果たしているかどうかという点で、アメリカ、イギリス、
フランス、と日本の巨大メディアを比較しています。
アメリカでは、2つの事例を紹介しました。まず最初に①1971年 ニューヨークタイムズ紙がベトナムの
「トンキン湾事件(1964年)」はアメリカのねつ造だったことを示すアメリカ国防省の秘密報告書(ペンタゴン・
ペーパーズ)を暴露したことについて志位さんは、この時のことを示す資料として自らが読んだ杉山隆男著
『メディアの興亡』の一節を紹介しています。
私もおもしろいと思ったので、パンフレットから抜粋しました。
「『ひと言、これは本物か。ぼくが本物です、と言ったら、レストンは、わかった、と言ってGOサインを出しました。
そのあとでレストンは部長会を開いて一席ぶちました。これからタイムズは政府と戦う。かなりの圧力が予想
される。財政的にもピンチになるかも知れない。しかし、そうなったら輪転機を二階にあげて社屋の一階を売り
に出す。それでも金が足りなければ今度は輪転機を三階にあげて二階を売る。まだ金が必要というなら社屋の
各階を売りに出していく。そして最後、十四階にまで輪転機をあげるような事態になっても、それでもタイムズは
戦う……』 小谷はシーハンの話しを聞きながら、日本の新聞社とアメリカの新聞社はこうも違うものかと愕然と
した。タイムズは社屋の一階一階を売りに出し、それこそ身を削りながらもなお言論の自由を守りぬくために政府
と戦うという。ところが日本はどうだ。社屋を売って政府とたたかうどころか、社屋をたてるために政府から土地を
分けてもらっている。読売は大蔵省が持っていた土地に新社屋をたてたばかりだし、毎日の敷地のうち竹橋寄り
の部分は皇宮警察の寮、つまりは国有地だったところだ。日経もサンケイも社屋がたっているところは、もとはと
言えば大蔵省の土地である。そして朝日だって築地の海上保安庁の跡地に社屋をつくろうとしている。日本の大
新聞という大新聞がすべて政府から土地の払い下げを受けて『言論の砦』をたてているのだ。これで政府相手に
ケンカをやろうというのが、どだい無理な話なのである」
次に②ワシントンポスト紙がウオーターゲート事件を暴露し、ニクソン大統領を辞任に追い込んだことを紹介しました。
また、イギリスのBBC放送がイラク戦争で英政府による情報のねつ造を報道したこと。フランスのル・モンド紙が
人権宣言を引いて富裕税を迫る最近の報道記事も紹介しています。
しかし、日本のメディアについては、「『権力のチェック役』どころか、逆に、財界やアメリカの意向をそのまま受けて、
『何をもたもたしているのだ。もっとしっかりやらなくてはだめじゃないか』と尻をたたく、悪い方向に「チェック」する役割
を、いまや巨大メディアは果たしているのではないでしょうか。」と述べ、日本の大手メディアの歴史的弱点としてーー
侵略戦争、日米安保、原発列島について、各新聞社の出発点ともかかわって、日本の大手メディアが、決定的な場面
で、国民の利益に背く行動をとってきたことを指摘しています。
また、権力と巨大メディアが一体化したこととして、ーーー決定的転機は小選挙区制だった。と、政府の諮問機関
として第8次選挙制度審議会がつくられますが、そこに主要メディアの幹部を軒なみ組み込んだ。(審議会の27人
の委員中、メディア関係者が12人にものぼった)ことや、その後の民間政治臨調、21世紀臨調(155人の運営委
員中73人が大手メディアの関係者)など、「国のあり方の改革と未完の政治改革とを『車の両輪』と位置づけて活
動を勧める」と、国会改造の運動体として巨大メディアがいかに政治をゆがめてきたかを語っています。
そしていま、公正、独立というジャーナリズムの根本精神がきびしく問われているとして、「独裁」を公言してはばか
らないような人物を、無批判に、あたかも「改革のヒーロー」であるかのように持ち上げたことでも巨大メディアの責任
は大きいといわなければなりません。と語っています。
そして、最後にこの状況をどうやって変えていくかとして志位さんは、次の2つ述べています。
一つは、原発ゼロ、TPP反対、基地撤去、消費税増税ストップなど、国民の切実な要求をとらえ、政治的立場の違
いをこえた国民運動をさらに広げ、巨大メディアも無視できない流れにしていくこと。それは巨大メディアのなかで、
ジャーナリストとしての良心をもってがんばっている人々を励ますことにもなるでしょう。
いまひとつは、人民的メディアを大きくしていくことです。として、私たちは、他の国にはない、日本しかない百万人
を越える人民的メディアをもっています。それは「しんぶん赤旗」というメディアです。私は、「しんぶん赤旗」がいま果
たしている役割は、政党機関紙という枠をはるかにこえたものだと思います。国民が、世の中の真実、事実を知りた
いと思ったら、日本の問題でも、世界の問題でも、「しんぶん赤旗」は不可欠の存在です。巨大メディアが決して報じ
ようとしない、真実を伝える新聞が「しんぶん赤旗」であり、またそれは国民にとって、いまの政治と社会の行き詰まり
を破る展望はどこにあるのか、希望を運ぶ新聞であると思います。
以上、私も、このパンフを読み、「しんぶん赤旗」の購読のお願いをすることを、もっと積極的にやらなければと決意を
あらたにしました。