A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

頭脳警察/JOJO広重+ファーストサマーウイカ/制服向上委員会@初台The DOORS 2013.12.11(wed)

2013年12月13日 00時47分18秒 | ロッケンロール万歳!


頭脳警察 NEW ALBUM「暗転」発売記念
第7回 寺山修司音楽祭

<解説>高取 英 
<出演>頭脳警察、制服向上委員会
<ゲスト>JOJO広重(from 非常階段)+ファーストサマーウイカ(from BiS)


pix by Toru Imai

11月2日に久々に観て以来、頭脳警察とパンタにぞっこん(死語)である。パンクに衝撃を受けた中学の頃、同時代の日本のバンドはニューミュージックか歌謡ロック、良くてハードロックやブルースロックだけだった。派手な化粧に髪を逆立てたRCサクセションをテレビで観たが、フォーク歌手が無理してストーンズを真似た感じでしっくり来なかった。そんなとき音楽雑誌の記事で、日本の元祖パンクとしていくつかのバンドが紹介されていた。ジャックス、村八分、外道、サンハウスと共に頭脳警察の名前があった。当然フランク・ザッパなど知る由もないからBrain Policeの意味は判らなかったが、その字面にはなんだこりゃと思わせる強烈なインパクトがあった。レコード店にはちゃんとコーナーがあり、『悪たれ小僧』のジャケットに2名載っている指名手配犯の写真が、時間が経つと1人になり、最後になくなることを何故か知っていた。その時は外道の1st LPを買った。スピード感はまあまあだが、ギターソロがあるハードロックは古臭くて殆ど聴かずに売り払った。そうこうするうちに、めんたいロックや東京ロッカーズやアナーキーが出てきて、これが本当の日本のパンクだ、と溜飲を下げた。

  

しかしBrain Piloceへの憧れは消えることなく胸の中にあった。高円寺に出来たパラレルハウスという貸レコード屋は、パンク/ニューウェイヴ/プログレが充実しており、日本のロックもメジャーからマイナーまで揃っていた。その店で『誕生』というLPを借りたのが、実際のZK体験の最初である。トレードマークの政治的で攻撃的な曲はないが、パンタの男らしいヴォーカルが気に入って録音したカセットを何度も聴き返した。特に複雑でアヴァンギャルドな構成の「あなた方の心の中に黒く色どられていない処があったらすぐ電話をして下さい」という曲が大好きだった。他のアルバムも借りてきて同時代の日本のパンク/ニューウェイヴと共に愛聴した。

  

それから30年経ち、改めて当時の愛聴盤を聴き直すと、アナーキーやフリクションやスターリンやラフィン・ノーズなどが青春時代の想い出に直結するのに対し、頭脳警察には時代を超えた普遍性が感じられ、何といっても全曲一緒に歌えることに感激した。3コードのロケンローや過激なハードコアやダークなネオサイケ一本槍ではなく、ロック、バラード、前衛のアマルガムが飽きない秘密だろう。終始一貫したパンタのロマンティシズムも最高。10代の頃心に染みた歌心が今聴いても突き刺さる。自分にとって最もしっくり来る歌声の持ち主がパンタなのかもしれない。

この日は頭脳警察と同じ1969年に劇団天井桟敷を設立した寺山修司の12月10日の命日に合わせた追悼イベント。目玉はアイドルグループBiSのファーストサマーウイカがJOJO広重と組んで出演すること。会場にはIDOL Tシャツの研究員も多い。

制服向上委員会


寺山修司と親しかった劇作家の高取英との絡みに続き、制服向上委員会が登場。小中高生からなるアイドルグループで22年の歴史を持つ。最近のアイドルとは異質の素人っぽさと社会派メッセージの籠った歌が面白い。




●頭脳警察


この日発売の寺山修司に捧げたニューアルバム『暗転』の新曲を交えたステージ。やはりパンタの声には抵抗出来ない。会場が広い分、11月観た時よりも躍動感がある気がする。新曲も70年代のレパートリーも全く違和感なく溶け込んでいる。




●JOJO広重+ファーストサマーウイカ


関西出身のウイぽんことファーストサマーウイカは、現体制のBiSでは「太鼓持ち担当」だが、パフォーマンス面ではプールイに次ぐ存在といっていい。演劇をやっていただけあり、猟奇的なメイクや過激な発言がBiSのぶち壊れたイメージの増幅に効果的。黒いワンピースで魅せる時に透明、時に激情のヴォーカルは、アイドルじゃなくても充分アピールするだろう。森田童子「ぼくたちの失敗」、寺山修司の詩の朗読、頭脳警察「さよなら世界夫人よ」を広重のノイズギターとデュエット。




●頭脳BiS階段

(このパートの写真撮影はOKでした)

最後のパートは頭脳警察にJOJO&ウイカが参加してパフォーマンス。広重が中学時代に衝撃を受けたという「前衛劇団"モータープール"」をはじめ寺山修司の詩の朗読、「コミック雑誌なんかいらない」「悪たれ小僧」を共演。水を得た魚のようにノイズギターをかき鳴らす広重は常に笑顔だった。中学時代のトキメキを追体験していたのだろうか。



寺山修司にかこつけて、個性派アーティストが好き勝手に繰り広げたケイオティックな演奏はまさに「ネ申イベント」だった。三者にとってこの夜が新たな創造性の炎に油を注いだことは間違いない。頭脳警察結成45周年まであと20日を残すばかり。準備は完了した。

時代は巡る
世界が暗転
するところ



『暗転』収録の「詩の朗読という詩」は、灰野敬二のギター・インプロヴィゼーションに乗せてパンタが寺山の詩を朗読するナンバー。8分半に亘る灰野のギターはまさに「ネ申」の素晴らしさ。灰野ファンならこの一曲の為だけに購入する価値あり。





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