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映画 ネットワーク(1976) テレビ業界の狂乱ぶりを描く

2011年04月22日 | 映画(な行)
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 民放のテレビ局の視聴率争いは視聴者側にとっては大して意味は無いように思うが、しかしテレビ局内において視聴率を巡るドラマは相当な血みどろの展開があるようだ。本来テレビの役割は視聴者に対するサービス。抜群に面白い番組を提供し、世界、国内のニュースを正確に伝える役割がある。しかし、実際のテレビ業界の裏の顔はスポンサー、視聴率、権力が絡みの利権争い。
 各民放が競って同じような時間帯に繰り広げるテレビドラマより以上に面白い人間ドラマがテレビ局の裏側で起こっているのは想像に難くない。そんなテレビ局を動かす人間の狂乱振りを皮肉たっぷりに描いたのが今回紹介するネットワークです。

 テレビ業界の内幕を騒動を描いた映画はけっこう多い。例えば比較的穏やかで、コメディータッチの内容の映画ならばジェームズ・L・ブルックス監督のブロードキャスト・ニュースを思い出す。ニュース番組に写っているキャスターと呼ばれる人達は華やかな印象を受けるが、キャスター達も人間。そんなキャスター達の喜怒哀楽が面白おかしく描かれていた佳作。
 他にテレビの持つ影響を怖いぐらいに表現した映画にロバート・レッドフォード監督のクイズ・ショウが印象的。テレビというのは時にヒーローを生み出すかと思えば、古くなったヒーローを蹴落として新しいヒーローを誕生させることができるし、逆に悪役をヒーローにすることもできる。テレビ番組という小さい世界を描きながらも、怪物を簡単に生み出してしまうテレビ番組の怖さを見事に描いている力作。
 しかし、テレビ業界に生きる人々の人間ドラマを痛烈に風刺している代表的映画と言えば今回紹介するネットワークということになるだろうと思う。

 ちなみに監督は先日亡くなったシドニー・ルメット陪審員制度を描くことによって、民主主義の正義を描いた十二人の怒れる男、米ソ冷戦下における核戦争の恐怖を描いた未知への飛行、アガサ・クリスティ原作の映画化オリエント急行殺人事件等、多くの名作を生み出したその功績は賞賛に値します。

 社会派映画監督とも呼ばれたシドニー・ルメット監督の真骨頂的作品のネットワークを紹介します

ネットワーク [DVD]
フェイ・ダナウェイ,ウィリアム・ホールデン,ピーター・フィンチ,ロバート・デュバル
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン


 大手テレビ会社のUSBの夕方の報道番組。かつては高視聴率を叩きだしていた人気番組だったが、今ではすっかり低視聴率にあえいでいる。USBの報道部門の責任者であるマックス(ウィリアム・ホールデン)は番組の司会者であり、友人であるビール(ピーター・フィンチ)に二週間後の番組の打ち切りと解雇という苦悩の宣告。

 その報告を聞いたビール(フィンチ)はウツ状態に陥り、翌日の番組の生放送中にテレビ局の暴露話をしゃべり、自殺予告までしてしまう。マックス(ホールデン)たちはビール(フィンチ)の様子に大慌てするが、そんなビール(フィンチ)の突然の告白によって、その日は高視聴率をたたき出す。

 解雇が決まっていたビール(フィンチ)だったが、そんな突然の高視聴率を利用しようとしたのがエンターテイメント番組の新進の野心家であるダイアナ(フェイ・ダナウェイ)。彼女はビール(フィンチ)を起用してエンターテイメント系の番組を作ろうとする。

 友人であるビール(フィンチ)がウツ状態なこともあり、マックス(ホールデン)は彼を起用しようとするダイアナ(ダナウェイ)に抵抗するが、改革路線を突っ走ろうとするフランク(ロバート・デュヴァル)の力添えもありマックス(ホールデン)は更迭させられ、ビール(フィンチ)を起用したダイアナ(ダナウェイ)の番組は大当たりする。

 時が経ちマックス(ホールデン)とダイアナ(ダナウェイ)は出会い、マックス(ホールデン)は妻子が居ながら2人は不倫関係に陥る。しかしダイアナ(ダナウェイ)のビール(フィンチ)を起用した番組は相変わらず好調で、さらに調子に乗ったダイアナ(ダナウェイ)は実際のテロリストを起用して新しい番組を作ろうとする。
 ところがビール(フィンチ)は生放送中に番組の裏側を暴露してしまったために、番組のスポンサーのジェンソン(ネッド・ビーティ)の怒りに触れてしまう。
 ジェンソン(ビーティー)に呼び出されたビール(フィンチ)は自らの資本主義思想を叩き込み、ビール(フィンチ)もそのことを番組でアピールするが、あまりにも観客受けしない内容のために次第に視聴率が低下してしまう。

 視聴率低下に危機感を抱いたダイアナ(ダナウェイ)とフランク(デュヴァル)はビール(フィンチ)を番組から降ろそうとするが、すっかり言いなりになってしまっているビール(フィンチ)を気に入ってしまったジェンソン(ビーティー)は彼を番組から降ろすことを許さず・・・テレビ界の視聴率主義の恐ろしさを表す衝撃のラストシーンは映画を観てください



 日本のテレビ界もすっかり視聴率が気になって番組の劣悪振りが明らかになっているが、そのような背景を批判した社会派作品。視聴率の1パーセントの差が年200万ドルの差になって表われるアメリカのテレビ業界の熾烈な競争と生き残り社会のひずみがモロに現在のアメリカのダメさを考えると非常に意味深な映画になっている。
 このような映画が1970年代に作られているが30年以上を経た現在においても充分に通用しすぎることにテレビ界の進歩の無さが理解できる。しかも当時は絶対だと信じていたアメリカの資本主義社会への痛烈なメッセージも込められているが、今のアメリカのダメさの元凶を既にこの時代に描いてしまう事にシドニー・ルメット監督の偉大がよくわかる映画です。

 そして非常に豪華なキャスト陣も目を見張る。1970年代の代表的ハリウッド女優のフェイ・ダナウェイ、この時から渋い脇役のロバート・デュヴァル、間違いなく一時代を築いた大スターウィリアム・ホールデン、そしてピーター・フィンチの怪演はこの映画の見所の一つです 

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