褒めまくる映画伝道師のブログ

映画の記事がメイン。自己基準で良かった映画ばかり紹介します。とにかく褒めることがコンセプトです。

映画 刑事(1959) アモ~レ、アモ~レ、アモ~レ

2013年10月09日 | 映画(か行)
 名作と呼ばれる映画には、どういうわけか素晴らしい音楽が一緒にセットになっていることが多い。今回紹介する映画刑事が、まさにそれ。『アモ~レ、アモ~レ、アモ~レ、アモレミヨ~・・・』【歌名:Sinno me moro(死ぬほど愛して)←どうしても聴きたい人はググッてください】と冒頭から流れる歌声とメロディに魂が揺さぶられる。
 いわゆる刑事物と呼ばれる映画だが、単なる犯人を探し出して追い詰めるサスペンスではなく、殺人事件を捜査していく過程で、ローマ市内に住む一般庶民の哀切を描き出した傑作だ。当然、タイトル通りに主要な刑事が4、5人ぐらい出てくるのだが、どいつもこいつも頭が切れるという感じがしない。主演のピエトロ・ジェルミ演じる刑事のリーダー格にしても、黒いサングラスを掛けたりして、渋くて、格好良いのだが、捜査能力自体は大した事が無いし、他の刑事も一生懸命には捜査をしているのだが、けっこうなオッチョコチョイ。また凄い知能レベルの犯罪者達が登場するのかと言えば、俺が見たところでは、全くそんな奴は出てこない。とにかく刑事達は一度や二度失敗しても地道にコツコツと捜査し、悪い奴らも必死で、無い知恵を振り絞って逃げ隠れする。

 最近の刑事映画を観ていると、犯罪者がニコニコしながら登場してそのままニコニコしながら捕まって刑務所行きで終り、なんて作品を見せられて拍子抜けすることがある。また刑事も刑事で現場にも出向かず、観ている側が推理する間も無く、ほとんどノーヒントで思いつきだけで解決してしまうような映画があったりする。しかし、やっぱり捕まえる方も一生懸命なら、捕まえられる方も一生懸命に頑張る。個人的には刑事も犯罪者も努力している姿を見せられる方が、共感度は大きい。
 そして、やっぱり何度も書くが冒頭から流れるアモ~レ、アモ~レ・・・の音楽が最高。そして、この音楽がラストで抜群の効果を発揮させる。さて刑事映画にして一般庶民の悲哀を描き出し、ラストで色々と複雑な感情が込みあがってくるストーリーとはいかなるものか。

 ローマのアパートにて強盗が逃げ出し、銃声が一発聞こえてくる。イングラバロ刑事(ピエトロ・ジェルミ)たちはアパートに駆けつけるのだが、被害者であるアンザローニは何故か非協力的。アンザローニの女中でもあるアッスンタ(クラウディア・カルディナーレ)は隣室のバンドゥッチ家の女中でもあり、彼女は事件の時にはバンドゥッチ家に居たと言う。
 イングラバロ刑事(ジェルミ)達はアッスンタ(カルディナーレ)を尾行すると怪しい行動をしたディメッチオ(ニーノ・カステルヌオーヴォ)を発見。ディメッチオ(カステルヌオーヴォ)とアッスンタ(カルディナーレ)を署に連行するが、2人は婚約しており、ディメッチオ(カステルヌオーヴォ)には彼女には言えないアリバイがあった。
 それから一週間後にバンドゥッチ家でバンドゥッチ夫人のリリアーナ(エレオノーラ・ロッシ・ドラゴ)が惨殺される事件が発生する。一週間で同じアパートの隣同士の部屋で事件が起きたことに深い関係があると見て、イングラバロ刑事(ジェルミ)達は簡単に事件解決すると思っていると、次から次へと容疑者は出てくるのだが事件解決までには到らず万策尽きたように思われたのだが・・・

 戦後のイタリアと日本はボロボロの廃墟から立ち上がってきた点で似ているが、そんな中で登場してきた1940年代半ば~1950年代後半にかけてのイタリア映画は傑作が揃っているが、本作品刑事も、そんな中から登場してきた作品で当時のローマ市の住民の生活感が伝わってくる映画だ。
 息詰まるほどのサスペンス感があるわけでもなく、ハデさもない。チョイチョイ笑えるシーンも織り交ぜて、昔の日本もこんな感じだったんだよな~と思いながら、どこか懐かしさを感じる。急転直下で事件が解決してしまうことに、今までの捜査の努力は一体何だったんだよ、と笑ってしまいそうになったが、ラストはキツイこのまま事件解決せずに迷宮入りした方が良かったのにと思わせる描き方が、本当にいつまで経っても余韻が残る。サスペンスやスリルだけを求める人が飛びつく映画ではないが、人生、人間ってこんなもんだよな~と達観できる人には刑事はお勧めです

刑事 [DVD]
C.E.ガッタ,アルフレード・ジャンネッティ,エンニオ・デ・コンチーニ
ニューライン


 監督は主演も兼ねるピエトロ・ジェルミ。同じく監督と主演を兼ねた作品で鉄道員はホームドラマの傑作でお勧め、この映画も音楽が良かった。他に中年男の哀しい不倫を描いたわらの男も監督と主演を兼ねた映画でお勧めです。

 出番は多くありませんが印象的な役柄でクラウディア・カルディナーレが出演しています。ルキノ・ヴィスコンティ監督、バート・ランカスター、アラン・ドロン競演の山猫がお勧め。

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