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日刊イオ

月刊イオがおくる日刊編集後記

アート脳に感動

2013-11-04 09:00:00 | (理)のブログ
 少し前になりますが、武蔵美×朝鮮大 合同企画展「この場所にいるということ」を取材してきました。隣り合わせの朝鮮大学校と武蔵野美術大学。武蔵美の学生が2校を隔てる壁を作品の題材にしたことがきっかけで、朝大美術科との交流が始まったそうです。今回の展示会を企画したのは武蔵美の先生。展示は武蔵美の芸術祭に合わせて行われ、私は初日のトークイベントに参加してきました。

 トークイベントでは主に、展示会開催までの経緯と作品に込められた意味が紹介されました。朝大美術科研究員生3人、武蔵美生3人がそれぞれ語ってくれました。

 話を聞いて、「あ、天才だなぁ」と感じました。発想が私には理解できません。作品に込められた意味はとてもよくわかったのですが、どのような生活を送っていればそんな考えが浮かぶのかが謎です。着眼点、発想の出発点、また感じたことの掘り下げ方などが独特なんでしょう。

 私はもともと理数科目が苦手で、高級部時代は大いに苦戦させられました。必死に基礎問題を解いている横でスラスラと応用問題までクリアしてしまう友人を見ると、羨ましく感じると同時に「なんでそんな簡単に解けるんだろう?」と不思議でなりませんでした。友人に言わせると、「こんなの方程式覚えれば簡単でしょ(笑)」とのこと。(笑)の意味がわかりません。この時、理数系の人とは脳の構造が違うんだということに気づかされました。

 今回、久しぶりに同じような感覚になりました。美術作品を鑑賞することは誰にでもできますが、つくりだすには特別な思考回路が必要なのかもしれません。ただただ「アート脳」の凄さを実感しました。

 トークイベントで印象的だったのは、企画した先生の「武蔵美生たちはどちらかというと、自分の内面的なものをすごく見つめて、掘り下げて作品にしている。反対に朝鮮大の子たちは、スタートは自分の内面的なものでも、外に向けてメッセージを発しているような作品が多い」という言葉です。確かに作品に込められた意味を聞いても、他者と繋がるテーマが多かったように感じました。

 取材を終えて、なんだか使命感というか、自分を精一杯表現している後輩たちに対するライバル心のようなものが一瞬芽生えました。せっかくいい発想を持っているのに、こういうイベントがないとそれを広めることができない場合ももしかしたらたくさんあるかもしれません。どんな小さいものでも、探して、拾って伝えていきたい、それがアート脳にはなれない自分の表現方法なのだと思いました。(理)

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