Meister von Grünfelder

日々の出来事を綴ります。たまにまともなことも書くかも知れません。

ある夜の話

2007-10-05 22:14:38 | Geschichten
 仕事終わりにスターバックスに寄って、さて帰ろうかと。  正面入り口の椅子に座っている人が目に入った。  以前、重傷で緊急の麻酔を掛けた人だった。そのときは酷く重篤な状態であったが、今は点滴1つぶら下げていない。  お元気そうですね。  そう、思わず声を掛けた。  麻酔科医の顔なんて覚えていないだろう。怪訝な顔をしたその人に、少しそのときの話をしたら漸く、ああ、と合点がいったようだった。  今 . . . 本文を読む

中編-1

2005-08-26 00:04:00 | Geschichten
 月の綺麗な夜に、車に乗って出掛けた。  家族総出。  ちょっと離れた都市に行って、僕は国家資格の試験を受けることになっていた。  この試験に受かるかどうか。それは僕にとっては些細な問題だったが、しかし、この不況で父の仕事も減ってきているので、家は苦しかった。家計にとっては重要な問題だった訳だ。  僕の応援ということでもないのだろうけれど、だから両親と兄、僕の4人が揃って向かうことになった。   . . . 本文を読む

中編-2

2005-08-26 00:03:00 | Geschichten
 翌朝は、こちらから誘おうとドアをノックしてもフィンはいなかった。  さすがに試験開始当日は、緊張する人が多い。彼女もきっとそうなのだろう。  そう思い、一人で朝食を摂った。  試験会場は、普通のホテルのホールくらいの場所だ。そこに長机と椅子が並び、受験者が部屋を埋め尽くす。  自分では早く来たつもりだったけれど、どうやら僕は遅い方だったようだ。席に着き、時間を待った。周りを見ると、落ち着かずそ . . . 本文を読む

中編-3

2005-08-26 00:02:00 | Geschichten
 試験期間も半ばとなると、会場には空席が目立つようになった。  見込みがないと判断したら、受験者は途中で試験をやめて帰るのが通例だ。途中でダメなものを最後まで受けたとしても、挽回できるような試験じゃない。  僕たちのフロアは、1割ほどが空席になっていた。暇な時間に、フィンが数えたらしい。  あのことがあってから、フィンと僕の関係は急速に近くなった。  彼女は4日目の夜から、僕の部屋で眠るようにな . . . 本文を読む

中編-4

2005-08-26 00:01:00 | Geschichten
 喉の渇きを覚えて起きると、朝だった。  フィンは未だ寝ていた。何だかんだ言っても、疲れたのだろう。  寝かせたままそっとしておいて、1週間振りに下に降りた。  エレベータを下りると、掲示板が出ていた。  発表の朝だというのに、辺りには誰もいない。少し早過ぎただろうか。  掲示板の名前を確認した。合格者はそんなに多くなかったので、僕の名前はすぐに見つかった。すぐ上に、フィンの名前もあった。   . . . 本文を読む

小編…国家試験:1日目

2005-02-19 05:21:15 | Geschichten
 海辺のコテージに遊びに行った。  その夜は風が強い割にはジメジメしていて蒸し暑く、嫌な空模様だった。緑がかった色の空気は、吸い込むのも辟易した。  海岸には昼間に着いた。  砂浜沿いに建てられたコテージは、まるでここは地中海だ、と言わんばかりに白塗りで、窓は円かった。  海は少し荒れていた。僕は隣にいた娘とコテージの一室に入り、乱暴なセックスをして夜まで眠った。  僕はガールフレンドの浮 . . . 本文を読む