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『湿地』アーナルデュル・インドリダソン

2012-07-29 | books
「湿地」アーナルデュル・インドリダソン 東京創元社 2012年
Myrin, Arnaldur Indridason 2000(アイスランド語の正確な表記は表示できない。英訳タイトルは"Jar City"後に、"Tainted Blood"に変更)

アパートの一室で発見された年老いた男性の遺体。その上には一枚の紙、鉛筆で書かれた三つの言葉。捜査官エーレンデュルは、現場の机の奥から写真を見つける。そこには墓が写っていた。1964-1968 たった4年しか生きられなかった者の墓。そこからたどっていった過去。墓は誰のものなのか。4歳で亡くなった者の親は誰か。遺体との関係は…

うむ。読みやすい。テーマは重いのに実に読みやすい。アイスランドという馴染のない土地、馴染のない人名が続くけれど読みやすい。

おっと紹介が遅れた。本作は、アイスランドを舞台にしたミステリで、エーレンデュル捜査官を主役にしたシリーズ12作中の第3作。本作と第4作は、北欧(デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、アイスランド)のミステリに与えられるガラスの鍵賞を受賞、同じ第4作は、CWA賞(英国推理作家協会賞)を受賞している。(詳しくは解説の川出正樹さんの文章を参照)

ネタバレを避けて詳しいことは何も語らないようにしよう。中盤を過ぎて、捜査官の頭にランダムによぎるのは: 死体、アパートの悪臭、置かれた紙、写真、PCに満載のポルノ、墓石に刻まれた言葉、小さな遺体とその母、謎の死因、刑務所、失踪した悪い奴、もう一つのレイプ…

「ミレニアム」に似ていて、でもあちこち違う。小説としての長さは勿論。でも、「ミレニアム」を楽しめた全ての人、そしてミステリを愛する全ての人は楽しめるだろうと想像する。

既に映画化されているそうで、下にその一部が紹介されている。



これだけ観たら、気になって仕方なくなってしまうだろう。創元社は翻訳が遅いので、次が一体いつ出ることやら。

では、また。



湿地
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