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重厚北欧ミステリー『ネメシス 復讐の女神』ジョー・ネスボ

2015-10-21 | books
ノルウェーのミステリー。ハリー・ホーレシリーズの第四作。「コマドリの賭け」の続編的な意味合いもある。

オスロで銀行強盗事件発生。犯人は銀行員を射殺し、証拠を全く残さず逃走する。カメラで撮影された映像を見ると、何かがおかしい… ハリーは昔付き合っていた女性アンナとまた関係を持ちはじめた。するとハリーが彼女の部屋に行った日にアンナは殺害されてしまう。誰がアンナを殺したのか。自らが容疑者として逮捕される可能性すらある状況。ハリーは銀行強盗事件とアンナ殺害事件、そして「コマドリの賭け」で未解決になったあの事件の謎をどうやって解くのか…

これは堪らない。よだれがだらだらと顎を伝わった。

アンナがどういう女性だったのか。現在服役している伝説の銀行強盗がどう事件に絡んでくるか。銀行強盗の謎についてパートナー刑事のベアーテ・レンが大活躍。

登場人物が非常に多く、ストーリーもややこしいけれど、翻訳ミステリー好きならむしろそのほうが好物。美味しく頂いた。

「人が命を失うのは、起こりうる最悪のことではない。最悪なのは、生きる理由を失うことだ」

「アンナは愛というものをとても真面目に受け止めていた。愛を愛していた。いや、崇拝していたといったほうが正しいかな。彼女は愛を崇拝していた。それが彼女の人生を支配している唯一のものだった。それと、憎しみだ。ところで中性子とは何か知っているかな?とても稠密で表面重力が強いために、そこで私が煙草を落としたら原子爆弾と同じ力で表面にぶつかる恒星のことだ。アンナがまさにそうだった。彼女の場合、愛に対する、そして、憎しみに対する重力があまりに強いので、その二つのあいだの空間には何も存在できない」


ネメシス (上) 復讐の女神 (集英社文庫)ネメシス (下) 復讐の女神 (集英社文庫)

今日の一曲

サブタイトルが「復讐の女神」なので復讐の歌。浮気している彼の車のタイヤを引き裂くと歌う、Carrie Underwoodで"Before He Cheats"



では、また。
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