頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

マイ・フェイバリット【映画】10本

2006-10-07 | film, drama and TV
以下に大好きな映画を10本並べてみた。順序は特にない。また良かったのに思い出せないものも多いだろう。

・「生きる」黒澤明監督

最初に見たときのことがいまだに脳裏をよぎる。最近「泣ける!」とほざく映画・小説があちこちに散乱してる。(姫野カオルコの「ツ・イ・ラ・ク」に「泣ける」という帯を付けるのはやめよう)が、そのようなウザイことを感じさせない。世界のクロサワと言えば他に「七人の侍」「天国と地獄」など、名作が多い。どう考えても代表作は「生きる」じゃないと思うが、黒澤というとなぜかこれを挙げてしまう。特に自分が生きる意味を失っている時に見ると・・・

・「ビッグ・ウエンズディ」

むかし憧れの男優だったジャン・マイケル・ヴィンセント主演。某所で使ってるHNにvincentが含まれてるのはその影響。いつかやって来る伝説の大波「ビッグ・ウエンスデー」がメインテーマだが、印象に残るのは、むしろ他のことなのが不思議。時代がベトナム戦争と同時代だからなのか?ベトナム戦争に行かないために・・・なぜか楽しい・悲しい景色・・・いわゆる「青春もの」は臭いものが多いが、これは大好きだ。

・「ヴェロニカ・ゲリン」

ここ数年映画を見て泣くってことがなくなった。その中でたぶん唯一だったと思う。まさかジェリー・ブラッカイマー製作の映画で泣くとは思わなかった。90年代初期に麻薬で汚染されたアイルランド。マフィアに敢然と立ち向かう女性ジャーナリストの姿を描いた実話。泣くような映画では全くなく、むしろ泣く方がおかしいと思う。しかし、自分の危険・犠牲を乗り越えて取材して行く彼女の姿に打たれた。

・「グッド・モーニング・ベトナム」

ベトナム戦争映画は多く、名作も多い。これはベトナム戦争を扱っている割には戦闘シーンが少ない。ロビン・ウィリアムズのDJぶりは流石。全くの私見だが、好きな人がいるのに、今一歩前に進む勇気のない人に薦めたい映画だ。









・「博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」
Dr. Strangelove or: How I Learned to Stop Worrying and Love the Bomb

「博士の異常な愛情」だけだとアダルト系と思う人がいるかもしれないが、全く違う。俺の中で人類史上最も偉大な映画監督スタンリー・キューブリック作品。間違えて、核ミサイルを積んだ戦闘機にソ連攻撃命令出してしまった後に巻き起こるドタバタ。ピンク・バンサーで有名なピーター・セラーズが一人3役(大学のときのアメリカ文化研究の先生は7役やってたと言ってたが、いまだに未確認)を完璧にこなしている。ラストシーンは見る者全てを唖然とさせるだろう。ブラック・コメディという枠に押し込めるのは惜しい。しかしキューブリックでさらにぶっ飛んだ。それは・・・

・「時計じかけのオレンジ」

近未来を描いた映画は数多くあるが、「あ!これこそが近未来だ!」とストンと俺の中に入って来たのは、これと「ブレードランナー」ぐらい。「AI」「マイノリティ・リポート」がギリギリかな。「未来世紀ブラジル」も悪くないが、俺の中での近未来のキーワードは「やや荒んでいる」
映画を見たときは近未来のドイツだと思っていたんだが、ロケは英国でやったらしい。荒廃した街で、跋扈する不良少年達。ひたすら目をそむけたくなるような、犯罪のシーンが続く。しかし、場面が転換すると、信じられないようなひねりの効いたストーリーが。「犯罪」=「悪いこと」といったモラル・常識を超越してしまった映画の奇跡のような作品。



睦月さんのIDはこの映画の原題clockworkorangeなんだが、そのことについてずっと気になっていたのに訊くのを忘れていた)







(閑話休題)
そろそろ、マーティン・スコセッシの初期もの、デビット・リーン、ジョン・スタージェス、フランク・キャプラの名前でも挙げて「通」ぶりたいが、嘘ついても仕方あるまい。さて続けよう。



英国もの3連発
・「フォー・ウェディングス&ア・フューネラル」(邦題は「フォーウェディング」だったかな?)
・「トレインスポッティング」
・「フル・モンティ」

トレスポは英国ものというより、スコットランド物かな。きついスコットランド訛りのおかげで、字幕見ないと何言ってるかさっぱり分からなかった。ユアン・マクレガーが訛り消して、スターウオーズ等に出てるのはやや淋しい。しかしトレスポで出てくる「スコットランドで一番汚いトイレ」は俺の中で「絶対行きたくないところ」ランキング第一位だ。







・「羊たちの沈黙」

たぶんもう10回は見てると思う。この映画が好きと言うことが、映画通だか映画マニアでない証拠なのかも知れないが、別にいい。それ以前にサイコスリラー映画・小説はあった。しかし「サイコ」も含めて事件解決にカタルシス・ドキドキ興奮があるものはあまりなく、プロファイリングを映画に持ち込んだことによって事件解決に大きな意味を持たせた(のはこの作品が最初ではない・・・かったっけ?)いっときサイコスリラーに凝って小説を読みまくったときがあったが、この作品のインパクトを越えた物はなかなかない。(フィリップ・マーゴリンの「黒い薔薇」は抜いたかも?)ジョディ・フォスター、アンソニー・ホプキンスの演技には何度見ても圧倒される。しかし、冒頭からいきなり漂うもの悲しい雰囲気がなんとも言えない。これが最後までずっと続いていて、「さすがジョナサン・デミ!」と言うしかない。冒頭・謎の提示・解決するプロセス・解決。ミステリーの作法を踏襲していながら、解決のプロセスで山のようにtwist in the tale(ひねり)がある。エンドロールにまで・・・

余談ながら、この前編にあたる「レッド・ドラゴン」はオリジナル映画は最悪・原作小説最高。(レッドドラゴンが見るに値する作品かはウォルターさんのレビューとそこにある俺のコメント参照)後編にあたる「ハンニバル」は映画・小説ともにそこそこのレベルだったと思った。トマス・ハリスが新作を出したと聞いて、速攻でAmazon.comで取り寄せて読むほどのものでもなかった。

やはり「羊」越えは難しい。










(終幕)他にも、スティングや明日に向かって撃て、バーバー吉野、サスペリアパート2、ユージュアル・サスペクツ、メメント、シャイニング、死刑台のエレベーター、勝手にしやがれ、アフリカの女王、ウォレス&グルミット等も追加したいが、ま、別の機会に。と言うより「羊たちの沈黙について熱く語る」で3回連載、「時計じかけのオレンジ見てぶっとぼう」は7回連載しかねないな。

みなさん。映画ってほんとにいいですね。
さよなら。さよなら。さよなら。




今日の教訓



映画評論家って
すごいね



Today's entry is dedicated to all the movie reviewers, "migたん" "きららちゃん" "Aliceさん""へー太さん""charloteeさん""ウォルターさん""kazuponさん"&"睦月さん"




コメント (33)    この記事についてブログを書く
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33 コメント

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もののみごとに・・・。  (かえる)
2006-10-07 07:38:12
どれも見た事がないです。

私は、何の評論家だったらなれるだろう?



ふるちゃまのプロフの変化が楽しみです。
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わぁお☆ (mig)
2006-10-07 10:03:59
ふるたん☆おはよー

すごい並んだね~

いかにもふるたんセレクトっぽいわ



とくに『フルモンティ』とか『トレスポ』とかもちろん『時計じかけ~』

時計じかけ、わたしもベスト20に入るナ

『フォーウェディング』も良かった

『サスペリア』は2なんだ?(笑



わたしこれだけ映画観てて、黒澤作品、観なきゃと思いながらも実はまだ黒澤作品観ていないの、、、、

つい新作観てしまうから、、、、。

とくに『七人の侍』と『生きる』は絶対観なきゃね☆

長くなっちゃった!

映画のコト、話だしたらとまらないのでこのへんで、、、、。

頂いたTB、

わたしのもBest 100の方をつけとくね♪



P.S.名前が捧げられてる、、、
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すごーい! (きらら)
2006-10-07 18:08:24
ふるたん☆おはよー



すごいセレクト!渋い!かっこいい

でも私は「映画通」ではないので、

知らない映画もいっぱいでした

この中だとやっぱり「時計仕掛け」はすごーい!ビデオなら持ってるけど、デッキ壊れてるからもう見れない

睦月さんのIDはひそかに私も気になっておりました!



そしてふるさんってば映画字幕なしで観れるの?

本もオリジナルで読めるの?

そんなところにビックリデシタ



dedicatedの意味すら分からなくって久々辞書調べちゃった☆

このそうそうたるメンバーの中に私を入れてくれてアリガト
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Unknown (チョコひと)
2006-10-07 20:46:04
こんばんは。



うんうん。確かにスゴイと思う。

なかなか、映画を見る余裕がない

チョコひとからもスゴイと思うよ。



余裕がないというか、映画は最近は

国際便に乗ったときくらいしか見ないな。
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時計仕掛けの俺んち (あお空)
2006-10-07 21:19:40
 ラインのせいでしょうか。6割くらいの確率です。



 この中でわたしも見ているもの。



 「生きる」

 「ビッグ・ウエンズデイ」

 「グッド・モーニング・ベトナム」

 「時計じかけのオレンジ」

 「フル・モンティ」

 「羊たちの沈黙」

 

 「ビッグ・ウエンズデイ」はおじさんになってから見るとまた、ひとしおでしたな。
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素敵な感性 (ウォルター)
2006-10-07 22:09:33
トラックバックありがとうございます。

どれも良い作品で素敵な感性やに思います。

黒澤明監督の「生きる」は「父の祈りを」のジム・シェリダン監督、トム・ハンクス主演(候補)でハリウッドリメイクされる予定とのことです。ハリウッドでは、他に黒澤明監督作品の「七人の侍」をミラマックスとMGMが脚本家に「スコア」のスコット・マーシャルを起用して、「天国と地獄」をディズニーが「セントラル・ステーション」のヴァルテル・サレス監督でリメイクする企画が現在進行中とのことでもあります。

「ヴェロニカ・ゲリン」は私も観て大いに泣きました。自らの、そして家族までもの命を危険に晒され、恐怖と葛藤しながらも尚、果敢に社会的正義感・使命感なのかに裏打ちされた信念というか、情熱というかでただ一人麻薬犯罪組織を追いつめた主人公の実在したアイルランドのサンデー・インディペンデント紙の女性記者"ヴェロニカ・ゲイン”の人間味ある姿に打ち震えました。実話であることと、派手さは余り感じられず、むしろ淡々とさえして感じられる描写ながらも、スリリングな展開が、壮絶さと痛々しさを生々しく増し、胸をかきむしられる思いもしました。コリン・ファレルはチョッとしか出ていなかった気がしますが、相変わらず眉毛と髭が濃いなぁと思ったのは鮮明に覚えています(髪は短かったような気がします...)。"ヴェロニカ・ゲリン"を演じているケイト・ブランシェットの演技と存在感は圧巻といった感じがしました。彼女の主演作で第二次世界大戦中、ナチス占領下のフランスにおいて図らずもレジスタンス運動に身を投じていくスコットランド人看護婦"シャーロット・グレイ”の運命を描いた「シャーロット・グレイ」も嫌いではありません。私も親独のペダン率いるビシー臨時政府下のフランス南部が描かれているのに興味を覚えました。「コーヒー&シガレッツ」の彼女も好いです。

因に私はあずまきよひこさんのコミック『よつばと!』を読んで泣きます。

ユアン・マクレガーが訛を消して「スター・ウォーズ」新三部作に出演しているのは、叔父さんのデニス・ローソンも「スター・ウォーズ」(エピソードIV)に出演していることもありますので、温かい目で見てもらえればと思います。因に彼が演じているビ=ワン役は、旧三部作でオビ=ワンを演じたアレック・ギネスの若い頃の写真に顔が似ていたために抜擢されたとのことですが、予定通り旧三部作で三船敏郎さんが演じられていたら、新三部作では誰が演じることになっていたでしょうか。

「メメント」も好かったですが、監督のクリストファー・ノーランの映画デビュー作で監督 /製作/脚本/撮影/編集を手掛けている「フォロウィング」も好いやに思います。リドリー・スコット監督の映画デビュー作で弟さんで映画監督のトニー・スコットが主演してもいる短編オムニバス「ストレンジ・ワールド 」の一遍「少年と自転車」よりは断然面白いと思います。

全ての作品に触れておりますと、もう十分長いやには思いますが、また、更に長くなってしまいますので、この辺で失礼失礼しておきます。

「サスペリアPART2」(「サスペリア」より先に撮られたのですが...)は怖くて観れておらず、「トレインスポッティング」は正直申し上げて、何故か好きではありません。本当にスミマセン(汗)。監督のダニー・ボイルは「ザ・ビーチ」や当方のブログでも取り上げております「28日後...」は好きですし、主演のユアン・マクレガーをはじめ、共演のロバート・カーライルやピーター・ミュランも好きなのですが...。

3回連載予定(笑)との「羊たちの沈黙について熱く語る」は楽しみに期待しております。

当方のブログ記事にも触れて頂き、ありがとうございます。
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映画はえーがぁー (ふるちん)
2006-10-07 22:12:45
★かえるさん、



一つも見てないってことは若いって証拠です。

だって、古い映画が多いから



何の評論家でしょうね?ふるちんプロフィール研究の評論家だったら



★migたん、



おはよーございました。



>いかにもふるたんセレクトっぽいわ



そうなのかな?自分ではワカラン。

時計じかけがトップ20に入ってしまう、migたんが意外すぎる。「ぽく」ない



日本人に生まれて良かったと思えるのは、

「ごはん」食べるとき

「黒澤・小津」を字幕なしで見られるとき

某外国で、黒澤の映画を字幕付きで見たときは「違和感」感じまくりだった。

「天国と地獄」「椿三十郎」もオススメだよ!

サスペリアは2でしょう!TBありがと。



★きららちゃん、



おはよーぐると。



>すごいセレクト!渋い!かっこいい



そうなのか?さっぱりワカラン。ただ大好きなもの挙げただけ。ミーハーなモノが多くて、ちと恥ずかしいのだが



睦月さんのIDの謎はここコメント欄で書き込んでくれるのを二人で待ちましょう!



>そしてふるさんってば映画字幕なしで観れるの?



煙幕張られたときだってあるよ

忍者に

ハットリ君に



>このそうそうたるメンバーの中に私を入れてくれてアリガト



いえいえ。いつも楽しい情報感謝してるよ。

こちらこそ、ありがとう



★チョコひとさん、



>うんうん。確かにスゴイと思う。



またまた~ 意味不明なとこがスゴイのか?



>国際便に乗ったときくらいしか見ないな。



すいませんねー今度たっぷり見まーす



★あお空さん、



6割は間違いなくラインのせいですね。

腐朽の、いや普及の、いや不朽の「あおーふるライン」ですから。



しかも見てる6本がややマニアック目

内角低め、ぎりぎり投げ込まれたシンカー

って感じがさすがです。



>「ビッグ・ウエンズデイ」はおじさんになってから見るとまた、ひとしおでしたな。



あたし、おぢさんになったことないから

わかんなーい
返信する
私のは不敵な感性。略して不感性 (ふるちん)
2006-10-07 22:40:12
★ウォルターさん、



大きく喰らいついていただいて感謝です。



・黒澤作品がリメイクされるのは、うれしいやら、

ハリウッドのネタ不足には呆れるやら・・・(苦笑)



・ヴェロニカ・ゲリンが日本ではヒットしてなかったと思うので、

見た人もいないし、まさか泣いた人がここにいたとは!(笑)

共有できることが多いようで嬉しいです。

「シャーロット・グレイ」は見てません。

「ドリアン・グレイの肖像」なら(って映画じゃないし)

ビシー臨時政府とレジスタンスなら面白そうですね。

「よつばと」?知らないです。



・オビ・ワンが三船だったら(やって欲しかった)、

40代なら佐藤浩市、20代なら森山未来?

うーん、イマイチ。



・「フォロイング」も知りませんでした。

しかしリドリー・スコットがそんな駄作を・・・



・サスペリアPART2はぜひ見て下さい。

女性と二人で行って、手でも握ってしまえば(笑)

ロバート・カーライルの変・怪しさは大好きです。



「羊を語る」は予定を変更して32回連載となりました(笑)
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Unknown (新米フリーランサー)
2006-10-07 22:45:32
一発目に『生きる』が来ているところが素敵です。

ボケもできるけど、マジメ路線もオッケーなんですね。
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オードリー (竜星なおき)
2006-10-07 23:41:09
オードリ・ヘップバーンの映画が僕は好きですよ。

シュワちゃんの映画も、好きだけど^^

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