「DINER(ダイナー)」平山夢明 ポプラ社 2010年
「独白するユニバーサル横メルカトル」が2007年このミステリーがすごいの国内部門1位だったという事実にややクラクラした。(同じ作者)
このダイナーは、色々(?)あって拉致されたオオバカナコ。色々(?)あって連れて行かれた先は、殺人を職業にする者のみが客であるダイナー。ここでパーフェクトな料理を作る店主(?)のボンベロのもと、ウエイトレスとして働かされることになる。ボンベロの指示、やって来る客たちのややこしいことったらありゃしない。あたしは一体どうなるのかしら・・・
いやいやいや。なんじゃこりゃ。面白いかつまらないか、なら面白い。でもいいか悪いかときかれて、いいとは言い難い。グロイシーンが多いので万人にオススメできないというのもある。展開が全く読めないので何か決めてかからないと本を読めない人(この本はボクを自己啓発してくれるのだ、とかその本は夢見心地にハッピーにしてくれるのだと期待しながら読む人)には全くオススメできない。何かを期待すること自体がたぶん間違っていると思う。
ホラーという範疇に入らないように思うんだがどうだろう。ホラーには詳しくないんだが、あれって超常現象とかゴーストとか怨念とかそういう人智の及ばないモノが巻き起こすものだろう(違う?)しかしダイナーではそういうことはない。でもミステリーかと言うと、謎が提示されそれが解かれていくカタルシスを味わうということとは違うような気がする。謎が後半解かれるのだが、あえて言うなら、純文学かも知れない。
そうそう。舞台装置、設定と登場人物の奇天烈さはあるものの、これって純文学だよ。2040年ぐらいになったら、中学生の国語の教科書にこれが載っていたりして。そんなわけないか。まあラストはミステリー的ともマカロニ・ウエスタン的とも言えるけど。それとボンベロが作る料理。読んでいるだけで涎が垂れる。その描写だけでも読む価値あり。それとボンベロ他登場人物の名前がもたらす何ともいえない無国籍感も私は結構気に入った。
毒にも薬にもならない本が多い。毒にも薬にもならない男も多い。ダイナーは強烈な毒を与えてくれることだけは確かだ。
ダイナー平山夢明ポプラ社このアイテムの詳細を見る |
独白するユニバーサル横メルカトル (光文社文庫)平山 夢明光文社このアイテムの詳細を見る |
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます