「窓ぎわのトットちゃん」も読んでない、「徹子の部屋」の熱心な視聴者でもない私。黒柳徹子にもそれほどの興味も持ってなかった。ゆえに、読もうかなどうしようかなと思ったのだけれど、向田邦子のエピソードがパラパラめくっていたら面白そうなので読むことにした。
「ザ・ベストテン」という怪物番組のプロデューサー山田修爾さんが亡くなったことをきっかけにして、番組に関わり始めた頃からの懐かしい思い出が溢れ出る。久米宏のこと、生放送の大変さなど… という第一章<私の遅れてきた青春>についてを読んだだけで、この本を読んでよかったー。裏話も面白いし、笑える話も多いのだけれど、こんな記述もある。ちょっと長い引用。
第二章は<霞町マンションBの二>では、向田邦子の話。毎日のように彼女の家に行っていたんだそう。向田邦子のエッセイや小説、ろくに読んでなかったけれど、すごく読みたくなった <ねえ、一回どう?>は森繁久弥。会うとすぐに言う台詞。こんな素敵な爺さんになりたいものだ。<私の母さん、私の兄ちゃん>は沢村貞子と渥美清の話。<初詣>は坂本九、<泰明ちゃんが教えてくれた>は小学校のとき親友だった子の話。<そのままが、いいんです!」は、NHK東京放送劇団の専属俳優になった頃の話。<三十八歳だった>は、仕事を休んで一年間ニューヨークに勉強に行った話と森光子の話。<徹子のヘア>はあの髪型、<ある喜劇女優の死>は賀原夏子という女優、<二人の喜劇作家の親>は井上ひさしとつかこうへい、<幕が上がる時>は杉浦直樹の話。
どんどん亡くなっていってしまった親しい人たちについて回顧したもの。
それぞれのエピソードに笑ったり、目頭が熱くなったり、感心したりすることが多いのだけれど、それ以上に彼女の人柄が伝わってくる言葉がいい。人柄が温かい人の紡ぎだす言葉は温かく、そしてそんな言葉に触れていると、こちらも温かくなる。そんなことを思った。読んでよかった。

今日の一曲
トット。トット。トットね… やはりこれしかないでしょう。TOTOで"Africa"
では、また。
「ザ・ベストテン」という怪物番組のプロデューサー山田修爾さんが亡くなったことをきっかけにして、番組に関わり始めた頃からの懐かしい思い出が溢れ出る。久米宏のこと、生放送の大変さなど… という第一章<私の遅れてきた青春>についてを読んだだけで、この本を読んでよかったー。裏話も面白いし、笑える話も多いのだけれど、こんな記述もある。ちょっと長い引用。
久米さんは、別の時にも「黒柳さんが泣いているから…」と言ったことがある。
ラッツ&スターがまだシャネルズといっていた頃、デビュー曲の「ランナウェイ」でランクインした。中継先から質問を受けるコーナーがあって、集まった人たちの一人が(少年だった)、
『どうして黒人のくせに、フランスの香水をつけてるんですか?』
と訊いた。私は、ほとんど絶句するくらい、ショックを受けた。シャネルズのリーダーの鈴木雅之さんが、きちんと質問に答えていたが、私の耳にはあまり届いていなかった。あの子には、それが差別の言葉になるとはわからないのだろう。周りに、平気で、そう言う発言をする大人がいるのだろう。シャネルズが歌い、次のスポットライトのコーナーが終わり、コマーシャルがあけてから、私は、誰に相談したわけでもなく、喋りだした。
「さっき、『黒人のくせに』とおっしゃいましたが、それは、あなたが、そのつもりがなくても、人を傷つけてしまう言葉なんです。皮膚の色や、国籍で、『何々のくせに』と言うのは、やめてほしいと思います。そういう高みから人を見下すような言い方は、絶対にしないで下さい。涙が出るほど、つらい思いがしました」
私がそう言うと、久米さんは「黒柳さんが泣いていますから、もうやめて下さいね」と言ってくれた。歌い終えた出演者の方々も、拍手を送って下さった。
ラッツ&スターがまだシャネルズといっていた頃、デビュー曲の「ランナウェイ」でランクインした。中継先から質問を受けるコーナーがあって、集まった人たちの一人が(少年だった)、
『どうして黒人のくせに、フランスの香水をつけてるんですか?』
と訊いた。私は、ほとんど絶句するくらい、ショックを受けた。シャネルズのリーダーの鈴木雅之さんが、きちんと質問に答えていたが、私の耳にはあまり届いていなかった。あの子には、それが差別の言葉になるとはわからないのだろう。周りに、平気で、そう言う発言をする大人がいるのだろう。シャネルズが歌い、次のスポットライトのコーナーが終わり、コマーシャルがあけてから、私は、誰に相談したわけでもなく、喋りだした。
「さっき、『黒人のくせに』とおっしゃいましたが、それは、あなたが、そのつもりがなくても、人を傷つけてしまう言葉なんです。皮膚の色や、国籍で、『何々のくせに』と言うのは、やめてほしいと思います。そういう高みから人を見下すような言い方は、絶対にしないで下さい。涙が出るほど、つらい思いがしました」
私がそう言うと、久米さんは「黒柳さんが泣いていますから、もうやめて下さいね」と言ってくれた。歌い終えた出演者の方々も、拍手を送って下さった。
第二章は<霞町マンションBの二>では、向田邦子の話。毎日のように彼女の家に行っていたんだそう。向田邦子のエッセイや小説、ろくに読んでなかったけれど、すごく読みたくなった <ねえ、一回どう?>は森繁久弥。会うとすぐに言う台詞。こんな素敵な爺さんになりたいものだ。<私の母さん、私の兄ちゃん>は沢村貞子と渥美清の話。<初詣>は坂本九、<泰明ちゃんが教えてくれた>は小学校のとき親友だった子の話。<そのままが、いいんです!」は、NHK東京放送劇団の専属俳優になった頃の話。<三十八歳だった>は、仕事を休んで一年間ニューヨークに勉強に行った話と森光子の話。<徹子のヘア>はあの髪型、<ある喜劇女優の死>は賀原夏子という女優、<二人の喜劇作家の親>は井上ひさしとつかこうへい、<幕が上がる時>は杉浦直樹の話。
どんどん亡くなっていってしまった親しい人たちについて回顧したもの。
それぞれのエピソードに笑ったり、目頭が熱くなったり、感心したりすることが多いのだけれど、それ以上に彼女の人柄が伝わってくる言葉がいい。人柄が温かい人の紡ぎだす言葉は温かく、そしてそんな言葉に触れていると、こちらも温かくなる。そんなことを思った。読んでよかった。

今日の一曲
トット。トット。トットね… やはりこれしかないでしょう。TOTOで"Africa"
では、また。
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