平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

M-1グランプリ スリムクラブの衝撃!

2010年12月29日 | 監督・俳優・歌手・芸人
 今年のM-1グランプリ、やはり<スリムクラブ>は衝撃だった。
 これまでの漫才は限られた時間の中でいかにギャグの数を詰め込んでいくか。
 だがスリムクラブは逆だ。
 沈黙……、長い間……。

 たとえば『勘違いする人』というネタではこんな感じ。

 「すいません。間違いだったら失礼ですけど、あなた、以前に私といっしょに生活していましたよね?」
 「……………………………………………………してません」
 「毎晩、お話してくれたでしょう? この世で一番強いのは放射能だって」
 「……………………………………………………僕じゃないです」
 「お話してくれたでしょう? この世で一番弱いのはうずらだって」
 「……………………………………………………それも僕じゃありません」

 僕の知り合いの噺家さんに拠ると、笑いは間がすべてだそうだが、スリムクラブの間はすごい。
 あの長い間が逆に緊張感を生み、観客に次の言葉を期待させる。
 そして溜めに溜めた間により大爆笑が起きる。
 これは今までの漫才の常識を180度くつがえしたコンセプトだ。
 得点をつける審査員が「これを漫才と言っていいのか」とコメントしたのもうなずける。

 そして思うのは<エンタテインメントには新しさ>が必要だということ。

 正統派漫才の<銀シャリ>。
 面白いのだが、やはり古さは否めない。

 今回優勝した<笑い飯>。
 交互にボケをやるというダブルボケはやはり今までの漫才のコンセプトをぶち壊した。
 こうやって毎年見てしまうと、ダブルボケも当たり前になって色褪せてしまうが、<笑い飯>の個性、スタイルであることには違いない。

 <ハライチ>。
 フリの言葉がどんどんスライドしていき、ボケがそれを身振り手振りでどんどん膨らましていくスタイル。
 たとえば『なりたかったもの』というネタでは

 刑事→ベテラン刑事→インテリ刑事→冷酷な刑事→スケバンの刑事→ほろ酔い刑事→ニコラスの刑事→ぬかみそのケーキ→笹カマのブーム→筆箱にチーズ→ひとりだけビーフ→笹カマのセール→下駄箱にチーズ→毒グモのポーズ→三つ編みの坊主→笹カマの映画→肌荒れにいいの→傷口にいいの→ヘルニアにいいの→

 などど刑事が次々とスライドしていく。
 そしてこれに対するリアクション。

 「ほろ酔いの刑事って、あいつに運転させちゃいけなかったんだよ」
 「ニコラスの刑事って、あいつ、来日してたの?」
 「筆箱にチーズって、誰が詰めたの?」
 「ひとりだけビーフって、みんなフィッシュ頼んだんだ?」
 「毒グモのポーズって、シャーッ!!」

 などなど。
 これも新しい。

 芸人さんに限らず、あらゆることには新しさが必要なんですね。
 それも今までの常識をくつがえすような。
 AKBだってあの人数ですからね。
 モーニング娘。だって多すぎると言われていたのに、それをはるかに越えている。
 だが逆にそれがあの華やかなステージになっている。

 そして、もうひとつ必要なのはスタイル。
 <笑い飯>といえば<ダブルボケ>とすぐ思い浮かぶ。
 <スリムクラブ>も<ハライチ>もそう。
 みんな独特のスタイル。

 もっともどんな衝撃的な新しいスタイルでも、消費されてやがては色褪せてしまうんですけどね。
 それにしても<スリムクラブ>はすごかった。



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