江戸観光案内

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安兵衛公園

2014-12-13 | まち歩き

明日、12月14日は元禄15年に元禄赤穂事件(いわゆる忠臣蔵)が起こり、赤穂四十七士が吉良邸に討ち入った日です。それにちなみ、今回は赤穂浪士にゆかりのある場所を紹介します。


東京都江東区の三ツ目通と堅川が交差する場所の近くに、立川第二児童遊園という児童公園が在ります。愛称は「安兵衛公園」。江戸の頃、林町五丁目と呼ばれたこの辺りに、四十七士の一人である堀部安兵衛の住まいが在ったことにちなんで名付けられました。

ここから、吉良邸までは、わずか1キロメートルほどしかなく、安兵衛は長江長左衛門と名を変えて、この地に潜伏していました。史実として、四十七士は、討ち入り前に三カ所に分かれて集合したことが知られており、その内の一つが安兵衛の住まいでした。

安兵衛公園で遊ぶ小さな子供達は、今は忠臣蔵や堀部安兵衛には興味がないかもしれません。しかし、近所に「安兵衛」の名前が付いた公園が在れば、いずれは忠臣蔵と自分の住む街との関係や過去の歴史を意識することになるでしょう。赤穂浪士に関わる、よその土地にも興味が湧くかもしれません。公園や地元への親しみも、より一層深まるのではないかと思います。


林町五丁目の安兵衛の住まいは、時代小説の中にも度々登場しており、例えば「堀部安兵衛(下)」(池波正太郎著、新潮社)には、安兵衛が長江長左衛門と名を変え、林町五丁目に住んでいるという記述があります。また、「用心棒日月抄」(藤沢周平著、新潮社)の主人公・青江又八郎は、奇妙な縁から、林町五丁目の安兵衛の道場で代稽古を務めることになります。更に「花や散るらん」(葉室麟著、文藝春秋)では、主人公・雨宮蔵人が、林町五丁目の安兵衛の道場に姿を現し、安兵衛と稽古をする場面があります。三人の巨匠が書く堀部安兵衛と元禄赤穂事件は、同じテーマでありながら、似たところは全く無く、それでいて、いずれかの作品を読めば、他の作品の記憶を呼び覚ます傑作揃いです。


堀部安兵衛と赤穂浪士ゆかりの地


安兵衛公園(立川第二児童遊園) 東京都墨田区立川3-15-6

都営新宿線 菊川駅から約600m 徒歩約8分



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