江戸観光案内

古地図を片手に江戸の痕跡を見つけてみませんか?

真崎稲荷

2012-06-02 | まち歩き

剣客商売(池波正太郎著、新潮社)の主人公・秋山大治郎の剣術道場は、設定では、浅草の外れの、真崎稲荷明神社に近い木立の中に在ることになっています。試しに古地図[1]を開いてその場所を確認してみると、浅草寺の北の隅田川沿いに「真崎イナリ」を見付けることが出来ます。真崎イナリの北隣には「神明」が在り、近くの隅田川には「船渡場 向島エ渡ル」と記されています。この船渡場は、現在の白鬚橋辺りですから、大治郎の道場は、白鬚橋を西に渡り、少し行った辺りと言えます。


一方、真崎稲荷はというと、現代の地図上には、その表記は見当たりません。白鬚橋の西側には、石浜神社と橋場不動院の文字は在りますが、どちらも違います。「真崎稲荷は、江戸から現代へと至る、どこかの時代に失われてしまったのだろう。」 そう思い、真崎稲荷を探すのを諦めた剣客ファンもいるに違いありません。しかし、その予想は良い意味で裏切られます。実は真崎稲荷は前述の石浜神社内に遷座し、今も存在しているのです(現在の名称は真先稲荷)。現在地に遷座したのは、関東大震災後の都市計画によるもので、大正十五年(1926年)のことです。ですから古地図と現代の地図を比較して探しても見付からないわけです。古地図上に「神明」と記されていたのが石浜神社で、地元では今も「神明さん」と呼ばれ、親しまれています。


徳川家康が江戸に幕府を開く以前、この地には石浜城という城が在り、天文年間(1532年~1555年)に石浜城主となった千葉之介守胤が、ここに一族一党の隆昌を祈って築いた社殿が真崎稲荷です。江戸名所図会にも収められ、歌川広重の浮世絵にも数多く描かれる名勝でした。


[1] 今戸箕輪浅草図 嘉永六年(1853年)

[2] 参考:石浜神社ホームページ及びパンフレット


真先稲荷 東京都荒川区南千住 3-28-58

JR常磐線・地下鉄日比谷線・つくばエクスプレス 南千住駅より約1.5km 徒歩約19分


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石浜神社内に在る真先稲荷


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石浜神社


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2 コメント

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Unknown (Unknown)
2021-04-22 19:41:39
真先稲荷神社は港区白金台2-26-14にもあります。
Unknown (Unknown)
2021-04-22 19:42:09
真先稲荷神社は港区白金台2-26-14にもあります。

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