ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [6月8日(金)~6月10日(日)]

2018-06-13 15:53:29 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▸やっぱりウェス・アンダーソン監督に期待を裏切られることはありませんでした。9日に観た「犬ヶ島」のことです。まだ上半期も終わってませんが、今年のベスト5に入るかも。同じ日本趣味のストップモーションアニメの佳作「KUBO/クボ 二本の弦の秘密」よりもさらに手間暇かけて作った感じで、物語も深みがあります。しかし一番の魅力はアートっぽい映像それ自体。あの北斎の「神奈川沖浪裏」のパロディ画で船を漕いでいるのが犬たちだったり等、細部が楽しい。何回も観ればその都度新しい発見がありそうです。
 ※韓国公開は6月21日。メイン予告編は→コチラ。日本版を観てない人も見てみてください。

▸例の是枝裕和監督のパルムドール受賞作品「万引き家族」を観てきました。いろいろ考えさせられる映画です。これを観て「反日だ!」と言う人が10人中、いや100人中何人いるでしょうか? それどころか観ないで言っちゃうとは、唖然。それも自分の名前を出してウェブ上で堂々と公表する人なんぞは、自分の恥ずかしさに気づいていないという点で二重に恥ずかしいです。あの「セクハラ罪という罪はない」という発言(&閣議決定!)と同じ。他にもあったような・・・。当人は「日本」を擁護しているつもりで、実は「日本」の評判を下げちゃってます。あーあ。
 6月8日のニュースによると、林芳正文部科学相が是枝監督を文科省に招いて祝意を伝える考えを示したところ、是枝監督が自身のホームページに自身のホームページに「公権力とは潔く距離を保つ」と記して辞退を表明したとのことです。この件については、映画評論家・真魚八重子氏の<『万引き家族』是枝裕和監督の「祝意辞退」と「助成金」の関係>と題した記事(→コチラ)が詳しく、内容的にも共感を覚えました。

▸韓国映画では、6日やっと「犯罪都市」をシネマート新宿で鑑賞。3日遅ければ見逃していたところ。ソウルの中国朝鮮族の集住地域を舞台にした警察vsヤクザのアクションですが、その地域すなわち大林洞(テリムドン)には、→コチラの記事で書いたように、2016年12月に行ってきました。横浜の中華街とは全然フンイキの違う、中国から韓国に来た朝鮮族の人たちの食文化を土台とした中華街です。近年、この作品のように朝鮮族がらみの犯罪映画がいくつか作られていることに対して懸念を抱いている人もいるようで、私ヌルボも気になります。犯罪モノを否定するわけでは全然ありませんが、彼らに光を当てるような作品も期待したいものです。(現在の進歩系政権が無視している脱北者についても同様。)
    
「朝鮮日報」6月8日掲載の「封切映画 ぴったり10字評」 (ハングル文も訳文も10字です。)

뻔해도 보는 로맨틱 코미디
자신감 없던 르네는 어느 날 머리를 다치고 나서 인생이 달라졌음을 느낀다.

 《週末の劇場街》で紹介

  「アイ・フィール・プリティ」



   わかりきっていても観るロマンティック・コメディ


 [写真説明] 自信の持てなかったルネはある日頭を打って人生が変わったように感じる。

 「ボムシェル:ヘディ・ラマー・ストーリー」
   消えた女性を復元する ★★★


 「ジュラシック・ワールド/炎の王国」

   恐竜がこうも退屈とは ★★



 「バグズ・フレンズ」

   7歳未満なら悪くない ★★☆

 上記の作品については以下の記事の中で紹介しています。

         ★★★ NAVERの人気順位(6月12日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
          ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。

①(1) ダンガル きっと、つよくなる  9.63(1,422)
②(-) ボムシェル:ヘディ・ラマー・ストーリー  9.42(24)
③(2) グレイテスト・ショーマン  9.38(12,797)
④(3) バナナソングの奇跡(韓国)  9.37(59)
⑤(-) 映画しまじろう まほうのしまの だいぼうけん(日本)  9.27(78)
⑥(5) KING OF PRISM -PRIDE the HERO-(日本)  9.24(895)
⑦(6) ゴッホ~最期の手紙~  9.20(5,212)
⑧(7) 出迎え:コーヒーショップの狼藉おしゃべり事件(韓国)  9.17(24)
⑨(8) 無門関(韓国)  9.13(93)
⑩(-) アイ・フィール・プリティ  9.10(1,007)

 ②⑤⑩の3作品が今回の新登場です。
 ②「ボムシェル:ヘディ・ラマー・ストーリー」はアメリカのドキュメンタリー。1930~40年代頃、美人女優として知られたウィーン出身の女性ヘディ・ラマー(1914~2000)の波乱万丈の人生をたどった作品です。1933年19歳の時「春の調べ」のヒロインとして映画史上初めて全裸ヌードになりましたが、同年結婚した彼女は、夫によって映画界を半ば強制的に引退させます。しかし37年にヘディはそんな夫とナチスの影響力が強まるオーストリアから逃れるようにロンドンに脱出、翌年にはハリウッドに進出します。その後合計6回も離婚したり、万引きで裁判沙汰になったりと話題の絶えない人生を送りますが、特筆すべきは現在のGPS・Bluetooth・携帯電話・Wi-Fiなどの元となる技術を作り出した発明家ということ。2014年に全米発明家の殿堂入りを果たしたそうです。これだけの人生を送った人のドキュメンタリーとなると、何をあえて削るかの方がむずかしそう。韓国題は「밤쉘」。日本公開は未定のようです。
 ⑤「映画しまじろう まほうのしまの だいぼうけん」については、私ヌルボ、例によってコメントする資格ナシ。すみません。韓国題は「내 친구 호비 극장판 호비와 매직 아일랜드」です。
 ⑩「アイ・フィール・プリティ」については後述します。

     【記者・評論家による順位】

①(1) フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法  8.50(10)
②(2) レディ・バード  7.82(11)
③(3) エセルとアーネスト  7.75(4)
④(4) バーニング(韓国)  7.69(13)
⑤(5) 共同正犯(韓国)  7.67(9)
⑥(6) ゴッホ~最期の手紙~  7.50(8)
⑦(7) 瑞山[ソサン]開拓団(韓国)  7.50(2)
⑧(8) ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー  7.29(7)
⑨(9) 七月と安生  7.17(6)
⑩(10) デトロイト  7.13(8)
⑩(-) 遺伝  7.13(8)

 今回の新登場は⑩「遺伝」だけですが、この作品については後述します。す。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績6月8日(金)~6月10日(日) ★★★

         日本より1ヵ月早く公開の「ジュラシック・ワールド/炎の王国」が1位

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・累積収入・・・・上映館数
1(新)・・ジュラシック・ワールド/炎の王国・・6/06・・1,807,538 ・・・・・・3,223,516 ・・・・・・・28,637 ・・・・・・・1,972
2(1)・・督戦[トクジョン](韓国) ・・・・・・・5/22・・・・・・・・・401,314・・・・・・・4,505,110 ・・・・・・・38,686・・・・・・・・・753
3(63)・・遺伝・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6/07 ・・・・・・・・・・71,480 ・・・・・・・・・90,525 ・・・・・・・・・806・・・・・・・・・414
4(新)・・アイ・フィール・プリティ・・・・・6/06 ・・・・・・・・・・67,892 ・・・・・・・・106,456 ・・・・・・・・・958・・・・・・・・・213
5(新)・・ポケットモンスター・・・・・・・・・6/06 ・・・・・・・・・・52,620 ・・・・・・・・133,993・・・・・・・・1,014・・・・・・・・・546
       ダイヤモンド&パール ディアルガVSパルキアVSダークライ(日本)
6(2)・・デッドプール2・・・・・・・・・・・・・・・5/16・・・・・・・・・・38,731・・・・・・・3,753,496 ・・・・・・・33,917・・・・・・・・・367
7(新)・・バグズ・フレンズ・・・・・・・・・・・・6/06・・・・・・・・・・11,871 ・・・・・・・・・27,390・・・・・・・・・・218・・・・・・・・・248
8(3)・・アベンジャーズ・・・・・・・・・・・・・・4/25・・・・・・・・・・・9,878・・・・・・11,177,058 ・・・・・・・99,562・・・・・・・・・118
       /インフィニティ・ウォー
9(5)・・ピーターラビット・・・・・・・・・・・・5/16・・・・・・・・・・・6,208 ・・・・・・・・381,571 ・・・・・・・・2,953・・・・・・・・・・74
10(7)・・バーニング(韓国) ・・・・・・・・・・・5/17 ・・・・・・・・・・・5,368 ・・・・・・・・521,672 ・・・・・・・・4,659・・・・・・・・・・82
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 今回の新登場は1・3・4・5・7位の5作品です。
 1位「ジュラシック・ワールド/炎の王国」は2015年の「ジュラシック・ワールド」に続くアメリカの恐竜SFアドベンチャー。ジュラシック・ワールドがあるイスラ・ヌブラル島に火山大噴火の予兆が・・・! 恐竜たちの生死を自然に委ねるか、命がけで救い出すか? そんな選択を迫られる中、恐竜行動学のエキスパート、オーウェン(クリス・プラット)は元運営責任者の女性クレア(ブライス・ダラス・ハワード)と共に島に向かいますが・・・。韓国題は「쥬라기 월드: 폴른 킹덤」。日本公開は7月13日です。
 3位「遺伝」(仮)はアメリカのホラー。物語はグラハム家の女家長エレンが他界するところから始まります。残された娘・アニー(トニ・コレット)は、その1週間後亡くなった母の幽霊が現れることを感じます。アニーがエレンに似ていると言って接近してきた怪しい隣人ジョアンを通じてエレンの秘密を発見したアニーは、自分が母親と同じ過ちを犯したことを知るとともに、娘のチャーリーにまで続いたグラハム家の呪いの実体が明らかになってきます・・・。この作品がサンダンス映画祭で上映された後、近年最恐のホラーとの見方が広まっているようです。「エクソシスト」に代表される60~70年代のホラーのテイストとかの評もあります。原題は「Hereditary」ですが、韓国題「유전」をそのまま仮題としました。日本公開は年末・・・って確かなの?
 4位「アイ・フィール・プリティ」は、アメリカのコメディ。ファッションセンスはいいし、性格も(たぶん)魅力的なんだけど、ぽっちゃり体型が不満という化粧品会社に勤めるOLルネ(エイミー・シューマー)。あーあ、もっとキレイだったら何でもできるのに、と心を込めて熱心に祈っても1%も変わるわけはありません。そこを一念発起してジムでスピニング(バイクエクササイズ)に熱中するルネでしたが、ある日夢中でペダルを踏むうち、ジムの床に叩きつけられ頭を打ってしまいます。ふと我に返ったルネ、「何か変だゾ!」と鏡を見てみると、アラ、鏡の中の私は・・・。と、ここらへんから楽しくなっちゃう? 韓国題は「아이 필 프리티」。日本公開は未定のようです。
 5位「ポケットモンスター ダイヤモンド&パール ディアルガVSパルキアVSダークライ」は、2007年日本公開ですが、何で今? ポケモンシリーズは韓国でも過去30作品も公開されているのですが、これは抜けてたということかな? 韓国題は「극장판 포켓몬스터DP - 디아루가 VS 펄기아 VS 다크라이」です。
 7位「バグズ・フレンズ」は、英題が「The Ladybug」とあるので、あのフランスのカッコイイおねーさんテントウムシ?と一瞬思いましたが、コチラは中国アニメ。中国題の「金龟子」はGoogle翻訳だとスカラベなんですけど、絵を見るとコチラもテントウムシ。物語の主人公ルピーは実験室のガラス箱に閉じ込められていた子供のてんとう虫ルビー。昆虫の天国と呼ばれる黄金の谷をめざして脱出を決心しますが、車が走る道路もあれば、えっ飛行機搭乗まで? 昆虫仲間の助けを借りて目的地に近づいていきます・・・。 韓国題は「벅스 프렌즈」です。中国アニメの日本公開は、まずなさそうな・・・。

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・・上映館数
1(新)・・劇場版ポケットモンスター・・・・・6/06・・・・・・・・・・52,620・・・・・・・・・・・133,993 ・・・・・・・・・1,014・・・・・・・・・546
       ダイヤモンド&パール ディアルガVSパルキアVSダークライ(日本)
2(新)・・エンテベの7日間・・・・・・・・・・・・・・6/07・・・・・・・・・・・2,850・・・・・・・・・・・・・3,942・・・・・・・・・・・・32・・・・・・・・・・99
3(1)・・スタンバイ・ウェンディ・・・・・・・・・5/30・・・・・・・・・・・2,482・・・・・・・・・・・・42,951・・・・・・・・・・・339・・・・・・・・・・65
4(29)・・ボムシェル:ヘディ・ラマー・ストーリー・・6/07・・1,827・・・・・・・・・・・・・3,036・・・・・・・・・・・・24・・・・・・・・・・36
5(44)・・マジックビーン・・・・・・・・・・・・・・・5/03・・・・・・・・・・・1,671 ・・・・・・・・・・・・56,769 ・・・・・・・・・・434・・・・・・・・・・・3

 1・2・4位の3作品が新登場です。なお、5位の「マジックビーン」は5月8日の記事で紹介した中国アニメです。
 1位「劇場版ポケットモンスター ダイヤモンド&パール ディアルガVSパルキアVSダークライ」と4位「ボムシェル:ヘディ・ラマー・ストーリー」については上述しました。
 2位「エンテベの7日間」(仮)は、1967年実際にあったハイジャック事件を素材にした米英合作のドラマ。その年の6月27日。84人のイスラエル人を含む総勢200人の乗客を乗せたエールフランス機がテルアビブからパリへ向かっていました。ところが、これにはブリジット・クールマン(ロザムンド・パイク)とウィルフリード・ボズ(ダニエル・ブリュール)という2人のドイツ人の左翼過激派メンバーが搭乗していたのです。彼らの目的は、ハイジャック。パレスチナ解放人民戦線と結託し、イスラエルの民間人を人質にとって収監されている仲間の釈放を要求するという計画でした。作戦は実行に移され、機体を制圧した彼らは飛行機をイスラエルと反目しているウガンダの空港へ向かわせました。そこがエンテベ国際空港です。イスラエルのラビン首相(リオル・アシュケナージ)とペレス国防相(エディ・マーサン)は、ウガンダ大統領、つまりあの(!)<人食い大統領>とよばれたアミン(ノンソ・アノージー)との折衝を続けますが、そうしているうちにも、テロリストの要求はエスカレートしていきます。はたして乗客たちは・・・。韓国題は「엔테베 작전」。日本公開は未定のようです。(どうも<ソチラ>方面から製作資金が出てるのでは、と勘繰りたくなります。)

米朝首脳会談始まる ▸▸ ところで「体制保証」って何なの?

2018-06-12 15:09:30 | 私ヌルボの韓国・朝鮮 雑録雑感
 いよいよ米朝首脳会談です。
 焦点はもちろん「非核化」。アメリカは「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」(CVID)を追求するとか。ただ、北朝鮮の非核化なのか朝鮮半島の非核化なのか?は不明確。
 それに対して北朝鮮側は「体制保証」を求めているとか。
 今朝の毎日新聞によると、ポンペオ国務長官は昨日(11日)夜の記者会見で金正恩政権に「特別な体制保証」を提供する用意があると表明したとのことです。

 ところで、この「体制保証」とは具体的にどういうことを指すのでしょうか?

 私ヌルボが思ったのは、金正恩の支配体制の維持を求めているのかな?ということ。
 しかし、その政権の存廃や、体制の維持(or転換等)はその国の人たちが決めるのが当然で、他国に求めることではないし、まして北朝鮮の場合金日成以来3代続く独裁政権の下で住民の生存権をはじめとする基本的人権の侵害が続いているのに、その体制の保証をするのは論外じゃないの?という疑問を持ってきました。

 この疑問に対して、初めて目にした記事は、これまでも何度か本ブログで紹介した朝鮮日報の鮮于鉦(ソヌ・ジョン)社会部長「北朝鮮の体制保証と「韓国並みの繁栄」は同時に可能なのか」という5月25日のコラムです。(日本語版→コチラor→コチラ)
 要点を抜粋します。
 北朝鮮政権の支持者たちは、北朝鮮経済の破たん原因を外的要因にすり替える。西側諸国の敵対政策・圧力・封鎖のせいだというのだ。これもやはりうそだ。(中略)
 北朝鮮経済の失敗の原因は内部矛盾にある。北朝鮮内部矛盾の根にも頂点にも「唯一体制」があることはほとんどの学者が認めている。簡単に言えば、唯一体制とは首領(北朝鮮のトップ)1人がすべてを決定し、人民がそれに服従する体制をいう。(中略)唯一体制は共産独裁とは違う。開発独裁とも全く違う。この体制に会った瞬間、収奪と引き換えに得た日本の資産、共産陣営の援助、西側諸国の好意的投資は、砂漠にまかれた水のように蒸発してしまった。それは今後も同じだろう。
 トランプ米大統領は「北朝鮮が核兵器を放棄すれば体制を保証する」と言った。その上、「韓国並みの繁栄」まで約束した。これほどの矛盾はない。体制を保証すればいかなる繁栄も不可能だ。繁栄のためには体制を変えなければならない。究極のことを言えば、体制の変更なしには完全な非核化も達成できない。北朝鮮の体制を支える唯一の力が核だからだ。この回りに回った矛盾を知りながら、口にしない。今の局面が崩れるのではないかとみんな恐れている。


 後に知ったことですが、この記事より先の5月17日に団藤保晴氏(ネットジャーナリスト、元朝日新聞記者)による「北朝鮮が米に苛立つのは体制保証への無理解か」という記事(→コチラ)があることを知りました。
 南北閣僚級会談を一方的に中止し米朝首脳会談の再考を言い出した北朝鮮。既に始まった軍事演習を理由にしつつも、ポンペオ米国務長官が持ち出した体制保証が求めているモノではないと拒否したのではないでしょうか。金正恩国務委員長ら支配層が求める体制保証は強権的な権力支配構造の維持であり、国民全体を豊かにする普通の国への転換ではないと考えられます。むしろ、国全体が豊かになれば社会が民主化に走って権力は失われます。民主化を阻止するために必要な、中国が「ブラックテクノロジー」でしている国民を監視・管理する技術も資源もありません。

 朝鮮日報では、6月4日 イ・ドンフンデジタル編集局政治部長が「「北朝鮮の体制保障」を心配する文在寅大統領」と題したコラム(→コチラ)で次のように書いています。
 北朝鮮の体制を心配する文大統領に尋ねずにはおれない。一体どこまで保障するつもりなのか。米国の軍事攻撃からの保護? 相互不可侵? こういうものであれば、助けてやれる。韓半島(朝鮮半島)で戦争を防がなければならないという韓国の立場からは、当然のことだ。
 だが、内部の矛盾で自壊を避けられない体制の問題となると、話は別だ。この場合、韓国は金正恩体制の安全を保障できないし、保障してはならない。カダフィの最期を知っている北朝鮮は、「リビア」の話を持ち出すだけで過敏に反応するが、カダフィを殺したのは米国ではなく反乱軍の銃弾だったことを北朝鮮も理解している。「金正恩体制の保障」とは、カダフィのように人民の手で殺されないようにしてくれ、ということなのか。人民の蜂起を米国が防いでやらなければならないのか。
 北朝鮮の政権は、いわゆる「白頭の血統」を中心にした少数の既得権を守るため、類例のない反人権政策を繰り広げ、時代に合わない閉鎖経済を維持した。(中略)こんな北朝鮮の体制の安全を、国際社会が保障してやる方法はない。
 北朝鮮に対する、完全かつ検証可能で不可逆な体制保障? トランプ大統領ではなく、神が来てもそれはできない。すべきでもない。口癖のように民意と人権を語ってきた学生運動関係者が中心の文在寅政権も同様だ。金正恩体制の保障は、米国や韓国ではなく、北朝鮮人民の手にかかっている。


 このような北朝鮮の体制に対する批判的論調は保守紙の筆頭格の朝鮮日報だからこそなので、韓国のメディアあるいは一般の韓国人の全体から見れば少数派でしょう。

 ほぼ同様の趣旨で、私ヌルボが共感しつつ読んだのが知日派ジャーナリスト崔碩栄(チェ・ソギョン)氏の6月6日の記事「北朝鮮の「体制保証」と「人権改善」は両立できない」(→コチラ)です。
 両国が最も重視している問題は「完全な非核化」と「金正恩体制維持」である。(中略)
 もし米国が北朝鮮の段階的非核化を容認し、それに対する見返りとして、北朝鮮の体制を保証して、経済制裁を解除すればどうなるだろうか?
 朝鮮半島から核と戦争の脅威がなくなり、南北が経済・文化交流を通じて繁栄を成し遂げる平和の時代が訪れるだろうか?
 少なくとも、文在寅政権をはじめとする北朝鮮に信頼と支持を送る人々にはそのように見えているようだ。しかし、北朝鮮の非核化と体制維持が実現されることはあっても、その結果として平和の時代が訪れることは不可能である。少なくとも北朝鮮という「国家」においては。なぜなら、北朝鮮の体制維持と北朝鮮の人権の改善は同時達成が不可能だからだ。
 (中略)現在の金正恩体制を維持するためには、人権弾圧は続けるしかない。そうしなければ、体制の維持は不可能だからである。
 徹底的に閉鎖された社会で生きてきた北朝鮮住民に開放と交流という経験は動揺をもたらし、それは自然に統治体制への不満と反発という連鎖を起こすだろう。金正恩にとってこれほどの脅威はない。もし米国が非核化の見返りに、金正恩体制の維持を保証したならば彼は依然として国民に閉じられた世界での生活を強いるに違いない。そうすれば内部の動揺が広がることはない。しかし、北朝鮮内では何一つ変われず地獄のような状況が続くだろう。(中略)
 外部からの軍事的脅威より怖いのが、内部の反発から始まる体制の崩壊である。それは過去のソ連をはじめ東欧の共産国家が外部からの力の圧力ではなく、内部の反発と抵抗から崩壊した歴史がよく証明している。北朝鮮の立場からすれば、非核化より受け入れがたいのが自国内の人権問題への干渉かもしれない。


 ところが、大多数の日本の新聞等は「体制保証」の内容を具体的に説明した記事は探してもなかなか見つかりません。

 そんな中、6月5日付の中日新聞・城内康伸記者の「<激動 米朝首脳会談>(2) 体制保証」という記事(→コチラ)を読みました。そこで「アレレ?」と思ったのは右画像の「北朝鮮が求める体制保証」という表の内容。もっぱらアメリカ相手の軍事関係のことしか記されていません。城内康伸氏は東京新聞ソウル支局長だったこともあり、韓国・朝鮮について詳しい人ですが、決していわゆる<親北>ではありません。ただ、この表については疑問を感じたのでいろいろ他の記事を探ってみたというわけです。
 記事本文には、次のように書かれています。
 専門家は体制保証について「米国が軍事的脅威を解消し、北朝鮮特有の独裁体制を認め、安全を保証することだ」と解説する。
 その具体策として、韓国政府高官は(1)朝鮮戦争の終結を宣言した上で休戦協定を平和協定に転換(2)米朝が相互不可侵を約束-などを挙げる。北朝鮮は最終的には、米国との国交正常化を念頭に置くほか、敵視政策の表れと見なす経済制裁の解除も求める。
 北朝鮮関係筋は「米国では政権交代がある。口先だけでなく、約束を担保する制度的保証が重要だ」との考えを示している。

 ・・・ということで、どうも右の表は何のことはない、「韓国政府高官」の考える体制保証ということのようです。つまり、アメリカの「軍事的脅威」の方が「北朝鮮特有の独裁体制」よりずっと問題があるという認識があるようですね。
 ※朝鮮戦争の終結については、東京新聞の五味洋治編集委員が昨年12月「朝鮮戦争は、なぜ終わらないのか」(創元社)というタイムリーな本を刊行しています。

 最初に記すことだったかもしれませんが、ここで私ヌルボの北朝鮮に対するスタンスを示しておきます。それは「北朝鮮だけではなくどの国についても同様ですが、政府(指導者)とそこの住民を峻別すること」。そしてもちろん、北朝鮮(及び世界各国の)人々の人権を尊重することです。
 そんな観点から、北朝鮮住民の生存権をはじめとする基本的人権を否定し続け、政敵を多数粛清してきた金日成以下3代の独裁政権は到底許すことはできません。よほど思い切った改革に踏み出さないかぎりは滅亡を期待するしかありません。(ただし外国からの軍事攻撃は住民や兵士を犠牲にし、その後の国際情勢も不透明になるのでダメ。) 北朝鮮住民の人権問題を重視する観点からは、北朝鮮だけでなく、中国をはじめ韓国・日本・アメリカ・ロシアも共犯といえるかもしれません。住民の人権よりも東アジアの政治的安定を優先してきたから。
 もしかしたら、今回の米朝会談もそういう形で終わってしまいそうな気がします・・・。

 この記事を書き始めたのが午前10時。ずっと日経の→<米朝首脳会談ライブ>を見ながら書いてきました。
 今はもう14:58。「トランプ大統領と金正恩委員長は署名した合意文書を手にして並びました。ワーキング・ランチを含めて約5時間の歴史的な首脳会談が終わりました。」というところです。
 はたして、会談の中身はどういうことになっているのか?

 この記事、こんな会談当日ではなく、もっと前に書くべきだったですね。

韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [6月1日(金)~6月3日(日)]

2018-06-06 01:31:53 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
<カンヌ受賞の是枝裕和監督を祝福しない安倍首相を、フランスの保守系有力紙が痛烈に批判>という記事(→コチラ)を興味深く読みました。文化や言論を規制・統制するのは論外ですが、自分の眼鏡にかなった人や作品しか称えないのも問題です。

▸先週は韓国のドキュメンタリー「共犯者たち」を試写会で観ました。これはまさにその<論外>を扱ったものです。李明博・朴槿恵政権時代のメディア統制(とくにTV局)がひどかったことはそれなりに知ってはいましたが、ここまで露骨で大規模なものとは思いませんでした。一方、大勢の人たちがクビを切られる等の弾圧に遭いながらも、抵抗を続けたことも、2008年以来の映像や証言をまとめたこの作品でよくわかりました。東京では6月9日(土)19:00~、なかのZERO小ホールで上映会があり(→詳細)10日(日)13:00~、立教大学(池袋)で上映&シンポジウムがあります。(→詳細)
 この韓国ドキュメンタリーが日本にも無縁でないことは、シンポジウムの表題(下画像)からもうかがわれます。近年のNHK関係の人事や番組等に対しての政権側の<いろいろ>が思い出されます。


▸5月29日(火)韓国文化院で観た「漂流島」(1960)は、作品自体よりも、当時の都市景観だけでなく、女性の地位等々に対するものの考え方といった時代像がうかがわれます。具体的な内容は→コチラ参照。また韓国語・英語の字幕しかありませんが→YouTubeで視聴できます。
    
「朝鮮日報」6月1日掲載の「封切映画 ぴったり10字評」 (ハングル文も訳文も10字です。)

자폐 소녀의 꿈 향한 힘겨운 여정
자폐증을 앓는 소녀 웬디는 영화사 시나리오 공모전 원고를 내려고 홀로 로스앤젤레스로 떠난다.

 《週末の劇場街》で紹介

  「500ページの夢の束」

   自閉症の少女の夢に向かう厳しい旅


 [写真説明] 自閉症を患っている少女ウェンディは映画社のシナリオ公募の原稿を出そうと1人でLAに旅立つ。

 「セラヴィ!」
   完璧でなくても大丈夫 ★★★


 「ホーム」

   子供の眼差しだけで涙 ★★★☆



 「ミセス・ハイド」

   E.ユペールの奮闘記 ★★☆

 「ミセス・ハイド」(仮)はフランスのドラマ。ミセス・ジキル(イザベル・ユペール)は学生には透明人間扱いされ、同僚には無視されるという影の薄い女性。しかし雷が鳴った夜から変わり始めます。彼女の中に眠っていた何かがうごめき、ミセス・ジキルは同時にミセス・ハイドになります・・・。日本公開は未定。他の作品については以下の記事の中で紹介しています。

         ★★★ NAVERの人気順位(6月5日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
          ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。

①(1) ダンガル きっと、つよくなる  9.63(1,380)
②(2) グレイテスト・ショーマン  9.38(12,760)
③(-) バナナソングの奇跡(韓国)  9.36(58)
④(3) 新世紀、パリ・オペラ座  9.32(19)
⑤(4) KING OF PRISM -PRIDE the HERO-(日本)  9.25(893)
⑥(5) ゴッホ~最期の手紙~  9.20(5,208)
⑦(-) 出迎え:コーヒーショップの狼藉おしゃべり事件(韓国)  9.32(19)
⑧(8) 無門関(韓国)  9.09(89)
⑨(7) ピーターラビット  9.04(1,305)
⑩(-) 劇場版FAIRY TAIL -DRAGON CRY-(日本)  9.04(23)

 ⑦⑩の2作品が今回の新登場です。
 ⑦「出迎え:コーヒーショップの狼藉おしゃべり事件」は韓国のコメディ&ドラマ。幼い頃から苦楽を共にしてきた7人の友人たち。時が流れて今は彼らもスーツが似合う30代の大人になり、増えていく小ジワのように責任もまた大きくなりました。愉快な一方で、ほろ苦い男たちのマジメなおしゃべりが繰り広げられます。原題は「마중: 커피숍 난동 수다 사건」です。
 ⑩「劇場版FAIRY TAIL -DRAGON CRY-」は日本のアニメなんですが、元は「少年マガジン」の連載漫画。いやあ、私ヌルボ、最後に「少年マガジン」を読んだのは何年前か? (現在少年漫画は大人たちにどれほど読まれているのですかねー?) というわけで、例によって語る資格ナシ。韓国題は「극장판 페어리 테일: 드래곤 크라이」です。

     【記者・評論家による順位】

①(1) フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法  8.50(10)
②(5) レディ・バード  7.82(11)
③(7) エセルとアーネスト  7.75(4)
④(8) バーニング(韓国)  7.69(13)
⑤(9) 共同正犯(韓国)  7.67(9)
⑥(10) ゴッホ~最期の手紙~  7.50(8)
⑦(-) 瑞山[ソサン]開拓団(韓国)  7.50(2)
⑧(-) ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー  7.29(7)
⑨(-) 七月と安生  7.17(6)
⑩(-) デトロイト  7.13(8)

 今回の新登場は⑩「デトロイト」だけですが、この作品は日本では今年1月公開されています。韓国題は「디트로이트」です。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績6月1日(金)~6月3日(日) ★★★

         韓国の犯罪アクション「督戦[トクジョン]」が2週連続1位

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・累積収入・・・・上映館数
1(1)・・督戦[トクジョン](韓国) ・・・・・・・5/22・・・・・・・・・981,401・・・・・・・3,531,134 ・・・・・・・30,279 ・・・・・・・1,531
2(2)・・デッドプール2・・・・・・・・・・・・・・・5/16・・・・・・・・・230,611・・・・・・・3,616,999 ・・・・・・・32,726・・・・・・・・・769
3(3)・・アベンジャーズ・・・・・・・・・・・・・・4/25・・・・・・・・・・71,690・・・・・・11,136,266 ・・・・・・・99,201・・・・・・・・・451
       /インフィニティ・ウォー
4(5)・・トゥルース・オア・デア・・・・・・・・5/22・・・・・・・・・・58,495 ・・・・・・・・288,676 ・・・・・・・・2,463・・・・・・・・・341
5(6)・・ピーターラビット・・・・・・・・・・・・5/16・・・・・・・・・・46,044 ・・・・・・・・364,487 ・・・・・・・・2,821・・・・・・・・・428
6(4)・・ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー・・5/24・・36,938 ・・・・・202,800 ・・・・・・・・1,869・・・・・・・・・383
7(7)・・バーニング(韓国) ・・・・・・・・・・・・5/17 ・・・・・・・・・・19,829 ・・・・・・・・503,948 ・・・・・・・・4,503 ・・・・・・・・280
8(34)・・デジャブ(韓国) ・・・・・・・・・・・・・5/30 ・・・・・・・・・・18,889 ・・・・・・・・・41,906 ・・・・・・・・・313・・・・・・・・・477
9(51)・・500ページの夢の束・・・・・・・・・・5/30 ・・・・・・・・・・18,462 ・・・・・・・・・30,268 ・・・・・・・・・238・・・・・・・・・346
10(23)・・ちびっ子英雄 ボビー・・・・・・5/30 ・・・・・・・・・・11,773 ・・・・・・・・・15,097 ・・・・・・・・・118・・・・・・・・・317
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 韓国映画の2週連続1位は3月の昆池岩[コンジアム]以来です。
 今回の新登場は8・9・10位の3作品です。
 8位「デジャブ]」は韓国のスリラー。婚約者のウジン(イ・ギュハン)と乗っていた車で人を殺してしまったジミン(ナム・ギュリ)は、その日の夜から死んだ女性が現れる幻覚を見るようになります。耐えられなくなったジミンは警察に行きますが、自分の記憶にある交通事故は実際には起きていなかったことを知ります。消えないままの疑問の中で、彼女の日常的な恐怖は募っていきます。傍観する婚約者ウジン、そして事件後自分の周りを監視するチャ刑事(イ・チョニ)のために、ジミンはさらに最悪の状況に陥っていきます・・・。原題は「데자뷰」です。
 9位「500ページの夢の束」は、アメリカのドラマ。サンフランシスコに住むウェンディ(ダコタ・ファニング)は427ページのシナリオを覚える能力があり、曜日ごとに着る服をコーディネートするファッションリーダー( ?)というユニークな少女。また「スター・トレック」が大好きで、その知識なら誰にも負けないことを自負しています。しかし、自閉症を抱える彼女は、ある理由で唯一の肉親である姉と離れて暮らしていました。ある日、ウェンディは「スター・トレック」脚本コンテストが開催されるといううれしい情報に接します。彼女はがんばって脚本作品を書き上げましたが、もう郵送では締切に間に合わいません。そこでコンテストの開かれるハリウッドまで、愛犬ピートとともに数百㎞の旅に出ることを決意します。書き上げた500ページもの脚本と、<ある願い>を胸に抱えて・・・。韓国題は「스탠바이, 웬디」。日本公開は9月7日です。
 10位「ちびっ子英雄 ボビー」等ではアメリカアニメになってますが、原題は「刺猬小子之天生我刺」という2016年の中国のアニメ。主人公はくだもの山に住んでいる勇敢で自信家のハリネズミ、ボビー。彼は山頂で行われる一番美味しい果実の王を獲得するために アナグマのスカとの対決を繰り広げて、グレーが住む鉄道橋に落ちます。友だちになったボビーとグレーは、動物商人に捕まったりしますが、結局脱出に成功し、ハリネズミ村に逃げます。ところがその後村に悪いヤツがやってきて、・・・と先の読めない物語が・・・って、え、ここからが本番だって? 韓国題は「꼬마영웅 바비」です。日本での公開はなさそう、かな?

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・・上映館数
1(28)・・スタンバイ・ウェンディ・・・・・・・・5/30・・・・・・・・・・18,462・・・・・・・・・・・・30,268・・・・・・・・・・・238・・・・・・・・・346
2(8)・・ちびっ子英雄ボビー・・・・・・・・・・・・5/30・・・・・・・・・・11,773・・・・・・・・・・・・15,097・・・・・・・・・・・118・・・・・・・・・317
3(1)・・私を月に連れてって・・・・・・・・・・・・5/16・・・・・・・・・・・7,140・・・・・・・・・・・106,529・・・・・・・・・・・830・・・・・・・・・・94
4(新)・・セラヴィ!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5/30・・・・・・・・・・・6,512・・・・・・・・・・・・13,838・・・・・・・・・・・109・・・・・・・・・144
5(61)・・ホーム(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・・5/30・・・・・・・・・・・2,945・・・・・・・・・・・・・5,300・・・・・・・・・・・・39・・・・・・・・・123

 3位以外の4作品が新登場です。
 1位「スタンバイ・ウェンディ」と2位「ちびっ子英雄ボビー」については上述しました。
 4位「セラヴィ!」は、日本公開のフランス語映画で歴代興行収入No1のヒットを記録した「最強のふたり」の監督による新作コメディです。ウェディングプランナー歴30年のマックス(ジャン=ピエール・バクリ)は、あるカップルの依頼で17世紀の城を会場にした豪華な結婚式の準備を進めていました。ところがその日に限ってウェイターやオーケストラなどのスタッフが勝手な行動に走り、ミスを連発。厳しいクライアントの容共事項は増える一方。完璧なはずだったマックスのプランは崩壊していきます。はたして結婚式は無事に終わるかどうか・・・。韓国題は「세라비, 이것이 인생!」。日本公開は7月6日です。
 5位「ホーム」は韓国の家族ドラマ。14歳の少年ジュノ(イ・ヒョジェ)のところに、ある日突然空から家族たちが降ってきました! 弟のソンホ(イム・テプン)、ソンホのお父さんウォンジェ(ホ・ジュンソク)、ウォンジェの娘ジヨン(キム・ハナ)まで。新しい家族ができたジュノは毎日幸せいっぱい。息子のようにジュノの面倒を見てくれるウォンジェと、実の弟・妹のようについてきてくれるソンホとジヨン。「僕たち、ずっと一緒にいられればいいのに・・・」とジュノは願いますが・・・。少年の幸せづくりを通して家族と幸せの意味を考えさせられ、またそこに現代社会を反映させているという点で、「万引き家族」等とも共通する問題意識があるようです 原題は「홈」です。

最近の縁日に、韓国フードがいろいろ浸透している! チャプチェとかトッポキとか・・・

2018-06-05 14:01:34 | 韓国・朝鮮と日本の間のいろいろ
 縁日が大好きという人、子供や若者でなくてもたくさんいますね。私ヌルボの場合、もちろん嫌いじゃないけど、とくに好きというほどでもなく、「○○が食べたい!」という屋台の定番の食べ物もないということもあって、2、3年に1度行く程度ですかねー。
 ところが、たまたま昨年9月、相鉄線平沼橋駅近くにある水天宮平沼神社の縁日に行き、そして一昨日(6月3日)横浜西口から徒歩約15分の浅間神社の例大祭の縁日に行って、認識を新たにしました。
 つまり、屋台で売っているモノを見ると、お好み焼きや焼きそば等々、昔からの定番のものもあれば、初めて見たというものもけっこうあるのですね。また定番の1つのたこ焼きにしても、タコがずいぶん大きくなってるようだし、・・・って6個で500円だからなー。私ヌルボ、連れが買ったのを100円出して1個分けてもらっただけです、トホホ。
 で、その昔はなかったゾというモノの中に、韓国の食べ物がいくつかあることに気づきました。もしかしたら、「今頃気がついたか!」と笑われるかもしれませんが。年配者の場合、孫を連れて縁日に行くという人以外は世の中の変化には鈍感になりがちなもので・・・。(お察し下さい。けほけほ。)
 では、まず昨年9月5日水天宮で撮った画像から。

    


 いや、屋台の写真じゃないし、韓国関係でもないんですけどね。水天宮平沼神社の例大祭では、境内にある神楽殿で神楽が催されるのです。私ヌルボ、それは知っていましたが、日時までは未確認のまま行ったら、たまたまその始まる少し前。ラッキーなことに、「天孫降臨」と題した演目でしたが、通して観ることができました。サルタヒコやアメノウズメが登場します。(深入りはしません。) 神楽殿では、直前までフラダンスもやってたようです。(→コチラ参照。)
     

 はい、これがチャプチェの屋台。2枚とも同じ店です。ちゃんとハングルで「잡채」と書かれてます。漢字で書くと「雑菜」というのはどれくらい知られているのかな? この画像、肝心のチャプチェが写ってないのが残念。いや、それ以前に買って食べて、話をしてみるべきでしたね。ま、それは次の機会に。

 先を急ぎます。浅間神社の例大祭です。

     

 たくさんの車が行き来する浅間下交差点を神輿が進みます。
 その浅間下から西方向へ、松原商店街入口辺りまで約800mに400軒もの屋台が立ち並んでいます。

    

 最初に目に入ったのが「チーズハットグ(치즈핫도그)」の店。(上画像) 「ハットグ(핫도그)」というのは「ホットドッグ」のことですが、韓国では、日本でふつうアメリカンドッグと言っている、串に刺して油で揚げたものも含めて「ハットグ」と呼んでいます。韓国人はトロ~ッと糸を引くチーズが好きで、この屋台の看板にも「のび~る」とあるように、それがウリなんでしょうね。また韓国ではオムレツ等々にはケチャップをジグザグに何往復も塗るのがふつうのようで、ハットグの場合はさらにカラシも同様に塗りたくるため、(私ヌルボの目には)下品の三重奏となるわけです。下品でも美味しいものは好んで食べますが、このチーズドッグは食欲がわかず写真撮影だけでスルー。

    

 「のび~る」でもう1つあったのが上左の「のび~るアイス」。その向こうの屋台の「ドネルケバブ」と同様、こちらはトルコです。国際色が色濃くなっていることが如実にうかがわれます。これからは東南アジア系が増えそう?となんななく思いました。一方、中国系がほとんどない(?)のはなぜ?
 上右は韓国人が大好きなトッポキ(떡볶이)。直訳すると「餅炒め」なんですけどね。それにしても、なんであんなに好きなんでしょうねー?(チャジャンミョンも・・・。) って、味の好みにリクツはないのはわかってるんだけど。

    

 そもそも、この記事を書くことになった直接的な契機はコレ!です。実は私ヌルボ、初めて見ました。ウェブ検索してて、たまたま行き当たったのが→コチラのブログ記事。2017年の初詣の縁日の屋台で「韓国旅行中にたくさん見かけるやーつ」を発見したということで、この「電球ソーダ(전구소다)」を写真入りで紹介してました。
 上右の画像は別の所のものですが、なるほど「韓国からやってきた!」とかかれています。浅間神社の屋台はどうだったか、ちゃんと見てなかったです。
 その後の調べでは、どうも2016年4月の→コチラの記事(韓国語)が最初ではないかと思いますが、その後あっという間に日本にまで広まったのですね。冒頭で「今頃気がついたか!」と思われるかも、と書いたのは具体的にはこれのことです。
 電球(&ストローも)が光るのがミソだし、カラフルで「インスタ映えする」というのも流行の大きな理由になったとのこと。
 →コチラの記事で紹介されている原宿電気商会という電球ソーダ専門店が神宮前にオープンしたのが2017年5月とか。けっこうお客さんが並んでるみたいです。それにしても、ホントにそれぞれの業界の皆さんの反応は早いです。(若者向け飲食店業界、縁日屋台業界・・・。)
 その原宿電気商会のドリンクメニューは、必ずしも炭酸入りでもないようですが、10数種類あって色とりどり。ただ、韓国にはある五味子茶(オミジャチャ)ソーダはないようです。

    

 上左は韓国の電球ソーダ。今やコンビニでも売っているとか。(上右)

 そして、浅間神社の屋台で電球ソーダと一緒に売られていたのが下左の、これまたユニークな容器に入ったジュースです。

    

 これも韓国由来です。右は仁川の屋台です。日本では「点滴ジュース」といいますが、韓国では「링거음료(リンガウムニョ)」すなわち「リンゲル飲料」です。
 ところが、最近(5月26日)のニュース(→コチラ.韓国語)によると、<블러드 쪽쪽>(ブラッド・チュクチュク)という商品名の点滴ジュースから規定をはるかに超えた細菌が検出されたことと、医療機器法違反のため回収措置がとられるとか。
 いやあ、この形態はたしかにちょっとヤバい感じはします。日本では大丈夫?

 話を元に戻して、韓国由来の縁日屋台フードですが、お祭り屋台の人気メニューをなんと200も50音順にリストアップした→コチラの記事を参照したら、上記以外にもチヂミと(ヌルボの好きな)ホットクが入ってました。この2つはナットクです。まだ食べたことがないという人にはぜひオススメしたいと思います。
 トッポキ(トッポッキ)、ハットグ、ホットク等々、韓国語になじみのない皆さんにはけっこう紛らわしいですね。

 ずいぶん長くなってしまいました。(いつものことですが。) また9月には水天宮平沼神社例大祭、11月には金刀比羅大鷲神社の酉の市に行って新情報を拾ってきます。

朝鮮民主主義人民共和国と大韓民国の呼称 ③韓国では、「北韓」の語が定着するまで何と言っていた?

2018-06-02 10:22:47 | 韓国・朝鮮関係の知識教養(歴史・地理・社会等)
 → 朝鮮民主主義人民共和国と大韓民国の呼称 ①「北朝鮮」と「韓国」以外にあるの?
 → 朝鮮民主主義人民共和国と大韓民国の呼称 ②ホントに厄介な「北」の呼び方

 韓国では北朝鮮のことを「북한(プッカン.北韓)」といいます。韓国語学習者の間では常識だとや思いますが、一般的にはどうでしょうか?
 Google翻訳の[日本語→韓国語]でも、「北朝鮮」と入力すると「북한」と変換され、逆に[韓国語→日本語]だと「북한」は「北朝鮮」に自動翻訳されます。(場合によっては誤解・誤読を生む。)
 しかし、だからといって韓国内で「朝鮮という言葉が禁じられているわけではありません。ただ、この言葉はふつう過去の朝鮮王朝を指します。また朝鮮日報、ウェスティン朝鮮ホテル、朝鮮大学校(光州にある)等の固有名詞にも用いられています。ただ、日本人が韓国人のことを「チョーセン人」と言うのは禁物。差別語ととられるし、実際差別意識が込められている場合が多いのではないでしょうか?

 さて、この北韓という言葉ですが、ふつうに使われるようになったのは、1972年の7∙4南北共同声明が契機でした。南北関係がたまたま少しよくなった時です。では、それ以前は何と呼んでいたかというと「북괴(プッケ.北傀)」でした。つまり北の傀儡(かいらい)国家という意味の侮蔑語です。「傀儡」は、本来は「操り人形」のことですが、「人の手先となって思いのままに使われる者」という2番目の意味の方がよく使われていますね。(「くぐつ」という読み方もあります。) 具体的には「ソ連の操り人形」という意味です。逆に北朝鮮の方も韓国を「アメリカ帝国主義の傀儡」と言ってました。

 共同声明が採択された次の日、文化公報部は「従来「北傀」と呼んでいたのを「北朝鮮」と呼称し、金日成に対する中傷・誹謗を見合わせること」を指示しました。これにより、すべてのメディアと政府の公式広報から「北傀」は消え、「北韓」に替わりました。
 ところがほどなく会話の時間が終わり、対決が再開されると、「北傀」が戻ってきました。

 1980年代の全斗煥、盧泰愚政権当時は、70年代にマスコミで使われ始めた「북한 공산집단(北韓共産集団)」という表現が広く使われたりもしました。
 あの尹東柱と少年時代同窓だった文益煥(ムン・イックァン)牧師(1918~94)は1989年3月訪北して金日成主席と会った人ですが、同年正月「たわごとではないたわごと」という詩で「私は彼らを傀儡とは呼ばない」と叫びましたが、87年6月の民主化宣言後も依然としてそう呼ぶ人は少なくなかったのですね。
 画期となったのは1991年9月、南北の国連同時加盟でした。その後間もない12月13日、南北朝鮮は公式合意書で正式国号(大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国)を使用することを取り決めました。(「南北間の和解と不可侵および交流協力に関する合意書」)
 以後、メディアや政府の公式広報物から「北傀」の語は消えましたが、まだ軍の文書には残っていました。この言葉を放棄すれば「将兵の士気が落ちる」という主張が強かったからです。その軍でも消えたのは、2000年6月の南北首脳会談以降のことでした。「傀儡」という言葉も同月末になくなり、国防部の記事からも2001年8月完全に消えました。
 (※ここまでの記事は→コチラを参考にしました。)

 ・・・以上のような経緯でようやく現在に至ったわけですが、今でもブログ記事等で「北傀」の語はしばしば見受けられます。あるいは、ニュース記事に対する読者のカキコミ。とくに代表的な保守紙・朝鮮日報の北朝鮮関係ニュースの読者評<100字評>欄を見るとごくふつうに目に入ってきます。(下画像)

 [訳] 北傀の手法は、これまで数十年、対南詐欺劇をまことしやかにやってのけても、平然としている。だからこれに一喜一憂してはならない。(以下略)

 このように、保守派の一部で「北傀」の使用者が残る一方で、近年、主に進歩陣営の側から「北韓」という呼称に対する異論も登場してきました。
 それについては次回で。