できることからやるさぁー

2011年04月13日 | 風の旅人日乗
有事の際に、公的なメディアのコラムなどで意見を述べる人たちの存在って、
虚しいね。
誰もが感じている当たり前のことを、さも自分ひとりが憂慮しているかのような、
ちょっと上からの目線で書いたり、さ。

そういう人たちのくだらない文章を読んでいるうちに、
2週間ほど前までの自分自身のブログに
震災に動転して書いた、いろいろなことが恥ずかしくなった。
ワタクシごときが、エラソーに述べなくても、
皆さん一人一人が、もっと深い考察をされているに違いない。
あぁ、恥ずかしい。

日本国中自粛自粛で、
海洋スポーツ関係のワタクシの仕事もまったく暇になったことだし、
今自分ができることを、今やろうと考え、今年2度目の、サバニのメンテナンス。



このサバニが展示されている船の科学館の休館日は毎週月曜日。
休館日にしかサバニのメンテナンスはできない。

世間の皆さんが働いている月曜日、
我々チームニシムラプロジェクトのメンバー3名で仕事を休み
サバニを定位置からよいしょよいしょと引っ張り出し、
カーペットをオイルで汚さないようにブルーシートを敷き、
非常用照明だけの薄暗い館内で、
サバニに黙々とオイルを塗り込む。



このサバニは、沖縄・伊江島の下門龍仁さんが造る、
おそらく最後の一隻になる。
下門さんは、いまは那覇の病院で闘病生活を送られている。

この作業を定期的にやらなければ、
サバニを形作っている木が割れる。
割れた舟は舟でなくなる。
サバニがサバニでなくなる。
一旦そうなってしまうと、
もう元通りに復旧することは非常に難しい。
沖縄の外洋型サバニの最後の1隻になるかもしれないサバニ。

誰もが口先だけでその問題を憂慮することはできるが、
誰かが身を挺して実際に行動しなければ、
その問題は解決しない。
最近日本で起きている何かに似てるね。



東北まで支援物資を届けに行った村橋さんの話や、
息子家族がいわき市にいる深川牡丹町の御仁の話を聞きながら4時間、
今回のサバニのメンテナンスが完了。

お二方、本当にありがとうございました。
日本の古来からの海洋文化を守るという無形のことのために、
時間を作って奉仕活動をしてくれるお二人のお陰で、
このサバニの寿命は、また2ヶ月ほど延びました。
これからもあと百年ほど、一緒に頑張りましょう。

と言いながら、
今週末の日曜日は
チームニシムラプロジェクト『親子で学ぶ海と船の博士塾』の開催日です。
また、よろしくお願いいたします。
今回4月17日の回は、
次回からのセーリング体験を前に
芝生の上で実際の風を受けながら
セールに風をつかまえる練習をする予定。
お近くの方は是非どうぞ。