ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

新型インフルエンザ: 対処方針改定 事実上「新行動計画」

2009年05月24日 | 新型インフルエンザ

新型インフルエンザに対する従来の行動計画は、強毒性の鳥インフルエンザウイルスを前提に作られたものでした。強毒性の新型インフルエンザであれば、国内で最悪64万人の死者が出る可能性があり、その健康被害は非常に甚大となることが予想されるため、国を挙げて厳戒態勢で臨む必要があります。

しかし、今回の新型インフルエンザA(H1N1)は弱毒性であり、症状は通常の季節性インフルエンザに似ており、自然治癒するケースがほとんどで、重症化する例はそれほど多くはないことが分かってきました。そのため、実態に合わなくなってきた今回の新型インフルエンザに対する政府の対処方針が改定されました。

また、世界保健機関(WHO)も今回の新型インフルエンザに対する治療指針を公表しました。慢性疾患合併例や妊婦などの重症化しやすい患者への抗インフルエンザウイルス薬の早期投与を勧めています。

新型インフルエンザに関するQ&A

厚生労働省:新型インフルエンザ対策本部による平成21年5月22日の「基本的対処方針」に関するQ&A

新型インフルエンザは、いずれ数年後に季節性インフルエンザとなって誰でも罹患しうる病気です (日本感染症学会・緊急提言より)

**** 毎日新聞、2009年5月23日大阪朝刊

新型インフル、対処方針改定 

事実上「新行動計画」

 感染の拡大が続く新型インフルエンザに、新たな対策が示された。政府対策本部が22日改定した基本的対処方針は事実上、強毒性のウイルスを前提に作られた従来の行動計画に代わり、今回の新型ウイルスの特性や感染の実態を踏まえた「新行動計画」の意味を持つ。国は自治体の対応に幅広い選択を認める一方、季節性インフルエンザ以上の警戒も求めたが、新方針で社会の混乱を抑えつつ、感染拡大防止を図ることはできるのか。

 ◇独自運用の自治体追認

 「これまで鳥インフルエンザ想定の行動計画に引っ張られ、自治体で混乱もあった。基本的には行動計画にこだわらなくていいと、きちっと書かせてもらった」。内閣官房の担当官は、“脱行動計画”とも言える新たな対処方針の意義を強調した。

 神戸市で国内初の感染者が確認された16日以降、政府や厚生労働省は「弾力的で柔軟な対応を取る」と繰り返してきた。国内で最悪64万人の死者を想定した行動計画が、明らかに実態に合わなかったためだ。対策本部は同日、行動計画の第2段階(国内発生早期)に移行した際、当面の対策として「確認事項」を示した。第2段階の対策の項目の一部を抜き出した内容で、休校措置の対象を限定することも可能にするなど、社会への影響を小さくしようとした。しかし、神戸市や大阪府はこの枠を超え、軽症者の自宅療養など第3段階の「まん延期」に相当する対策を始めた。東京都や川崎市も、感染者が出ても学校の一斉休校などはせず、第2段階で求められた対策でも社会的影響の大きな部分は実施しなかった。新たな対処方針は、行動計画に縛られず独自の運用を始めている自治体の対策を追認したと言える。

 行動計画がなくなったわけではなく、厚労省の担当者は「第3段階への移行は、国際社会へ与えるインパクトなども考慮して判断することになるだろう」と語る。だが、対処方針には、発生初期からまん延の段階までの対応が盛り込まれ、第3段階に入っても使える内容となっており、自治体にとっては対策を大幅に変える必要はない。事実上、新たな行動計画として機能することになる。4月末の発生宣言から、政府が行動計画にとらわれない対応策を打ち出すまで約1カ月かかった。舛添要一厚労相は22日の閣議後会見で、これまでの対応の適切さを強調した。「新型っていうのは(性質が)分からないんです。最初から分かれば苦労はない」【清水健二、内橋寿明】

 ◇糖尿病やぜんそく、重症化防止に力点

 糖尿病やぜんそくなどの慢性疾患のある人が感染すると、重症化する恐れがあるため、政府は重症化防止を対策の柱に位置づける。新たな運用指針で、患者急増地域では(1)慢性疾患を持つ感染者の優先的な入院治療(2)軽症者の家族を持つ慢性疾患者への治療薬の予防投与(3)一般医療機関での慢性疾患者への感染防止--を求めた。

 国内では、これまで死亡や重症化の例はない。だが米国では入院患者の70%にぜんそくなどの慢性疾患や妊娠がみられた。

 米疾病対策センター(CDC)によると、入院した247人のうちカリフォルニア州の30人を分析した結果、▽肺の慢性疾患▽心臓の慢性疾患▽肥満などがあり、5人は妊娠していた。20%は集中治療室でのケアが必要で、13%は人工呼吸器が必要だった。妊婦では症状が急激に悪くなる例もあり、妊娠で肺の動きが抑えられることなどが考えられる。早産もあった。

 押谷仁・東北大教授(ウイルス学)は「重症化例が多発した場合の医療体制を今から考えておく必要がある。特に救急医療や産科医療が維持できなくなっている地域では緊急課題だ」と指摘。国立感染症研究所の岡部信彦・感染症情報センター長は「慢性疾患のある人は大流行前に、症状を管理するため薬などをきちんと用意しておいてほしい」と話す。【関東晋慈、北米総局】

 ◇季節性とは一線「より警戒」は継続

 新型インフルエンザについて、舛添厚労相はこれまで「季節性インフルエンザと変わらない」と説明することが多かったが、22日の記者会見では「まったく同じではない」と言い回しを変えた。新たな対処方針は学校の休校などで自治体に季節性インフルと同様の対応を認めたが、治療や入院、遺伝子検査などでは特別な態勢を続けるよう求めており、重要な部分で一線を画す。

 なぜ新型はより警戒が必要なのか。厚労省は(1)免疫やワクチンがなく感染が広がりやすい(2)糖尿病やぜんそくなど慢性疾患があると重症化しやすい(3)変異して毒性が変わる可能性がある--を挙げるが別の理由としては感染症法の規定がある。

 感染症法は昨年5月の改正で、警戒度が最も低い「第5類」に分類されるインフルエンザと区別して「新型インフルエンザ等感染症」の規定を追加した。感染が疑われる患者の入院や接触者の外出自粛要請は同法に基づく措置だ。厚労省は「毒性にかかわらず、国民に免疫がないことが『新型』指定の条件なので、今回のインフルエンザを季節性とみなすことはできない」と説明する。

 しかし、日本では毎年冬を中心に1500万人前後が季節性インフルにかかり、Aソ連型やA香港型は、遺伝子検査をしなければ新型と区別できない。膨大な患者が発熱外来に押し寄せれば検査も追いつかない。厚労省は「季節性の流行期には、対応を見直す必要がある」と認める。

 実際、多数の感染者が出た大阪では今ですら、新型が疑われる患者だけを抜き出して対応することが難しくなりつつある。発熱相談センターや保健所の電話がつながらず、多くの人が一般の診療所などを訪れているためだ。これを受け高槻市医師会は18日、会員の一般医療機関に、季節性だけでなく新型の疑いがある人も診察するよう文書で要請した。高橋徳副会長は「発熱センターに連絡するよう押し戻せば、たらい回しになる。感染予防をしながら一般診療所などでも診察するしかない」と話す。【渋江千春、清水健二】

(毎日新聞、2009年5月23日大阪朝刊)

****** 毎日新聞・社説、2009年5月23日

新型方針改定 重症化防ぐ手だても

 新型インフルエンザは「恐れ過ぎず、侮らず」という姿勢が、ますます重要になってきた。政府の方針改定に基づき新たに公表された指針の運用にあたっても、そのバランスを忘れないようにすることが大事だ。

 新たな指針では、検疫を縮小し、国内対策に重点を置くことにした。インフルエンザの性質からも、国内で感染が拡大している状況からも、それが妥当な方向だ。地域の状況に応じて柔軟に対策を分けることも、現実的な対応だろう。

 多くの人が軽症で治ることを念頭におけば、感染が拡大している地域で軽症者に自宅療養を勧めることも理にかなっている。学校や保育所などの休業も、効果が期待できる範囲がおのずとあるだろう。

 ただ、ウイルスの病原性が低いからといって、「季節性インフルエンザとまったく同じ対応でだいじょうぶ」と気を緩めるのは早計だ。

 症状が軽くても、これは多くの人が免疫を持たない新型ウイルスである。感染者が増えれば、結果的に重症者も増えるだろう。最終的にどの程度の健康被害が出るか、まだ予測できない部分がある。

 米国のデータでは、高齢者は発病する人も重症化する人も少ない。一方で、入院患者の3割が5~18歳の若者、4割が19~49歳の成人だという。ぜんそくなどの持病のある人や妊婦に加え、健康な人の中にも重症化する人たちがいる。

 この傾向が続くと、日本でも若者や成人に重症者が出るようになる恐れがある。数カ月先まで見越して、重症者の治療体制も今から考えておいた方がいい。

 妊婦を守る対策も重要だ。インフルエンザが疑われる妊婦を感染者が集まる発熱外来に誘導するのではなく、臨床症状に応じて抗ウイルス剤を処方できるよう、医療現場で工夫してほしい。

 侮らないという点で、個人の感染拡大防止策も大事だ。こまめな手洗いはもちろん、せきやくしゃみは手で覆わず、ティッシュなどで覆うことが大切だ。手に付着したウイルスを机やドアノブなどに付けないためだ。症状があったら、学校や会社を休むのも基本だ。

 新型対策の基本方針については、官房長官や厚生労働相らがそれぞれ発言しているだけではない。政府の対策本部には専門家諮問委員会が助言しているが、厚労相はこれとは別に、国内対策について専門家から意見を聞いている。

 多様な意見を聞くことや、迅速な情報提供はもちろん重要だが、政府としての系統立てた意思決定と統一的なメッセージも大事だ。その両方が備わってこそ、国民の信頼感にもつながるのではないだろうか。

(毎日新聞・社説、2009年5月23日)

**** m3.com医療維新、2009年5月22日

新型インフルエンザ

「地域分け」は患者数で一律に線引きできず

政府が新方針、

「医療体制などに応じて柔軟に対応すべき」
と感染研・岡部氏

橋本佳子(m3.com編集長)

 政府の新型インフルエンザ対策本部(本部長:麻生太郎首相)は5月22日、新型インフルエンザ対策について、「基本的対処方針」と「医療の確保、検疫、学校・保育施設等の臨時休業の要請等に関する運営指針」をまとめた(首相官邸のホームページ)

 これまでは政府が定めた「新型インフルエンザ対策行動計画」に基づき、一律な対応を求めてきたが、感染者・患者数に応じて、(1)感染の初期、患者発生が少数であり、感染拡大防止に努める地域、(2)急速な患者数の増加が見られ、重症化の防止に重点を置くべき地域、という2つの地域に分けて対策を講じることが特徴だ。

 ただし、政府の運営指針には、(1)と(2)の基準は明示されておらず、「厚生労働省と相談の上、都道府県、保健所設置市等が判断する」と記載されているのみ。この点について、国立感染症研究所感染症情報センター長の岡部信彦氏(新型インフルエンザ対策本部専門家諮問委員会委員)は、5月22日午後の会見(メディア情報交換会)で、「流行の初期か、まん延地域かの区別は、『感染者が何人以上』などと全国一律に線引きすることはできない。各地域のキャパシティーに応じて柔軟に対応すべき」との見解を示した。「キャパシティー」とは、積極的疫学調査の体制、PCR検査の体制、感染症指定医療機関の数・病床数などだ。

 神戸市などの実態を踏まえ、政府が対応

 政府の「新型インフルエンザ対策行動計画」によれば、現在は第2段階(国内発生早期)。この段階では、積極的疫学調査(患者の行動・臨床情報などの調査と、患者と接触した人の追跡調査)の実施、患者の感染症指定医療機関への措置入院、発熱外来での診察実施など、感染拡大防止のために厳しい対応が求められる。

 しかし、兵庫県や大阪府などでは患者数の増加で事実上、これらの対策が不可能になり、例えば神戸市では既に5月18日から軽症者については自宅静養とするほか、20日から発熱外来以外での患者の診察を始めている。政府の新たな方針は、こうした現状を踏まえ、地域によって柔軟に対応できるようにしたもの。

 (1)の「感染の初期」における医療面での対策は行動計画の第2段階とほぼ同じ。

 (2)の「感染拡大・まん延期」の対策の基本的考え方として岡部氏は、「季節性インフルエンザへの対応、プラスアルファを求めたということ。必ずしも“重装備”を求めているわけではないが、新型インフルエンザの場合は未知の部分もあるため注意は必要」と説明。

 対策としてはまず患者の重症化防止に重点を置く必要性を強調、一方で軽症者については自宅静養を求めている。

 その上で、「対応可能な一般の医療機関においても、発熱外来の機能を果たすとともに、患者の直接受診も可能とする」としている。「発熱外来と言っても、陰圧テントなどを持つ厳重な発熱外来ではなく、求めているのは発熱外来の『機能』。つまり新型インフルエンザ疑いの患者とそれ以外の患者を、スペースあるいは診察時間などで分けるなど、運用面で工夫できる医療機関で対応してほしいということ」(岡部氏)。

 さらに、PCR検査での確定診断は必ずしも必要とはしないとし、患者との接触が強く疑われる人などを優先的に検査すべきだとしている。「患者数が少ないときには、感染拡大の状況などを把握のために正確な患者数を調べることが必要だが、ある程度以上多くなると検査体制のキャパシティーを超える。かつ今回の新型インフルエンザは軽症患者が多いこともあり、新型インフルエンザか季節性かを判断しても治療には相違はない」と岡部氏は述べ、(1)から(2)の段階への移行に伴い、検査体制も季節性インフルエンザの体制に基本的には切り替わるとした。

 こうした運用指針に合わせて、新型インフルエンザの症例定義も改定されている(PDF)

 そのほか、運営方針では、水際対策についても、機内検疫は原則廃止とし、明らかに機内に有症者がいる場合に限るなど、見直しを行っている。

(m3.com医療維新、2009年5月22日)

**** 読売新聞、2009年5月24日2時14分

新型インフル、妊婦などに薬の早期投与を…WHO治療指針

 【ジュネーブ=高田真之】世界保健機関(WHO)は22日、新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)の治療指針を公表した。妊婦などの重症化しやすい患者への抗インフルエンザウイルス薬の早期投与を勧めている。

 WHOには20日現在、41か国から1万人を超える感染者の報告がある。治療指針は、このうち大半を占めるメキシコ、米国、カナダの症例を中心に解析した。

 感染者の約73%は30歳未満。

 症状は、通常の季節性インフルエンザに似ており、自然治癒するケースがほとんどだった。入院が必要になったのは、米国やカナダで約2~5%、メキシコで6%。米国の入院患者とメキシコでの死者の約半数は、ぜんそくや糖尿病などの慢性疾患があったり、妊娠中だったりして、重症化しやすい状態だった。

 指針では、こうした患者の重症化を防ぐため、タミフルやリレンザを早期に投与することを勧めている。

(読売新聞、2009年5月24日2時14分)

**** 読売新聞、2009年5月24日

新型インフル、WHOが治療指針

 【ジュネーブ=高田真之】世界保健機関(WHO)は22日、新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)の治療指針を公表した。妊婦などの重症化しやすい患者への抗インフルエンザウイルス薬の早期投与を勧めている。

 WHOには20日現在、41か国から1万人を超える感染者の報告がある。治療指針は、このうち大半を占めるメキシコ、米国、カナダの症例を中心に解析した。

 感染者の約73%は30歳未満。症状は、通常の季節性インフルエンザに似ており、自然治癒するケースがほとんどだった。入院が必要になったのは、米国やカナダで約2~5%、メキシコで6%。米国の入院患者とメキシコでの死者の約半数は、ぜんそくや糖尿病などの慢性疾患があったり、妊娠中だったりして、重症化しやすい状態だった。

 指針では、こうした患者の重症化を防ぐため、タミフルやリレンザを早期に投与することを勧めている。

(読売新聞、2009年5月24日)

**** NHKニュース、2009年5月23日7時7分

WHO 感染患者治療の手引き

WHO=世界保健機関は、これまでに明らかになった新型インフルエンザの患者のデータを基に初めて治療の手引きをまとめ、慢性の病気がある人や妊娠中の女性など、重症になるおそれのある人には、早めにタミフルなどの抗ウイルス薬を与えることが有効であるなどとしています。

WHOは、今月20日までにメキシコで確認された新型インフルエンザの患者、3700人余りのデータを分析しました。それによりますと、死亡したのは全体の2%に当たる74人で、そのうちの半数近くは、ぜんそくや糖尿病など慢性の病気がある人や妊娠中の女性でした。また、メキシコでは、重症になった人の多くは肺炎から呼吸不全を起こしていて、アメリカに比べ、発症してから治療を受け始めるまでに長い時間がかかる傾向があったということです。WHOは、アメリカをはじめ世界各国のデータが数多く集まり、患者の症状の傾向が明らかになってきたとして、新型インフルエンザの治療の手引きを初めてまとめました。この中では、慢性の病気の人や妊娠中の女性など、重症になるおそれがある人には、早めにタミフルなどの抗ウイルス薬を与えることが有効であるとしています。その一方で、子どもが感染した場合、脳症になるおそれがあるとして、解熱剤の使用はできるだけ避けるよう求めています。WHOでは、今後も新たな情報が明らかになれば、手引きを随時見直していくことにしています。

(NHKニュース、2009年5月23日7時7分)

****** 読売新聞、2009年5月24日

簡易検査すり抜け3割 発症時期で差

…感染研など調査

 新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)かどうかの予備的な判定に多用されている簡易検査キットで、新型なのに「陰性」と誤判定される例が3割前後もあることが、国立感染症研究所(感染研)などの調査で明らかになった。発症からの時間経過によって体内のウイルス量が大きく変わるためで、量がピークになる発症翌日はほぼ問題ないが、発症当日、発症2日後の検査だと、4割前後がすり抜けていた。感染研は「陰性でも簡単に新型を否定すべきではない」と指摘。厚生労働省は時期を考慮して使うよう呼びかけている。

 キットは鼻の奥などから採取した粘液を試験紙にたらし、10~15分後の色の変化でA型(新型、香港型、ソ連型など)、B型のウイルスの有無がわかる。一般的にはキットでA陽性の時だけ、遺伝子検査(PCR検査)に回される。

 感染研によると、PCR検査で新型と確定した神戸市の患者43人のうち、20人(47%)は、キットでA陰性だった。大阪府の確定患者でも、23人中、7人(30%)がA陰性と誤判定。時期別に見ると、発症翌日は13%だが、発症当日と2日後は43%にのぼった。

 西神戸医療センター(神戸市)も独自に調査。確定患者29人中、7人(24%)が誤判定で、発症後24時間以内だと35%、24~48時間なら9%に減った。

 キットは20社以上が発売。どれも同様の特性がある。このため、発熱直後に新型を疑って医療機関に駆け込み、簡易検査が陰性でもあまり信頼できず、翌日に再検査するか、医師が症状などで判断することになる。

 厚労省新型インフルエンザ対策本部は「キットだけで判断は難しく、臨床医の判断に頼る所が大きい。迅速で確実な検出技術の開発が必要だ」としている。

(読売新聞、2009年5月24日)