ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

新型インフルエンザは、いずれ数年後に季節性インフルエンザとなって誰でも罹患しうる病気です (日本感染

2009年05月22日 | 新型インフルエンザ

社団法人日本感染症学会緊急提言より引用

② 新型インフルエンザは、いずれ数年後に季節性インフルエンザとなって誰でも罹患しうる病気です

 今回のS-OIV(swine-origin influenza A H1N1)が出現・流行する以前のわが国では、来るべき新型インフルエンザでは高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)がいずれヒト-ヒト感染性を獲得して主役をなすという想定が支配的であったことや、数年前のSARSで被害が甚大であったことの影響から、どのようなものが出現しても新型インフルエンザは死亡率の高い感染症であり、可能な限り罹患を避けるべき疾患であると大多数の国民から思われてきました。しかし、過去のどの新型インフルエンザでも、出現して1~2年以内に25~50%、数年以内にはほぼ全ての国民が感染し、以後は通常の季節性インフルエンザになっていきます。現在流行している香港かぜもこのようにして季節性インフルエンザとなった歴史を持っており、今回のS-OIVもやがては新たなH1N1亜型のA型インフルエンザとして、10年から数十年間は流行を繰り返すと見込まれます。すなわち、今回の新型インフルエンザ(S-OIV)の罹患を避けることは難しいのです。例えば、1957年のアジアかぜ出現時、全国の保健所職員と家族を調査したところ、同年5月から7月の第1波で26%、9月から11月の第2波では30%が罹患したことが明らかにされています。アジアかぜの流行が始まってからわずか半年間に56%が罹患発病したのです。特に、小児では80~90%が罹患したことも分かっています。しかし、アジアかぜはその後通常の季節性インフルエンザとなり、1968年の香港かぜに代わるまで毎年流行しました。その香港かぜも最初は新型でしたが、今では季節性インフルエンザとなっています。

(以上、社団法人日本感染症学会緊急提言より引用)

****** 読売新聞、2009年5月21日

流行小規模でも油断禁物

…インフル対策、医師向けに緊急提言

 日本感染症学会は21日、医師や医療関係者向けに新型インフルエンザ対策の「緊急提言」を発表した。

 今後のまん延期に備え、各医療機関が準備を怠らないよう呼び掛けている。

 提言は8項目にまとめられ、「最初の流行が小規模に終わっても油断しない」「重症例は細菌性肺炎を併発しており、高齢者には肺炎球菌ワクチンの投与が有効」などと助言。このほか、「数年後に感染者は高齢者中心に移行する」「数年後にはほぼ全国民が感染し、季節性インフルエンザの一種となる」といった予測も盛り込んだ。 (読売新聞、2009年5月21日)

****** 毎日新聞、2009年5月22日

新型インフルエンザ:全医療機関で診察態勢必要

--感染症学会提言

 新型インフルエンザの発生を受けて日本感染症学会(理事長、岩本愛吉・東京大医科学研究所教授)は21日、国内の全医療機関が新型インフル患者の診察を行える態勢を取るよう求めた緊急提言を発表した。「まん延期には、通院患者からも新型インフルエンザの患者が多数出てくると予想され、診察を避けることはできない。すべての医療機関が対策を構築しないと、助かるべき多数の患者が助からない」と訴えている。

 提言では20世紀に起きた3度の新型インフルエンザの世界的大流行(パンデミック)で、国内ではいずれも2回の流行があったと指摘。国内の死者はスペイン風邪(1918年発生)で48万人、アジア風邪(57年発生)、香港風邪(68年発生)で4万~7万人と明記した。【関東晋慈】 (毎日新聞、2009年5月22日)

**** m3.com医療維新、2009年5月21日

新型インフルエンザ 日本感染症学会が緊急提言

「全医療機関が対策を行うべき」「国のガイドランは水際撃退作戦を想定したもの」と指摘

 日本感染症学会は5月21日、「一般医療機関における新型インフルエンザへの対応について」と題する緊急提言をまとめた(提言はこちら)。

 提言ではまず新型インフルエンザの臨床的重症度について、季節性インフルエンザと同程度とされるものの、CDC(米疾病対策センター)の報告を引用し、「今回の新型インフルエンザは、現時点でも軽症であるとは言い切れない」としている。CDCの報告では、4月15日から5月17日までの間に、米国カリフォルニア州では5%以上が入院し、その5分の1(全体の1%)はICUでの治療が必要になったとしている(CDCのホームページはこちら)。

 ただし、新型インフルエンザを恐れる必要はなく、まん延期にはすべての医療機関が対応するよう求めた。新型インフルエンザの内外の流行状況を踏まえ、「N95マスクやゴ ーグルなどを使用する必要はなく、サージカルマスクと手洗いを原則した感染防止策で臨めば問題ない」とした。

 さらに、厚生労働省の新型インフルエンザ対策ガイドラインを問題視しているのも特徴だ。「ガイドラインは、高病原性鳥インフルエンザを想定した、かつ水際撃退作戦を想定 した行政機関向けのものであり、まん延期では一般医療機関における対応は当然異なってしかるべき」とした。医療機関が「検疫で行われているような防護服に代表される対策を目の当たりにして、われわれの病院では新型インフルエンザ対策は困難なので、対応しない」と受け止めることを懸念。また、発熱相談センターや発熱外来は、「水際対策としては有効だが、患者が多数発生すれば対応しきれない。流行の各段階に応じて対応を変える実際的な方策が必要」と指摘している。 (m3.com医療維新、2009年5月21日)

**** NHKニュース、2009年5月22日9時57分

政府 柔軟な対応へ

政府は新型インフルエンザ対策本部を開き、患者の発生状況に応じて地域を2つに分け、急速な患者数の増加が見られる地域では、症状が軽い人の自宅療養や一般の医療機関での診療を認めるなど柔軟な対応をとることになりました。

会議の冒頭、麻生総理大臣は「感染の状況は地域によって偏りがある。急激に感染者が増えた一部の地域では、医療機関の対応に困難が生じているとも聞いている。地方自治体が地域の実情に即した柔軟な対応をとれるようにすることが重要だ」と述べました。そして、会議では国内での感染の動向を踏まえた新たな対処方針を決めました。この中では、新型インフルエンザの患者の多くは、症状が軽いまま回復しているなど季節性のインフルエンザと類似する点が多い一方、糖尿病やぜんそくなどの慢性の疾患を抱えている人を中心に症状が重くなることがあると指摘しており、国民生活や経済への影響を最小限に抑えるため、地域の実情に応じた柔軟な対応が必要だとしています。そのうえで、▽情報収集や国民への迅速で的確な情報提供を行うとしているほか、▽患者が出ている地域の人たちに外出の自粛は要請しないものの人込みをなるべく避け、手洗いやうがい、込み合った場所でのマスクの着用などを呼びかけるとしています。さらに、▽コンサートなどの集会やスポーツ大会などについては、一律に自粛の要請はせず、主催者側に感染の広がりを考慮して開催の必要性を検討してもらうなどとしています。一方、舛添厚生労働大臣は、対処方針に基づく具体的な「運用指針」を決めました。それによりますと、「急速な患者数の増加が見られる地域」と「患者の発生が少ない地域」の2つに分け、大阪府や兵庫県のように、急速な増加が見られる地域では、症状が軽い人は自宅での療養を認めるとしています。また、患者の診療については、指定医療機関の「発熱外来」だけでなく、入り口や時間帯をわけるなど、ほかの患者に感染しないよう最大の注意を払ったうえで、一般の医療機関でも認めるとしています。さらに、学校や保育施設については、季節性のインフルエンザと同様、患者が多く出ているところでは、それぞれの施設の判断で臨時休業や学級閉鎖などの措置をとるとしています。一方、患者の発生が少ない地域では、感染拡大の防止に重点を置くためこれまでと同じように患者は入院させ、感染が疑われる人の診療も「発熱外来」で行うとしています。また、児童・生徒が感染した場合は市区町村の一部や全部、場合によってはその都道府県全体で学校を臨時休業するよう要請し、状況を見ながら1週間単位で対応を検討するとしています。このほか、空港などでの水際対策は、事前にインフルエンザの症状が出ている乗客がいるという通報があった場合は、状況に応じて機内検疫を行うものの、それ以外は健康状態の把握に重点を置いた検疫に切り替え、患者の周辺に座っていた人たちの停留措置も行わないとしています。 (NHKニュース、2009年5月22日9時57分)

**** 読売新聞、2009年5月22日14時11分

一律機内検疫は終了、休校措置も緩和

…政府が新方針

 政府は22日午前、首相官邸で新型インフルエンザ対策本部(本部長・麻生首相)の会合を開き、新たな「基本的対処方針」を正式に決めた。

 全国一律の対応から、感染拡大の度合いに応じて地域ごとに二つの分類で対応する方針に転換し、患者急増地域では一般病院での診療や学級閉鎖などクラス単位での対応を認めるなど従来の対策を緩和した。米本土などからの旅客便で一律に実施してきた機内検疫は終了する。

 新たな対処方針は、今後の対策の目標を、〈1〉国民生活や経済への影響を最小限に抑えつつ感染拡大を防止する〈2〉基礎疾患のある人などの感染・重篤化を防ぐ――の2点とし、詳細な対応策は厚生労働相が定めた「運用指針」に盛り込んだ。具体的には、患者が少数の地域では感染拡大防止に重点を置き、従来の対策を踏襲する。感染者は全員を感染症指定医療機関に入院させ、濃厚接触者にもタミフルなどを予防投与する。学校・保育施設などの休校要請は市区町村単位とする。

 これに対し、急激に患者が増えている地域では、重症者や基礎疾患を持つなど重症化の恐れのある患者の治療を優先する。十分な病床を確保するため、一般の医療機関でも診療などを認め、軽症者の自宅療養もできるとした。休校も効果が薄いとして、患者がいる学校・保育施設単位で設置者が判断するとし、学級閉鎖も認める。個別の自治体をどちらの地域に区分するかは、都道府県などが厚労省と協議し、判断する。

 水際対策は大幅に縮小する。メキシコ、米本土、カナダからの旅客便を対象に一律に行ってきた機内検疫は22日午前で終了し、原則として空港内検疫に切り替える。 (読売新聞、2009年5月22日14時11分)

**** 朝日新聞、2009年5月22日13時36分

新型インフルに地域区分、休校は各校判断 

政府が新指針

 政府は22日、新型インフルエンザ対策本部の会合を首相官邸で開き、国内での感染拡大を踏まえ、対処方針を改定した。症状が季節性インフルエンザと似ていることから対応を弾力化。発生地域を拡大状況に応じて二つに分け、患者の急増地域では学校単位で臨時休校できるようにする。一般病院での受診や軽症患者の自宅療養も認める。機内検疫は原則取りやめ、水際対策は縮小する。

 新しい対処方針によると、新型インフルエンザでは、糖尿病やぜんそくなど基礎疾患を持つ人を中心に、症状が重くなって死亡する例があることを指摘。今後、国民生活や経済への影響を抑えながら、特に基礎疾患を持つ人への感染防止に重点を置き、「地域の実情に応じて柔軟に対応する必要がある」と明記した。

 具体策は、厚生労働省の運用指針で定めた。発生地域を(1)患者発生が少なく、感染拡大防止に努めるべき地域(2)患者が急増し、重症化の防止に重点を置くべき地域――に区分し、(1)の地域はほぼ従来通りの方針で対応するが、(2)の地域は対応を大幅に緩和する。厚労省と相談のうえ、都道府県などがどちらの地域とするか判断する。

 (2)の地域で、学校・保育施設に患者が多数発生した場合は、通常の季節性インフルエンザと同様、県や市など設置者の判断で臨時休校・休業措置をとれるようにする。塩谷文部科学相は22日の閣議後の記者会見で、学級閉鎖も「実情に応じてありえる」と述べた。修学旅行については「自粛を求める状況ではない」とも語った。

 対策本部で麻生首相は「自治体が地域の実情に即した柔軟な対応をとれるようにすることが重要。ただ、今回の新型インフルエンザの特性から、対策の基本は感染拡大を防ぐこと、基礎疾患のある方々の重篤化を防ぐことであることは忘れてはならない」と述べた。

 舛添厚労相は22日の閣議後の記者会見で、「感染初期の段階と(患者が急増した)大阪、兵庫は違う。きめの細かい対応の違いを示した。現場からの情報が一番貴重で、それが判断基準になる」と述べた。

(朝日新聞、2009年5月22日13時36分)

**** 朝日新聞、2009年5月22日3時2分

新型インフル、57年以前生まれには免疫? 

CDC見解

 【ワシントン=勝田敏彦】新型の豚インフルエンザの感染者に若い人が多いのは、1957年より前に生まれた人の一部には免疫があるためらしい。そんな見方を、米疾病対策センター(CDC)インフルエンザ対策部門のジャーニガン副部長が20日、会見で明らかにした。

 同副部長によると、スペイン風邪の流行が始まった1918年以降、世界で流行していたのはH1N1型。アジア風邪の流行が始まった57年以降、H2N2型が流行するようになった。

 今回の新型ウイルスは、57年まで流行していたウイルスとはかなり異なるが、H1N1型。中高年の人の血清を調べたら、今回の新型に対しても何らかの防御反応性があることがわかったという。

 中高年の人に何らかの免疫があるとすれば、新型対応ワクチンが使用可能になった場合、若い人を中心に接種していく方法も考えられる。

 一方、18日付のCDC報告によると、カリフォルニア州で入院した30人のうち、19人に何らかの持病があった。慢性の肺や心臓の病気、糖尿病などが多かったが、肥満も4人いた。米紙ワシントン・ポストによると、CDCの担当者は肥満の人もワクチンの優先接種者の候補にすることを検討しているという。

(朝日新聞、2009年5月22日3時2分)