オリオン村(跡地)

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飛んで八丈島

2011-05-26 02:10:53 | 日本史

 

今日は振替休日を取って、八丈島に日帰りで行ってきました。
正直なところ守備範囲的に八丈島には見るべき史跡はあまり無いのですが、心の洗濯を兼ねての旅立ちです。
陸マイラーとして球場周辺で稼ぎまくったANAマイルが17万を越えて、そのうち来年の1月に5万マイルが有効期限切れとなることで飛行機でしか行けないところに行こうと思い立ち、沖縄や北海道に先駆けての第一弾としての八丈島です。
一日に三便しかないため、会社に行くよりも早起きをして朝の便で八丈島に入り、夕方の便で帰ってきました。
昨日までが雨、そして明日からまた天気が下り坂の中で、今日はピーカンでしたので四国旅行で失墜をした晴れ男の復権です。

10年以上前の米国出張、そして昨年から今年にかけての中国出張と仕事以外で飛行機に乗ったことがありませんでしたので、特典航空券ではありながらも自腹を切っての飛行機は初めてですし、つまりは国内線に乗るのも初めてということです。
ですから乗り慣れている方からすると失笑ものでしょうが、どうしても写真を撮ってしまいます。
それにしても国際線とは違って搭乗手続きが楽なのには驚きましたし、事前予約をしておけば携帯電話だけで済むのは日本ならではなのでしょう。
iPhoneを持ちながらもガラケーを手放せない理由は、おサイフケータイともどもこういった利便性に他なりません。

乗ってしまえば八丈島まで1時間もかからず、まさにあっという間です。
行きはやや興奮気味だったものの帰りは早起きによる寝不足で離陸にさえ気づかずの爆睡で、ようやくに着陸の衝撃で目が覚めました。
そして八丈島は東京都ながらも伊豆国立公園、そして南国の雰囲気を漂わせつつ不思議な風情で疲れた中年を出迎えてくれました。

八丈島での足は電動アシスト自転車で、一日で2500円という相応のお値段でした。
風力発電でバッテリーを充電するというのが八丈島観光協会のエコの売りで、それっぽいものがぐるぐると回っているのは壮観ですが、ちょっとうるさかったです。
ちなみに八丈島はかなりアップダウンがあるため、レンタカーを借りるのであればまだしも、レンタサイクルであれば若さと脚力に自信がある方以外は電動アシスト自転車でなければ無謀だと、これは今日の経験を踏まえて力一杯に主張をしておきます。
また飛行場の出口が市街地と逆方向にあるため、レンタサイクルに行き着くまで30分は歩かなければならないことを念頭に置いて計画を立てることをお奨めします。

私にとっての八丈島は宇喜多秀家の終焉の地であり、まずそれが目的でした。
関ヶ原の戦いで敗れた宇喜多秀家は各地に潜伏をするものの、最終的には捕らえられて八丈島に流されます。
西軍の副将でしたので本来であれば斬首をされてもおかしくはありませんでしたが、正室の実家である前田家や最後の潜伏先であった島津家への配慮もあって死罪は免れて、遠島という扱いで嫡男、次男とともに罪人として送られました。
その宇喜多秀家は83歳という長寿を保ち、そのときは既に徳川家光の世だったのですから驚きです。
ちなみに左の卒塔婆の形をした石塔が当時の墓碑だったとのことで、説明板にもその旨の記載がありました。
宇喜多家は明治維新まで八丈島で過ごすこととなりましたので一族の墓所、菩提寺もどこかにあるはずなのですが、これは事前リサーチ不足で見つからずじまいです。

次は八丈島歴史民俗資料館です。
宇喜多秀家の資料があるとのことで期待をしていたのですが、正直なところ期待はずれの展示しかありませんでした。
むしろ本拠があった岡山の写真の方が多いぐらいで、流人ということもあって八丈島にはあまり資料が残っていないのかもしれません。
また教科書ではよく見た高床式倉庫が敷地内にあり、しかも再現ものではなく当時からのものとのことで、むしろこちらの方がインパクトありました。
もっとも江戸時代後期のものらしく、高床式倉庫と言えば中世のものかと思っていただけに意外な感じがあります。

そして宇喜多秀家と、正室である豪姫の像です。
さほど大きなものではなく、また幼少時をモチーフにしたもののようですから台座の大きさとのバランスの悪さもあり、ちょっと違和感すらあります。
説明板によれば岡山の方向を向いているらしく、それって八丈島の島民からすればどうよと、思わずそう突っ込みたくなりました。

史跡めぐりとしての八丈島は以上終了で、ここからは自然と相対する刻が始まります。
八丈島は瓢箪の形をしており、北に八丈富士、南に三原山が鎮座をしています。
その周辺をぐるっと舗装をされた道路が囲んでいますので、まず北側を時計回りに、そして南側を逆時計回りに巡って八の字を描くようにペダルを踏み込んできました。

左から八丈富士、八丈島の西にある八丈小島、そして島の北端にある大越鼻灯台です。
この八丈富士には登れるようなのですがサンダル履きだったためにパス、八丈小島は無人島でバトルロワイヤルのロケ地にもなったそうで、また大越鼻灯台の先に見える水平線は地球の丸みを感じられるものとの説明がありましたが自分には無理でした。
この北部は登ったと思えば下るの繰り返しで、それこそ登っているのか下っているのかがペダルの重みでようやく分かるという錯覚に陥りがちな道が続いています。
ただこの北部が楽であったことは、次の南部で思い知らされることになります。

南部はとにかく登り坂がきつく、正直なところ途中で失敗したと後悔をしたぐらいです。
観光協会の方からも普通は南端の末吉温泉まで行って戻ってくると言われており、結局はぐるっと回って帰ったら驚かれました。
それもこれも今日は男湯が露天風呂だったみはらしの湯で30分ほどではありながらも体を休めたからこそだと、やはり温泉は偉大です。
これが無かったら挫折をして、もと来た道をすごすごと帰ったであろうことは想像に難くありません。

頑張ったご褒美が登龍峠からの眺望です。
実際は登龍峠も下り坂の途中でしたので道なりで一番高い位置ではないのですが、快晴であれば三宅島も見えるとのことで絶景でした。
それにしても自転車で標高300メートル以上を登ったことになり、ちょっと誇らしく思ったのが正直なところです。
そしてここからは一気に5キロほどの下り坂が続き、風を切るようにかなり快適に走り下りて登りの苦しさを忘れるぐらいでした。

この登龍峠からの下りはカーブが多かったのですが、特に北部では一直線の登り、下りが多くてスピード感覚を失いそうになりました。
これだけ真っ直ぐな道は初めてかもしれず、この風を切る爽快感は何とも言えない楽しさがありました。
平日の昼間ということもあるのでしょうが走っている車も少なく、まるで自分の占有道路のような感じで走れたこともよかったのだと思います。

自分がどこにいるのかを忘れそうな景色もここそこにあり、とても5月とは思えない陽気も手伝って南国気分でした。
ハイビスカスを映像以外で見たのは初めてですし、圧倒的なアロエの大群には気持ち悪ささえ感じました。
どうやら時期的にアロエの花が咲いていなかったのが残念ではあったのですが、鉢植え以外のアロエを見たのもこれまた初めてですので滅多にできない経験ではあります。

そして地方では珍しくはないのかもしれませんが、ここが都内であることを考えれば丸い郵便ポストや公衆電話は久しぶりに見た気がします。
何ともほのぼのとした感じがある、と言ってしまうと失礼かもしれませんが、思わずどこかで出すつもりで財布に入れていた懸賞ハガキを投函してしまいました。
これで当選でもしてくれれば八丈島さまさまです。

快調だった八丈島での旅ですが、もちろん誤算もありました。
旅と言えばグルメがつきものですが、八丈島は「あしたばうどん」と「島寿司」だと決めて、それぞれ「一休庵」と「あそこ寿司」と食べる店まで決めていました。
しかし前者は休業状態で後者は場所が分からずと散々な目に遭い、計画はもろくも潰えるという最悪の結末です。
それならば次善の策として用意をした八丈島空港で食べるというプランも、帰りの飛行機を待つ時間帯でと考えたことから悲劇が待っていました。

冷静に考えれば八丈島空港としての最終便に乗る予定だったのですから、早々に売り切れとなるのは当然と言えば当然です。
北部から戻ってきたときに昼食にとも思ったのですが、一度に両方であれば夕食にした方がよいと考えたのが間違いでした。
お土産としての島寿司も売り切れていましたし、おそらくは八丈島に来ることはもう無いと思いますので、一生味わうことのないグルメとなったことで悔いが残ります。
やはり思い立ったら吉日だと、そう痛感をした食べ物の恨みです。

お約束のお土産は、八丈島の文字が入った湯飲みと貝殻詰め合わせ、宇喜多秀家のライターとステッカーです。
まるで中学生が観光地の名前が入ったペナントを買うような単純さですが、まあこれも一つの旅の楽しみですから気にしないことにします。
くさやにかなり興味がありつつも冒険に過ぎると思いとどまったことが、吉と出るか凶と出るかは今後次第です。

そして今日の走行記録です。
高知では70キロ以上を走りましたので距離的には劣っていますが、アップダウンを考えれば最長不倒と言ってよいでしょう。
ちょっと気がかりなのは行きの機内で荷物を頭上の収納に入れようとしたときに後ろを強引に通ろうとした人を避けようと無理な体勢になって捻った左膝で、ペダルを踏むのに違和感はなかったのですが、しかし歩いたり階段を降りたりして体重が膝にかかるときに鈍い痛みがあります。
一昨年に高知でこけたときも大丈夫かと思っていたらなかなか痛みが引かなかったために自宅に戻ってから病院に行ったら左手首と尾てい骨が折れていたということもありますので、あまりにホットな箇所だけに妙なことになっていないことを願うばかりです。

 

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11 コメント

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八丈島の思い出 (なしもぎ)
2011-05-26 07:39:56
興味深いお話ありがとうございました。私が仕事で八丈島に滞在した際は、まず羽田からの飛行機がプロペラ機で驚き、仕事の合間に泳ごうとしたら海では泳げないのでホテルのプールを紹介されました。夜は得意先の社長が自宅の庭で山羊の鍋とオープンスペースでくさやを気兼ねなく焼いてご馳走して頂きました。初めての味わいにこれまた驚きでした。島の至るところで出会ったハイビスカスの花がとても印象的でした。
もう10年以上前の話です。
オリオンさんのように島の探訪が出来なかったのが今思えば残念です。
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ありがとうございます (おやひな)
2011-05-26 08:14:33
おはようございます。
期待どおりのエントリ、楽しく拝見しました。
私は日本史には疎いので、宇喜多秀家の部分はほぼスルー(すみません)でしたが、サイクリングやお土産など、いい休日だったようですね。
何よりも年始の中国出張から始まった激務の疲労のいくばくかでも癒されたのではと村民として願わずにいられません。
今日は本当に成瀬なのか、それともビッグサプライズがあるのかわかりませんが、八丈島の癒し効果で切れ味を増すであろう今夜(明朝?)のエントリを楽しみにしています。
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Unknown (JF)
2011-05-26 09:04:30
お仕事お疲れ様です。
度々八丈島への旅立ちは予告されていたのに、週のど真ん中の水曜日に行かれるとは思いもよらず面喰いました(笑)。
それはともかく、私も離島への旅行が好きでありながら伊豆諸島には行ったことがありません。
八丈島含め、伊豆大島などへも行ってみたくなりました。
もっとも羽田からしか空の便がないようなので、今は縁がなさそうですが…。
とりあえず、来月小豆島へ渡ってみるつもりです。今住んでいるところこからフェリー乗り場までやたら近いうえに八日目の蝉のロケ地ということで、タイミングも丁度いいかと。
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Unknown (アナバコリア)
2011-05-26 15:39:27
私も行ってみたいです^^これからも情報楽しみにしています。
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初コメントです。 (ブルーボーイ)
2011-05-26 15:58:15
ぜひ行ってみたいです!!!
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行動的ですね~ ()
2011-05-26 17:38:04
好天に恵まれたようで、良かったです。
アシストつき自転車とはいえ、半日で70キロ近くも走破したとは驚きました。
激やせされたのでは?
数ある写真(一瞬、無人島かと、笑)のなかで最も心動かされたのは、売切の表示が灯る食券売機の写真です。
これは、切ないなぁ‥。
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お返事 (オリオン)
2011-05-26 23:25:24
>なしもぎさん
会社の同僚にも2席×2で狭いよと言われましたが、ANAでは3席×2のジェットでした。
平日にも関わらず行きは満席で、八丈島は人気スポットかも(笑)
仰せのように海岸線は溶岩ばかりで砂浜はありませんでしたので、海水浴場ではないのでしょう。
代わりにダイビングが盛んのようで、あちらこちらでそれが目的のペンションがありました。

>おやひなさん
お気遣いありがとうございます。
精神面では癒されましたが、肉体面では筋肉痛に襲われています。
また油断をして日よけ対策をしなかったために、今はプチ熱中症に苦しみ中・・・

>JFさん
逆に言えば週末が準備、土曜日が出社、週明けは立ち会いなので、水曜日しかないという話も(笑)
小豆島へフェリーですか、いいですね。
実は私も隠岐や佐渡などの離島へのフェリーを計画しているのですが、どうにも乗り物酔いが不安で・・・

>アナバコリアさん
次は沖縄、北海道、北東北、北陸のどれかの予定ですので、あまり期待をせずにお待ちください。

>ブルーボーイさん
ダイビングなどの特定の目的がなければ何度も行くところではないとは思いますが、自然がたっぷりで癒されます。
機会があれば是非ともお奨めします。

>雅さん
しかも目当てのグルメを抜いて飲まず食わずでしたので、一日で2.5キロほど減りました。
そして仰せのとおり、券売機の前で立ち尽くした自分がいます・・・
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八丈島 (若様)
2011-05-27 05:44:55
昔、行った事がありますが、「近くて遠い」、「遠くて近い」場所ですよねw
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宇喜多といえば… (歴女)
2011-05-27 18:30:44
日帰りとはいえ、旅に出るのはよいですねえ。
宇喜多秀家、前田家の援助で、結構のほほんと過ごして長生きだったようですね。
以前、宇喜多家のご子孫がテレビに出ていましたが、船橋あたりに在住だったような…。
姓もちょっと変わっていましが、江戸期中ずっと続いた前田家からの援助を記した古文書が披露されていました。
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驚き (じりじり)
2011-05-28 07:41:06
八丈島に日帰りで行けるなんて知りませんでした。
オリオンさんの文章が読みやすいこともあり、行ったことのない自分も追体験できました。
失礼ながら、お土産のステッカーには笑ってしまいました。
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