オリオン村(跡地)

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人類資金

2016-08-25 00:24:02 | 読書録

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全7巻、大作でした。
ただ最終巻こそ700ページを超えましたが他は200ページちょっと、もっとまとめられたように思います。
6巻までは月イチペースで書いたら出す、といったやり方だったものが最終巻は1年以上ものブレイクでファンをやきもきさせて、それがゆえにその冒頭にあらすじが書いてあるという構成は出版方針が出たとこ勝負、とにかく前に進むといったものだったということなのでしょう。
完結前に映画化がされたのも「話題となっているうちに」との商売根性が見え隠れして、作品としての質を押し下げる要因にもなっています。

M資金、と言えばそれに絡んだ詐欺事件を噂された大物俳優の猟銃自殺がまず浮かびましたが、その程度の知識でしかありません。
そのM資金を管理する財団、日米の綱引きをメインストーリーに貨幣経済の限界、戦後から綿々と続いてきた「ルール」に挑む主人公たちを描いています。
しかしミステリーと言うよりは経済小説の側面が強く、実体のない数字だけが踊り景気浮揚の実感のないアベノミクスをさりげなく批判し、作者の政治信条が透けて見えたりもします。
それはさておきクライマックスこそ手に汗握る展開はスピーディーでしたが、全体的には冗長感が否めません。
とにかく主人公だけではなくメインどころの登場人物にまでその生い立ち、背景、思想、信条がこれでもか、これでもかと本人の独白といった形で繰り返されます。
あるいは走りながら構想を練っていたからなのかもしれず、それであれば数年後に贅肉を削ぎ落とした改編がされて再出版がされるかもしれません。
まずまずは面白かったもののくどい贅肉と、あまりに性善説に則ったオチ、そしてオカルトチックな神の手などげんなりとした箇所も少なくはなく、全体としての評価はこんなものです。
そんなこんなでやはり独白が多くて映画化が不安視をされた64(ロクヨン)と同じく主人公が佐藤浩市なのは単なる偶然か、原作とは違ったのであろうオチはどんなものだったのか、と怖いもの見たさで気にならないでもありませんが、しかしその映画を観るつもりはありません。


2016年8月24日 読破 ★★★☆☆(3点)


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