脳男 |
映画化もされた江戸川乱歩賞受賞作ですが、その映画は興味はあったもののタイミングが合わずに観ていません。
それでも幕間の宣伝映像は印象に残っており、生田斗真のアクションシーンが目白押しでしたのでそういった色合いのミステリーだと思っていました。
しかし読んでみればどうやったらこの作品をエンターテイメントに仕立て上げられるのかが不思議な内容でしたし、見落としでなければタイトルであり、また映画で石橋蓮司が「私は脳男と呼んでいました」の脳男が一度も、どこにも出てこなかったのも、その盛り上がりの少なさと合わせて消化不良気味だったのが正直な感想です。
人はなぜ人なのか、感情とは何なのか、何を持って人は他人と区別がされるのか、そんなやりとりがかなりのボリュームを占めています。
どこか小説と言うよりは解説書を読まされている、そういった感覚がありました。
主人公、と言っていいのかいわゆる脳男の謎を追う、という意味では確かにミステリー仕立てではあるのですが、善とは何か、悪とは何か、など哲学的な側面がかなり強いです。
伏線か、と思われたところも拾いきれずに次回作を乞うご期待、といった終わり方も気に入らず、しかしこうなったら毒を食らわば皿まで、せっかくですので二作目にもチャレンジです。
2014年1月30日 読破 ★★★☆☆(3点)