弁理士の日々

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永井陽之助まな弟子対決

2010-11-04 21:33:46 | 歴史・社会
先日、永井陽之助先生で記事にしたように、吉井俊夫さんと私とは東工大時代の永井陽之助教授でつながりがあることが分かりました。
そして同じ記事で書いたように、管直人首相とみんなの党の渡辺喜美代表も、永井陽之助教授とつながりがあるというのです。今年の6月に国会の場で議論になったといいます。例えば以下の記事です。

首相と渡辺氏が永井氏めぐり“まな弟子”対決
2010.6.14 20:34
『衆院本会議の代表質問で菅首相に向かって指をさす、みんなの党の渡辺代表=14日午後 菅直人首相が頻繁に取り上げている政治学者の故永井陽之助氏をめぐり、14日の衆院本会議では、首相と同じく永井氏の薫陶を受けたみんなの党の渡辺喜美代表が取り上げ、さながら“まな弟子”対決を演じた。
首相は東京工業大在学中、永井氏の授業に出席。卒業後も交流を重ね、恩師と仰いでいる。今月の民主党代表選や国会での所信表明、街頭での演説では、現実主義者として知られる永井氏の代表作「平和の代償」を挙げ、「外交は内政だ」と訴えてきた。
一方の渡辺氏はホームページで、早稲田大在学中、東工大に通い永井氏の授業を聞く「モグリ学生」だったことを告白。「永井政治学はその奥の深さと文章の華麗さでわれわれを魅了した」と敬愛してやまない。
その渡辺氏は14日の代表質問で、「永井先生は憲法9条について『改正すべきです』と答えた。首相はどう思うか」とただした。渡辺氏より6歳年上の首相は「永井先生とは長く親しくさせていただいた」と述べ、「兄弟子」の自負を強調。ただ、「憲法9条そのものを題材にした議論はしたことはない」とはぐらかした。
2人が永井氏をめぐって論戦した中、若手の民主党幹部からは「永井さんて、だれ?」との声も漏れる。昭和40年代に論壇をにぎわした現実主義者も、民主党では完全に過去の人のようだ。』

私と永井陽之助教授との関わりは、昭和42年(1967年)に大学学部1年の授業で講義を聞いた程度であり、今では教わった内容も断片的にしか覚えていません。
それに対して大学で私と同学年の吉井さんは、私よりはるかに濃密に永井先生の薫陶を得ています。こちらでご自身が以下のように紹介されているとおりです。
『3年生ときに「総合講義第二」という題目で少人数(10名程度)のゼミ形式授業があり、永井教授の授業をとった。単位の面からは他の通常の講義をとれば問題ない。これは特に関心をもつ学生に門戸を開放する試みであろう。
 4年生でも続けて出席した。どちらの学年で単位をとったのか覚えていないが。このゼミ形式授業で「永井政治学」に親しみ、多くの話を聴くことができた。また、セミナーハウスでの合宿などで議論もできた。』
『特に4年生では社会人、慶大・神谷不二研究室の学生などもきていて数名は外部からの贋学生であったと思う。現在は大学間交流、社会人入学などでこれも制度化されているが当時は珍しかったかもしれない。専門家の卵に自らの研究をバックグランドとした話を展開されると、チョットそこまではと思いつつ聞き役に回ってしまうのが、工学部学生の「趣味の限界」か、とも感じた。』

渡辺喜美氏は私より4歳年下ですから、渡辺氏がモグリ学生で東工大の永井教授の授業に参加したのは、吉井さん4年生のときよりもさらに後の時代でしょう。

管直人首相、渡辺喜美代表、吉井俊夫さん、そして私をつなぐ永井陽之助教授ですが、いったいどのような業績を上げた学者なのでしょうか。

私が永井教授の授業を受けた1967年頃は、著書「平和の代償」で颯爽と登場し、脚光を浴びていました。その「平和の代償」ですが、図書館で借りて現在読み直しているところです。まず第1に、一読して内容が理解できるような平易な内容ではありませんでした。私もこの歳になって、毛沢東中国、キューバ危機、ベトナム戦争などの知識を仕入れています。まず何よりも、「平和の代償」で未来を予測していたその“未来”に何が起きたのかをすでに過去の事実として知っています。それでも、“これはもう一度読み直さないと自分のものにならないだろう”と思われる一方、“40年後の現在でも色あせない示唆に富んでいる気がする”という印象を得ました。

永井教授は当時、「新現実主義の政治学者」として有名でしたが、その後永井教授の論説を目にする機会がなくなりました。総合月刊誌などで名前を拝見することもありません。ですから、ここ30年ほどはどのような活動をされていたのか知らないのです。
吉井さんの記事によると、永井先生は一昨年、84歳で亡くなられていたようです。
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