ベイエリア独身日本式サラリーマン生活

駐在で米国ベイエリアへやってきた独身日本式サラリーマンによる独身日本式サラリーマンのための日々の記録

ピナパイタン・ミックス

2023-09-26 11:12:20 | 食材
ピナパイタン・ミックスとは、サウス・サンフランシスコ市にあるアジア系スーパー、パシフィックスーパー”で売られているモツ肉ミックスのことをいう。そう、筆者はサンノゼを離れてサウス・サンフランシスコへ移ってきた。北米で拠点を替えるのはもう4回目だ。2023年の日本の夏は気象庁の観測史上最高の暑さだというのに、サウス・サンフランシスコは朝から昼前までは太平洋から冷たい風が吹きすさび、Tシャツで外に出ると震えるほどだ。新しい町へやってくると、以前はウキウキしてすぐに散策に出てみたりしたものだが、似非30代独身日本式サラリーマンになってからは正直外出するにも力が要る。それでも食材は買わなくてはいけないので、スーパーマーケットには行く。



この食材の特徴は以下のとおりだ、参考にしもらいたい。



①パシフィック・スーパーマーケット
サウス・サンフランシスコ周辺は駐在員の居住区から遠いため、ニジヤなどの日本人向けスーパーはない。そして筆者の長屋から一番近いアジア系スーパーがこの“パシフィック・スーパーマーケット”である。とはいえ敬愛する細野晴臣の名盤と同じ名前のスーパーなので悪い気はしない。エルカミ通り沿いにあるこのパシフィック・スーパーマーケットには、昭和時代に建てられた日本の水族館のような古びた風貌がある。駐車場の舗装状態も悪く、いかにも貧民層のスーパーといった感じがにじみ出ている。中に入ってみると、アジア系なことは確かなものの、ベイエリアのその他のスーパーに比べて国籍が不明確だ。当然日本式スイーツや日本酒の在庫はない。そしてライオン・スーパーですらある店内のBGMすらない。



②ピナパイタン・ミックス
ピナパイタン・ミックスは精肉コーナーの左隅にパックされている。それはハチノス、レバー、マル腸と、それに肩肉のような肉の4種盛で、発見時の筆者の心は少なからず踊った。長く北米のモツ肉事情を研究したきた筆者ではあるが、いわゆる“盛り合わせ”を見たことはなかったからだ。長屋で一人でモツ焼きパーティーを開催するためには、数種のモツ肉パックを買い込む必要がある。だがどれも所謂北米サイズなので3、4種のモツ肉を買い込めば、30代独身日本式サラリーマの冷凍庫はたちまちモツ肉で一杯になり、まるで遺体でも隠しているような状態になるのだ。



③モツ肉祭りですよ。
パックの中央にはモツ肉たちに包囲された状態の小さなプラスチック容器があって、中にはナメック星人のような怪しい緑色の液体が入っている。おそらくこれが“ピナパイタン”なのだろうが、筆者が求めているのはモツ肉のみなので無視をする。パックから取り出した肉たちをコチュジャン、醤油、それとごま油と混ぜてよくよく練り込んだらば、モツ肉パーティーの開催である。これが楽しい。正直『要らない』と思った肩肉も噛み応えがあってなかなかどうしてモツ肉祭りに貢献する。



だが、筆者はまだ“30代独身日本式サラリーマン”としての好奇心を保持している、そのうえ情にもろいタイプである。寂しそうに居座る緑色の液体に興味と哀れみを感じ、指をつけてそっと舐めてみた。『オェ!これがかなり苦い!』ピナパイタンについて調べると、フィリピン北部の郷土料理で、牛モツを牛の胆汁でスープにしたものなのだという。この“胆汁”に苦味が強く、慣れない人にはハードルが高いのだそうだ。どうやらパシフィック・スーパーマーケットはフィリピン色の強いスーパーのようだ。牛の胆汁は緑色なのだろうか。

ベイエリアで古本を寄付する

2023-09-23 23:45:58 | 生活
ベイエリアで古本を寄付するとは、ベイエリア周辺の駐在員や日系の人々のために古本を寄付する行為のことを言う。筆者はサンノゼを離れてサウス・サンフランシスコへ拠点を移すことになった。この機会にプラスチックケースいっぱいになっている読み終えた本やもらった臭い本(“人からもらった文庫本の臭いを消す”の記事参照のこと)のうち、不要な本を寄付したいと思ったのだ。それはただ不要な本の処分を目的としたのではなく、かつてアリゾナ州ツーソンの“Sandyi Oriental Market”で先達の古書を譲り受けたことも筆者に影響を与えている(Sandyi Oriental Marketの記事参照)。今回はそれに関する記事である。日本では線上降水帯という新たな用語が一般的になっている。


この行為の概要が以下の通りだ、参考にしてもらいたい。



①ひまわり会
“ベイエリア 古本”とグーグル神で検索すれば、すぐに出てきたのが“ひまわり会”という団体である。ひまわり会はベイエリア、特にイースト・ベイの日系人のコミュネィティを目的に1971年に設立された歴史ある団体だ。イーストベイを拠点としていることからも、駐在員よりも日系移民の人々を対象にしているように思う。この団体が月に一度の頻度で日本図書の古本市を開催しており、寄付を募っていることが判明したので、筆者はさっそくウェブサイトにのっているメールアドレスにコンタクトしてみた。何でも古本の寄付にも事前連絡が必要との記載がウェブサイトにあったためだ。



②ひまわり会とのコンタクト
古本寄付の予約メールにはすぐに返事が来た。それは伊藤いねこさんという女性からで、メールの文体から比較的年配の女性であることが想像できた。古本は、“エルセリートの八百屋さん”に持ってきてほしいとのことだ。『え? 八百屋さん?』と思ったが、どうやら“YAOYA-SAN”と言う名の日本スーパーらしい。そしておはぎの販売や包丁研ぎのサービスもやっているという内容の情報が添えられていた。イーストベイにも小さくない日本人のコミュニティがあるようだ。



③古本を持っていく
指定された日の指定時刻に“八百屋さん”へ到着すると、まだ古本市の開催前で賑わいはなく、駐車場でせっせと古本市の準備をする年配女性がいた。伊藤いねこさんであった。お忙しそうであまり会話をすることはできなかったが、『長くやってる団体で、怪しいものではないのよー』とニコニコされていたのが印象的だ。『ひまわり会とこの八百屋さんは関係あるんですか?』と聞いてみると、『あ、全然ないんですよ』とおっしゃった。八百屋さんは開店したてで慌ただしそうだったので、入るのはまた今度にすることにした。



ひまわり会は古本市の他にも『日本語を書く会』やヨガや気功などの教室もやっていたりする。ニンゲンは愚かなので、いずれまた多くの人が日本から脱出しなくてはいけない状況がやってくるだろう。そういった状況のときに世界各国にあるこういう団体が力を発揮するのではなかろうか。できる限り応援したいと思った。来月の古本市へ行ってみようかな、でも筆者の寄付した本が丸ごと売れ残っていたら、それはショックである。