ベイエリア独身日本式サラリーマン生活

駐在で米国ベイエリアへやってきた独身日本式サラリーマンによる独身日本式サラリーマンのための日々の記録

ファルキ

2018-11-30 16:52:22 | 食材
 ファルキとは、ポーランド製の燻製チーズ製品のことだ。30代独身日本式サラリーマンが、30代独身日本式サラリーマンである限り、暇な週末に酒の肴を探す旅は終わらない。これまで複数回記載したとおり、ハートフォード地区のニューブリテン市にはポーランド人のコミュニティがあって部外者でもなかなか楽しめる空間になっているので、暇な週末の旅先にちょいちょい利用している。そこで見つけたのがこのファルキなのだ。30代独身日本式サラリーマンの成れの果てのような勝屋誠彦氏が肝臓を悪くして還暦前に亡くなったが、そんなことは気にしていられない。



この食材の特長は以下のとおりだ。参考にしてもらいたい。


①入手場所
ニューブリテン市のポーランド地区にはポリー・ロリー・ベーカリーというなんともファンシーな名前のスーパーがあり、ここでポーランド製の製品を物色できる。何度も述べているようにポーランドは相当な親日国家であるとのはなしなので、自信を持って足を踏み入れるが、レジに居るフィギュアスケート選手のような幼さを残す美少女たちは何故かいつも素っ気なく、笑顔を見せてはくれない。30代独身日本式サラリーマンとポーランド美少女の間には互いの国家観を越えた壁があるようだ。それはともかくこのお店ではポーランド周辺国の楽しいデザインの缶ビールや、チーズやベーコンなどが売られているので楽しいのだ。ファルキはここで見つけた。



②ファルキ
ファルキはポーランド語で“FARUKI”と書き、筆者がファルキと読んでいる。ファルキは10㎝ほどの長さのミミズが束になったような形状で真空パックされており、色も燻製の褐色でほんとうにミミズのようだ。ポリー・ロリー・ベーカリーのチーズコーナーには比較的多く置いてあるので、ポーランド人には人気の商品なのだと思われる。100グラムが3ドルほどで気軽に買い求められる値段だ。


③味
ファルキを開封すると燻製の匂いが部屋に広がる。ミミズの束のようであったファルキは実は全て繋がっており折り曲げてパックされていたので、おそらく全長2mに近い細長いスモークチーズということになる。なので手でちぎって食べる。噛むと『キュッキュッ』という心地よい食感と共に濃厚なスモークの香りが押し寄せて美味しい。ムシャムシャ食べるというよりは少しずつちぎっては食べ、ちぎっては食べの方式で食べるのがよいようで、おつまみに最適であった。




 ものの本によれば東欧諸国の人々が乳製品をよく食べる理由にはカルシウム補給があるとのことだ。歴史的に魚介や葉物野菜をあまり食べない彼らは、慢性的なカルシウム不足を乳製品で補うために、乳離れ後にも乳製品の分解に必要なラクトースという酵素を腸内に多く持ち続ける傾向にあり、牛乳を飲んでもお腹がゴロゴロなりにくいそうだ。彼らの肌の色が非常に白いのも、北方の弱い日光で効率よくビタミンDを体内で製造し、カルシウムの吸収を助けるためなのだという。現象の原因の全ては環境への適応・淘汰にあるようだ。我々30代独身日本式サラリーマンが今も30代独身日本式サラリーマンなのは環境への適応の過程だろうか、それとも淘汰だろうか。

タイハウスレストランアンドスシバー

2018-11-19 07:56:42 | 食事
 タイハウスレストランアンドスシバーとは、コネチカット州グラストンベリー市にあるタイ料理兼スシのレストランだ。この手の東南アジア料理とスシを組み合わせたレストランは米国に散見される。米国人にとってはトムヤムクンとカリフォリニアロールを一緒にいただくことにに大した違和感はないのだろうが、30代独身日本式サラリーマンはどうにも積極的に入る気持ちにはならない。だが、長屋から比較的近場にある東南アジア料理店は常に複数抱えておきたいので、実地検分に赴いたのだった。


このお店の特長は以下のとおりだ。参考にしてもらいたい。



①アクセス
タイハウスレストランアンドスシバーはサウス・グラストンベリーと呼ばれるエリアにある。ここは以前紹介したコネチカットリバー渡し船の東岸船着き場付近の集落で、このお店の他にもいくつかのレストランや小さなマーケット、教会などがある。おそらくコネチカット川に橋が架かっていない時分から開発された古いエリアなのだと思われる。このお店はここの集落で最も大きなテナント建屋の一番奥まったところにあり、駐車場は同じ建屋内のピザ屋やヨガ教室などと一見共有されているものの、出口専用と入口専用のゲートが複数あったり、“ここはピザ屋専用駐車場です”との看板があったりと、駐車システムが分かりにくく少しだけ不安になる。


②内装・雰囲気
よくある東南アジア料理店のようにこれみよがしにオリエンタルな置き物などが置いておらず簡素で清潔感のある内装は好感が持てる。入口の扉を開けると正面にある間仕切りに客のポラロイド写真が飾られていて、お客とのコミュニケーションを大事にするお店の様であるが、ざっと見た感じでは30代独身日本式サラリーマン風の男の写真はないようだった。客室は小さく、卓はだいたい5~6脚で20人も入れば混雑感がするほどで、客席に面して小さな寿司バーがあり、アジア人風の板前が一人入っている。


③タイ料理
店員・調理人は寿司職人以外はタイ人のようで、ヤムウンセン、ソムタム、パッタイや各種ココナッツミルクたっぷりカレーなどの本格的なタイ料理が味わえてけっこう美味しい。特にラッド・ナーと言う名の平たい米麺の焼きそばが癖になる。これはラオスに住む中国人に人気料理なのだそうだ。また、早い時間には小皿料理やサッポロビールが低価格でいただけ、ビールは長尺なグラスに注がれて出されて贅沢気分になれる。


④寿司バー
ネタが特に美味であったり、こだわりがあったりする訳ではないが、寡黙な板前が丁寧に握ってくれる。ここでお勧めなのはずばり“TAMAKI”だ。ネタと寿司米が海苔でコーン状に巻かれて出てくるこのタマキは、きっと手巻きのことだ。これが美味しい。ネタの割合が少なく海苔の味をたっぷり感じられるので、寿司というよりは『おにぎり』を食べているようで、かつて家族で楽しんだ手巻き寿司の味がする。西洋人向けの寿司屋では握りよりもこういった手巻き系の寿司の方が美味しくいただけるのかも知れない。



 なんといってもこのお店はタイ人女性店員さんの感じが絶妙によく、ついついリピートしたくなる。この感じの良さは単なる愛想とは異なるようで、不愛想な店員さんでもそれが面白くて結果“なんか感じがいい”と思う場合もあるし、逆に愛想がとてもいいのに“またあんな感じで接してくるのだろうな・・”と思うとそれがストレスで足が遠のく場合もある。その点で彼女は“愛想よく感じがよい”タイプで絶妙なのだ。30代独身日本式サラリーマンは冬が始まり、長屋でネットサーフィンばかりしているとどうしても心が腐りがちになるので、感じの良さを勉強しにタイハウスレストランアンドスシバーへ行ってみましょう。でももし写真をリクエストされたらどうしよう。

干しホヤ

2018-11-14 16:20:27 | 食材
 干しホヤとは、ホヤを乾燥させた保存食兼珍味のことである。ベイエリア30代独身日本式サラリーマンの両親はたいていまだ健在で、折に触れて『何か送ってほしいものはないか』と尋ねてくるものだ。しかし生きていくのに絶対に必要なものは十分に手に入るし、かといって『じゃぁ田酒と十四代、それに三岳の一升瓶をば・・・』などと注文すると輸送費は跳ね上がるので気が引ける。 “質量と容積が少なく、且つこちらではなかなか手に入らない、さらにもらって嬉しいもの・・・それは珍味乾物に違いない“と思いつき、いくつか両親にリクエストしたのであった。以下はそのうち特に気に入った商品である干しホヤの紹介だ。


この食材の特長は以下のとおりだ。参考にしてもらいたい。



①ホヤ
その形状から“海のパイナップル”と形容される珍味のホヤは、日本では東北地方で主に採れる貝だ。と思っていたら実は貝ではないそうだ。東日本大震災で大打撃を受けた養殖ほや業界を救うべく立ち上げられた、“ほやほや学会”なる団体のホームページから興味深い情報を入手することができたので、興味のある30代独身日本式サラリーマン諸氏は訪ねてみるといいだろう。


②干しホヤ
今回入手した乾燥ホヤは気仙沼市の海産物屋である横田屋本店が販売している商品だ。
単色黒の短冊状の袋にパックされたこの商品の名前はずばり『ほや』、原材料は『ほや、食塩』と、シンプルにほやの味を伝えたいという横田屋本店の自信を感じさせる一品だ。裏面の下部の栄養成分表の横には小さく奇妙な宇宙人の顔が描かれており、“気仙沼観光キャラクター 海の子 ホヤぼーや”との説明書きが付されているのが愛らしい。


③味
乾燥し平たく押しつぶされたような形状になっているホヤは、当然ながら生ホヤの水っぽさがなく、グニョグニョコリコリの食感もなく、小指の爪ほどの量を少しづつ噛んで味わうのがよいようだ。数回咀嚼した後にちょうどよい濃度でホヤの香りが口の中に漂い、焼酎がぐんぐんと無くなっていく。最上級のつまみだ。



④輸送に便利
ホヤは日本国内では通販で簡単に手に入るようだ。それに一袋に入っているホヤはわずか15グラム、袋は短冊状で普通封筒に入るサイズなので、日本から送る書類などと共に簡単に送ってもらえるから、気軽に両親に「じゃぁ、またホヤを頼むわ」と言えるというものだ。


 もう思春期に近い息子がいてもおかしくない30代独身日本式サラリーマンは、人生100年世代を地で行く健在な両親にいまだにちょいちょい世話になって生きており、いつまで親不孝を続けるのか全く先が見えない。だがこうやって“世話になる行為”もまた親孝行の一つなのだと開き直る。『まったくあんたは・・』『いつもすまんなぁ』そんなやりとりができるのもそんなに長くはないし、親の方もなるべく長く『まったくあんたは』の側の立場に居座っていたいだろう。こっちも動けなくなった親に『いつもすまんなぁ』なんて言われたくもない。だから近日中にまた干しホヤを注文します『もしもしオレオレ! すぐにホヤ頼むわ!』

ホテル・セント・マリー

2018-11-06 16:11:07 | 生活
 ホテル・セント・マリーとは、ルイジアナ州ニューオリンズのフレンチクオーター内にあるホテルだ。米国にいる30代独身日本式サラリーマンなら誰でも、スペインやフランス領であった影響を残し、アフリカ文化とも混ざり合い、ジャズやファンクやケイジャン・ミュージックの聖地であったり、さらには酔っぱらいの天国として名高いニューオリンズには一度足を踏み入たいと思うに違いない。筆者もまたレイバーデイの連休に何もすることがなく困ったために、旅先での孤独を覚悟しつつも飛行機に乗ったのだった。


このホテルの特長は以下のとおりだ。参考にしてもらいたい。


①アクセス
観光名所のフレンチ・クオーター内にあるホテルはルイジアナ国際空港から共通のシャトルバスが出ていて、カウンターでチケットを購入する際にホテル名を告げればホテル前まで連れて行ってくれる。このとき往復券を購入しておくと、帰りの便の日時を告げられ、その時間にバスがホテル前まで迎えに来る。何の冒険もなく宿泊先に辿り着くつまらないシステムだが、“便利”とはえてしてつまらないものだ。ただ空港からフレンチ・クォーターまでの車窓からの景色はニューイングランドの雑木林やベイエリアの乾燥に強そうな木々とは異なる南部っぽい植生が見えて興味深い。


②ホテル・セント・マリー
ホテル・セント・マリーはフレンチ・クォーターのダウフィン通りとトゥローズ通りの角にある4階建ての建物だ。欧風の鉄細工が施されたバルコニーやベージュ色の落ち着いた外壁塗装はフレンチクォーターの街並みに溶け合い、なかなか高級感のあるホテルに見えるが、宿泊費は近辺の他のホテルに比べて高くはない。繁華街のバーボンストリートは目と鼻の先だし、ミシシッピ川付近のフレンチマーケットなどの見どころも歩いて楽しく回れる位置にあるので、街歩きのアクセスとしては良好な位置にある。


③フロントの人々
フロントの人々は黒人でとてもやさしい。筆者は間違えて2部屋予約してしまっていたことにチャックイン時に気が付いたのだが、レイバーデイの繁忙期にも関わらず無料でキャンセルしてもらえた。





④バー・レストラン
フレンチクォーター内には無数のケイジャン料理、クレオール料理があって、どこも賑わいを見せているが、一人で入っても居心地のいいお店を見つけるのは困難だし、人気店の行列に一人で並ぶのも気後れする。筆者も頑張っていくつかお店を回ったが、このホテルの一階にあるレストラン兼バーが、小ぢんまりとして騒がしくなく、かつ一人でも十分に居心地がよく、ワニ肉ソーセージやオクラガンボなどのケイジャン食事がとても美味しく、最高の穴場であった。酔っ払ったらエレベーターに乗ればよく安全性も高い。旅の最終日にここで食事をしたのだが、毎日ここにすればよかったと後悔したほどだ。



さて、ニューオリンズはベイエリアのようなリベラルヒッピー都市のようで、フレンクォーター内は24時間オープンのゲイバーが乱立している。さらに奇しくも2018年のレイバーデイは、ニューオリンズでLGBTの催しが開かれており、通りやホテルはフレディーマーキュリーのような恰好をした半裸やほぼ全裸の男たちで溢れかえり、いたいけで幼さを残す30代独身日本式サラリーマンの一人歩きにはすれ違う男たちからあからさまな興味の目が注がれる。普段性別の壁に悩まされてきた人々が開放的になっているあのバーに入れば、筆者が感じている壁などすぐにぶち破られて、旅先での孤独などすぐに吹き飛ぶどころか、人生そのものが変わってしまうかも知れない。だがそれを恐怖だとを感じるほどには、それなりにちゃんと生きてきているのだと感じながら、ガンボを平らげた。

ブラック・レッジ・フォールズ

2018-11-01 17:22:16 | 生活
 ブラック・レッジ・フォールズとは、コネチカット州グラストンベリー市にある滝だ。滝のことが気になるのは日本人だけではないようで、ナイアガラやヨセミテなどワールドクラスの滝を有する米国においても、大小問わず滝がある場所にはたいてい遊歩道が整備されたり自然公園になっていたりするものだ。水が垂直に落下する様を見たりその音を聴いたりすることが、ニンゲンにとって癒しや喜びになるのは一体なぜなのだろう。ともかく暇な休日の昼下がりに、愚かなグーグルマップのおかげで長屋のすぐ傍にも滝があることを知った筆者は出かけることにした。


この滝の特長は以下のとおりだ。


①グラストンベリー
グラストンべリー市はハートフォード市からはコネチカットリバーを挟んで南東部に位置し、ウィキペディアにも堂々と“富裕層”の町と書かれるほど、高所得者が住んでいる町だ。コネチカットリバー沿いの中心部には小さな町にしては小洒落たレストランやバーが並び、ホールフーズマーケットもある。だが町を少し外れるとそこは鬱蒼とした森であり、その中でポツポツと並ぶ大きな家で富裕層が何不自由ない生活をおくっているものと思われる。


②アクセス
ブラック・レッジ・フォールズの入り口は94号線沿いにある。この94号線はグラストンベリーの丘の上を走る気持ちのいい道で、両側を木々に挟まれ、時折農場などが点在する楽しい自動車道路であるが、整備されたこの道を使うとすぐに到着してしまい、暇つぶしにならない。であるからこの94号線と2号線の間にある山道をぐるぐる気ままに通って遊んでみることを薦める。入り組んだ細い山道を右へ左へ走っていると、ひっそりとした谷川沿いにJ.W.ニコルが出てきそうなこぢんまりとした家々が点在し、煙突から暖炉で炊かれた薪の煙が緩やかに立ち上る。何の標識もなくふいに美しい湖が現れ、湖畔には小さな家が並び、宅から気ままにボートで漕ぎ出せるようになっている。ただ湖畔の道の駐車スペースには “PRIVATE AREA” の看板が並んでいて、水辺の家屋に住む人々は外部からの侵入者を嫌がっているようだったのでそそくさと退出する。といった遊びをしていると時間を潰せる。


③ブラック・レッジ・フォールズまでの道のり
入り口には40台分ほどの駐車場があり、そこから遊歩道で滝へと向かう。遊歩道はぐるりと一周できるようになっていて主にマウンテンバイク好きの人々が利用しているようだ。滝はスタート地点から遊歩道を時計回りに約10分ほど歩けば着くが、米国の数多の自然公園と同様に道案内看板が非常に不親切で、滝がメインの癖に“ここが滝です”などという標識は一切ない。スタート地点で見た立て看板以外に情報がないので、看板の写真を撮っておくことを薦める。そうしてなんとなく歩くと滝へとたどり着く。


④ブラック・レッジ・フォールズ
高さ5mほどの巨岩上から静かに水が流れ落ちる大小2つの滝がある。日本であればきっと夫婦滝と名付けられるようななかなかの侘び寂びで、雄滝には木陰から光が差し込み、虹が絶えることなく映し出され、雌滝の流れはそうめんのように優しい。その2つの滝の間も水滴が絶え間なく五月雨の様に落ちてきており、岩に苔のような植生が茂っている。アメリカらしくない水墨画のような幽玄な滝で、懐かしい気持ちになれる。とはいえ10分も見ればすぐに飽きるので、引き返すのみだ。尚、夏は大量の蚊がニンゲンの血液を狙ってブンブンと待ち構えているので5分も居られない。秋や初夏がベストシーズンであろう。


 日本の渋谷はハロウィンで盛り上がっているようだ。多くの人にとっては年に一度変なコスチュームで町を歩いても許される楽しいイベントで、楽しいままに終わる。でもテレビの人たちにとってはそれだとニュースにならないので、一部の悪い出来事を取り上げる。それは今や日本の風物詩である『荒れる成人式!』や『トンデモ酔っぱらい花見客!』も同じなので、日本の平和を感じられる『よいニュース』と捉えるのが、良識ある30代独身日本式サラリーマンの態度なような気がする。花見や成人式やハロウィンイベントで何のトラブルも起きなくなったときこそ、日本国家の終焉なのかも知れません。